RACING CAR

RACING CARレース車両
2016年 レース車両解説

全日本F3 2016年 レース車両解説

世界に先駆けて2013年から新規定のエンジンを導入 シャシーは実質的にダラーラ社製のワンメイク

 F3レースで使用されるシャシーは、世界中のモータースポーツを統括するFIAのテクニカルレギュレーション(車両規則)に則って開発/製作されている。いくつかのコンストラクター(シャシー製造会社)がF3用のシャシーを製造してきたが、近年では世界的に見ても、イタリアのダラーラ社製のシャシーが主流で、実質的なワンメイクとなっている。具体的に見て行くとカーボンコンポジット(炭素繊維による複合素材)のモノコックを使用し、性能面に加え安全面でもレベルの高いものとなっている。空力面では突き詰めたものではなく、足回りも含め標準的な技術レベルになっている。

 エンジンは排気量が2000cc以下の直列4気筒で、従来は年間2500台以上生産された、市販車に搭載されたエンジンの主要コンポーネントを使用することが義務付けられていたが、2013年からは市販のベースエンジンを持たない、いわゆる純レーシングエンジンも認められるようになった。この規定変更に関しては、ヨーロッパの自動車メーカーは対応が遅れて2013年は旧規定で戦われていたが、日本国内では世界に先駆けて新規定に移行していた。

 トムスチームは自社でF3用エンジンTAZ31を開発。このエンジンは、ノアやヴォクシーに搭載されている1AZ-FSEを大幅に改造して製作されたもので、デビューシーズンとなった2013年にはドライバー/チーム/エンジンチューナーの3冠に輝き、2014年もチーム/エンジンチューナーの2タイトルを連覇。さらに昨シーズンはドライバー/チーム/エンジンチューナーの3冠に輝いている。

 全日本F3選手権では現行のF3車両に加えて、一世代前、二世代前のシャシーとトムスが供給する3S-GEエンジンを搭載した車両の参戦も認められている。この車両はNクラスとされ、現行F3車両と混走するが、独自のチャンピオンシップにもなっている。Nクラスは参戦費用が抑えられているため、新規参戦者やトップアマチュアが中心となり、激しいレースが行われている。

2016年シーズンを戦うF312

Dallara F312シャシー

  • 車両名称

    Dallara F312

  • 全長/全幅

    4351mm/1845mm

  • ホイールベース

    2800mm

  • トレッド

    前:1595mm 後:1540mm

  • トランスミッション

    6速シーケンシャル

  • ブレーキ

    ベンチレーテッドディスク

  • 車両重量

    550kg

エンジン

  • エンジン型式

    TAZ31

  • 排気量

    1,998cc

  • ボア×ストローク

    φ86x86

  • 気筒数

    直列4気筒直噴

  • 重量

    87kg(吸気系含まず)

  • 出力

    200馬力以上

  • 吸気リストリクター径

    φ28mm