2017年プレスリリース

TOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジプログラム

勝田・新井、ラリー・ポルトガルで南欧グラベルの洗礼を浴びる
足立はフィンランドラリー選手権で6位入賞

2017年5月22日(月)

TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムにて欧州でトレーニング中の勝田貴元、新井大輝が、5月18-21日に開催されたFIA世界ラリー選手権(WRC)第6戦、ラリー・ポルトガルのWRC2クラスにフォード・フィエスタR5で参戦し、勝田・サルミネン組は最終ステージ終了時点では、クラス12位でフィニッシュ。ただし、その後タイムコントロールへの遅着により4分50秒のペナルティを受け、最終結果としてはクラス14位でラリーを終えた。新井・マクニール組はデイ3最終ステージでのコースオフによりリタイアとなった。また、同じく欧州でコ・ドライバートレーニング中の足立さやかは、5月19-20日に開催されたフィンランドラリー選手権第4戦、Riihimäki-Ralliにスバル・インプレッサR4でドライバーのヤルッコ・ニカラと共に参戦。総合6位でラリーを終え、選手権3位を堅持した。

勝田・サルミネン組
勝田・サルミネン組

勝田、新井にとって、WRC2への参戦は昨年のラリー・フィンランド、今年2月のラリー・スウェーデンに続き3度目。ルーズグラベルが特徴的なポルトガルの道は、これまで二人が経験を積んできたフィンランドのグラベルとは特徴が大きく異なる。本ラリーの調整として1週間前にポルトガルの地方戦、ラリーアマランテに参戦した二人は地元選手をリードし、激しい戦いの末、新井が総合1位、勝田が2位という結果を残していたが、今回の大舞台は両選手共にラリーの難しさを痛感する一戦となった。

序盤から路面が荒れていたデイ2、勝田はSS4でステアリングラック破損によりデイリタイアを余儀なくされる。一方、新井はパンクやホイールの破損に見舞われ、大きなタイムロスをした。デイ3、ラリー2ルールによって再出走した勝田は、午後のセッティングがうまく決まり、不利な走行順の中でもよい走りを見せていたが、最終日は再び不運なエンジントラブルに見舞われた。コ・ドライバーのサルミネンと共に様々な方法を試みてなんとかエンジンの再始動に成功、規定時間ギリギリにゴールしクラス14位でフィニッシュした。新井はデイ3の午前中、ポップオフバルブやブレーキのトラブルを抱えながらも丁寧な走りで大きな問題なくステージをこなしていたが、この日の最終ステージSS15でコースオフし、リタイアとなった。

足立がフィンランドで参戦したRiihimäki-Ralliは8つのグラベルステージからなり、平均速度が時速115kmを超える高速ラリー。SS2でのオーバーシュートとSS6でのパンクがあったものの、大きなトラブルはなく走り切り6位でフィニッシュした。フィンランド選手権は、コーナーとジャンクションが次々と続くステージが多く、コ・ドライバーにとっては特にタフなトレーニングとなる。

■選手コメント

勝田貴元:路面がとても荒れていてタフなラリーでしたが、多くのことを学んだ一戦でした。デイ2のステアリングラック破損は、特に原因となり得るような衝撃がない中で起こったのでとても悔しい思いをしました。最終日にはエンジントラブルも発生するなど、本当に色んなことが起こったので、とにかく完走できてうれしいです。最終ステージ後にエンジンが止まってしまい、自分たちで修理することになりましたが、最後まで諦めずにトライし続けてくれたマルコに本当に感謝しています。今回は、グラベルラリーで悩んでいたドライビングやセッティングなどの方向性が見えてきて、今後への手応えを感じることができました。

新井大輝:今回の道は最初からとても滑りやすく、荒れていました。デイ2ではパンクが多かったのでデイ3はより丁寧に走り、パンクもせず順調に走れていたのですが、最終ステージでコースオフし、車が燃えてしまいました。火が一瞬で回り、あのような恐ろしい経験は初めてでした。今後同じことを繰り返さないよう、なぜコースアウトしてしまったのか、次のラリーまでに原因を深く追求します。セットアップについては色々試し、うまくいったものも、良くなかったものもありましたが、今後に向けて経験を蓄積することができたと思います。

足立さやか:とにかくスピードの速いラリーでした。スノーラリー3戦の後、ヤルッコとは初めてのグラベルラリーだったため、車のリズムや車速、車の動きに対する感覚を合わせていくのが少し大変でしたが、徐々にタイミングが合ってきて、楽しく走ることができました。時間的にとてもタイトだったロードセクションでのタイヤ交換なども含め、ヤルッコと二人で協力して乗り切ることができました。ペースノートで使用する言葉など、今後さらに改善できるポイントも見つかったので、今回のグラベルのリズムを忘れず、次に繋げたいと思います。

ヤルッコ・ニカラ:前戦から間が空いていたこともあり、リズムを取り戻すのに時間がかかり、難しいラリーでしたが、距離を追うごとにタイミングが合うようになってお互いの感覚が戻ってきました。パンクは不運でしたが、それほど大きな影響は及ぼさなかったので選手権3位の位置はキープできました。次のラリーは3週間後なので、すぐによいペースに乗れると思います。学び中の選手にとっては定期的に競技に出続けることが大事なので、このプログラムはとてもよいプログラムだと思います。

■講師コメント

ヨウニ・アンプヤ(チーフインストラクター):とても複雑な週末でしたが、これもラリーです。直前に参戦したアマランテラリーの結果がよかっただけに今回の結果はとても残念ですが、選手が無事だったのはなによりです。車の準備に関しても、次戦に影響はありません。デイ2の時点で、勝田、新井共に上位に食い込むチャンスはなくなりましたが、少なくともこの厳しいコンディションの中で経験を積むことができました。一方、フィンランド選手権に参戦したヤルッコ・足立組は、超高速のチャレンジングなラリーで素晴らしい結果を挙げました。このラリーは特にコ・ドライバーにとって難しいラリーだったはずです。R4車両で、格上のR5車両相手に互角に戦っていることをうれしく思います。

  • 新井・マクニール組
    新井・マクニール組
  • ニカラ・足立組
    ニカラ・足立組

■WRC2クラス結果(h:時間、m:分、s:秒)

  1. 1 Pontus Tidemand/Jonas Andersson (Skoda Fabia R5)

    3h54m17.6s

  2. 2 Teemu Suninen/Mikko Markkula (Ford Fiesta R5)

    +11.2s

  3. 3 Simone Tempestini/Giovanni Bernacchini (Citroen DS3 R5)

    +7m00.6s

  4. 4 Miguel Campos/Antonio Costa (Skoda Fabia R5)

    +9m19.3s

  5. 5 Lukasz Pieniazek/Przemyslaw Mazur (Peugeot 208 T16)

    +10m59.5s

  6. 14 Takamoto Katsuta/Marko Salminen(Ford Fiesta R5)

    +51m16.2s

  7. リタイア Hiroki Arai/Glenn Macneall (Ford Fiesta R5)

■FRC結果(h:時間、m:分、s:秒)

  1. 1 Marko Manty/Joni Makela (Skoda Fabia R5)

    45m22.1s

  2. 2 Juuso Nordgren/Mikael Korhonen (Skoda Fabia R5)

    +3.4s

  3. 3 Teemu Asunmaa/Jonne Halttunen (Skoda Fabia R5)

    +4.0s

  4. 4 Mikko Lehessaari/Reeta Hamalainen (Skoda Fabia R5)

    +1m03.8s

  5. 5 Eerik Pietarinen/Juhana Raitanen (Mitsubishi Lancer)

    +1m09.7s

  6. 6 Jarkko Nikara/Sayaka Adachi (Subaru Impreza)

    +1m15.5s

■次戦

勝田と新井の次戦は6月8-11日に開催されるFIA世界ラリー選手権第7戦、ラリー・イタリア サルディニア(WRC2クラス)。今回に続き、路面の軟らかいグラベルラリーであり、高温が予想されることも2人にとって新しいチャレンジとなる。また足立は、6月9-10日に開催されるフィンランドラリー選手権第5戦、O.K. Auto-Ralliにヤルッコ・ニカラのコ・ドライバーとして参戦する。