全日本ラリー選手権第3戦 ツール・ド・九州2023 in 唐津 JN-1クラス初参戦のGR YARIS Rally2
勝田範彦が2位表彰台を獲得

2023.04.17(月曜日)- 17:00配信

4月15日(土)〜16日(日)にかけて、佐賀県唐津市を拠点に2023年シーズン全日本ラリー選手権(JRC)第3戦「ツール・ド・九州2023 in 唐津」が開催され、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)の勝田範彦/木村裕介組(GR YARIS Rally2)がJN-1クラスの2位を獲得しました。眞貝知志/安藤裕一組(GR YARIS GR4 Rally DAT)は、JN-1クラス6位で完走を果たしました。

深い霧のなか、GR YARIS Rally2で果敢に走る勝田範彦/木村裕介組
深い霧のなか、GR YARIS Rally2で果敢に走る勝田範彦/木村裕介組

「人材育成」と「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」の実践を目的に、全日本ラリー選手権に参戦するTGR。GRヤリスをベースとする「GR YARIS GR4 Rally」の2シーズンにおよぶ参戦を経て、2023年から新たに勝田/木村組がGR YARIS Rally2、眞貝/安藤組がGR YARIS GR4 Rally DATのステアリングを握ります。

勝田選手がドライブするGR YARIS Rally2は、実戦デビューとなった前戦の新城ラリーではオープンクラスでの出走となりましたが、今大会では勝田選手も眞貝選手と同じJN-1クラスにエントリー。前戦で得た知見やデータを活かし、強力なライバルがひしめくカテゴリーで勝利を狙います。また、今大会にはTOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)のヤリ-マティ・ラトバラ代表が来場し、デモンストレーション走行をはじめ、サイン会やトークショーも行われました。

唐津のスペシャルステージ(SS・タイムアタック区間)は、タイヤに厳しい舗装路が特徴のひとつ。特に10kmを超える距離の長いSSでは、タイヤへのダメージを考慮した走行が求められます。さらに変わりやすい天候にも注意が必要です。

ウェットコンディションとなったラリー初日、霧による視界不良や滑りやすい路面において、勝田選手はリスクを避けた慎重なドライビング。アクシデントやトラブルもなく、5番手で走り切りました。眞貝選手も着実な走行を続け、7番手につけています。ラリー2日目、まだ濡れた箇所が残る難しいコンディションながら、勝田選手は前日よりも大幅にペースアップ。SS7で4番手に浮上すると、SS11では上位のリタイアもあり、一気に2番手へと順位を上げました。

最終SSも問題なく走り切った勝田選手は、GR YARIS Rally2のデビュー2戦目で、初の表彰台となる2位を獲得。眞貝選手も6位で完走し、様々な路面状況における貴重なデータをチームに持ち帰りました。

■勝田範彦(ドライバー)
ライバルのリタイアもありましたし、予想もしていなかった2位表彰台です。前戦の新城では私もリタイアしていますし、やはりラリーは完走してこそだとあらためて思います。今大会は完走ペースで走り、まずはデータをチームに持ち帰りたいと考えていました。今回ウェットからドライにコンディションが変化するなかで、様々なセッティングを試しながら走り切れたことが一番重要だったと考えています。私自身としてもまだラリー2を乗りこなせていませんし、もっともっと大きな伸びしろがあると実感しています。

■眞貝知志(ドライバー)
新城ラリー後のインターバルを活用して、チームの皆さんと一緒にDATの制御、熱対策と足回り(サスペンションやブレーキ)のセットアップ変更を施してきました。DATに関してはドライバーとの意思疎通が図れる感触がさらに良くなってきましたし、長いSSでも熱の問題も無く走りきることができました。また、足回りの対策も、今回はかなり大幅に考え方を変えて臨んだのですが、今大会を通じてウェット/ドライも含めた様々な路面で試行錯誤しながら走れました。次戦以降さらに気温の上昇やロングSSが増えることにより、クルマにとって厳しい場面が増えてくると思いますが、そこにむけて前向きな印象を持ってラリーを終えることができたと感じています。

■行木宏(GRヤリス Rally2 プロジェクトリード)
GRヤリス Rally2のJN1クラス初戦を無事に終えることができました。今回参戦する中で気付きや次に向けた確認項目が出てきましたので、勝田選手、木村選手とともにクルマを鍛え続けていきたいと思っています。今回のラリーではダンパーやデフをウェットコンディションでどのようにセットアップすべきか色々と模索しましたが、2日目午前中のループでは勝田選手の感触も良く、方向性が見えてきた気がします。次戦に向けて課題を解決し、より細かいところまで詰めていきたいですね。今回もフィンランドとドイツからメンバーを連れてきています。ヨーロッパで行っているGRヤリス Rally2の開発テストで得た知見を日本側にも蓄積し、ともに戦いながら人も一緒に成長できたらと考えています。

■坂本裕樹(眞貝号エンジニア)
今大会で2戦目を迎えるGR YARIS GR4 Rally DATは、前戦新城で得た課題に対し、冷却系の改善を行い今戦に挑みました。また、ドライバーの意図通りの変速を実現できるよう開発チームと協力して対策を織り込んでいます。現状では問題がないとのことで、その点は我々の狙いどおりにうまくいっていると考えています。足周りのセットに関しても今大会ではウェット/ドライと様々な路面でトライができ、必要なデータを集めることができました。次戦の久万高原も過酷なラリーですが、少しずつでも前を走っているJN-1車両に追いつけるように開発を続けていきたいです。

■出村翔太(勝田号メカニック)
今年からメカニックとしての活動をスタートし、勝田選手のラリー2を担当しています。ラリーメカニックは初めての経験で、限られたサービス時間での作業量に驚いています。まだ作業のひとつひとつが不慣れではありますが、手順などは事前に頭の中でシミュレーションして作業に入りました。元の職場ではジャーナリストの方に乗っていただく車両の整備を担当しており、限られた時間で確実な作業を行うことは、元の職場でも通ずることになると思います。こうした学びは同僚にも伝え、自分自身もフィンランドメカニックから多くを学んでさらに成長していきたいです。

■古市准也(眞貝号メカニック)
今年からチームに加わり、眞貝選手のGR YARIS GR4 Rally DATを担当しています。今回のラリーでは右フロントサスペンションを担当し、キャンバーの調整、トー調整などを主に行いました。まずは安全な整備、そして選手たちが安心して走れるよう、やりきったと言える作業を目指しました。今回はコミュニケーションが不足してしまったことが、反省点になりました。お互いに声かけすることで、作業工程の抜けや重複をなくしたいと思います。クルマは過酷なコースを走ることで、各部の温度も非常に高くなります。クルマのダメージを作業時にしっかりと確認、把握し、積極的にフィードバックしていきたいです。

■久保田匡紀(GRガレージ福岡空港)
今回、眞貝選手のクルマの右リヤセクションを担当しました。チームに加わると聞いた時は、驚きと不安の両方がありました。自分としては、一昨年、ラリーに参加した弊社スタッフと比べると、力が足りていないと感じていたからです。実際に、整備作業では効率化や他のメンバーへの気遣いなど、まだまだ足りていない部分を気づかされました。限られた時間でどのような作業をするのか、しっかり順序立てて取り組むことだけでなく、プラスアルファでできることを探すという点も重要だと感じました。そうした点を、店舗の仲間にも伝えていきたいと思います。

TGRチームのエンジニアに車両のフィードバックを行う眞貝選手
TGRチームのエンジニアに車両のフィードバックを行う眞貝選手
GR YARIS Rally2での初表彰台を得た勝田選手(右)と木村選手
GR YARIS Rally2での初表彰台を得た勝田選手(右)と木村選手

全日本ラリー選手権第3戦 ツール・ド・九州2023 in 唐津

JN-1クラス最終結果

  1. 1 ヘイキ・コバライネン/北川 紗衣(シュコダ・ファビアR5)

    1:06:45.1

  2. 2 勝田 範彦/木村 裕介(GR YARIS Rally2)

    +1:55.5

  3. 3 新井 大輝/金岡 基成(プジョー208 ラリー4)

    +2:01.2

  4. 4 鎌田 卓麻/松本 優一(スバルWRX STI)

    +2:10.1

  5. 5 新井 敏弘/保井 隆宏(スバルWRX STI)

    +2:20.7

  6. 6 眞貝 知志/安藤 裕一(GR YARIS GR4 Rally DAT)

    +3:02.1

  7. 7 柳澤 宏至/竹下 紀子(トヨタGRヤリス)

    +3:17.0

  8. 8 今井 聡/高橋 芙悠(シトロエンC3ラリー2)

    +5:30.2

  9. 9 金岡 義樹/マクリン大地(シュコダ・ファビアR5)

    +11:29.3

  10. 参戦10台、完走9台

TOYOTA GAZOO Racingは、「もっといいクルマづくり」のために「人を鍛え、クルマを鍛える」活動の一環としてGR YARIS GR4 Rallyで全日本ラリー選手権に参戦し、将来の車両開発に活かします。