RACING CAR

RACING CARレース車両
2017年 レース車両解説

全日本F3 2017年 レース車両解説

新規定のエンジンを世界に先駆けて導入
シャシーは実質的にダラーラ社製のワンメイク

 F3のレース車両は、世界中のモータースポーツを統括するFIAが定めたテクニカルレギュレーション(車両規則)に則って開発/製作されている。これまで、いくつかのコンストラクター(シャシー製造会社)がF3用シャシーを製造してきたが、近年ではイタリアのダラーラ社製のシャシーが主流で、各シリーズは実質的なワンメイクとなっている。
 全日本F3選手権ではダラーラ社のシャシーが使用され、最新のF317に始まり、様々な車種が使用される。
 モノコックはF1などトップカテゴリーでも使用されるカーボンコンポジット(炭素繊維による複合素材)を採用し、性能面に加え安全面でもレベルの高いものとなっている。ただし空力面ではトップカテゴリーほどには突き詰めたものでなく、足回りに関してもコンベンショナルな基本設計がなされている。

 エンジンは排気量が2000cc以下の直列4気筒、と定められている。従来は年間2500台以上生産された、市販車に搭載されたエンジンの主要コンポーネントを使用することが義務付けられていたが、2013年からは市販のベースエンジンを持たない、いわゆる純レーシングエンジンも認められるようになった。この規定変更に関しては、ヨーロッパの自動車メーカーは対応が遅れて2014年から新規定に移行することになったが、日本国内では世界に先駆ける格好で、当初の予定通り2013年から新規定に移行。現在は3メーカーのエンジンが使用されている。

 トムスチームは自社でF3用エンジンTAZ31を開発し、2013年シーズンから実戦に投入してきた。このエンジンは、ノアやヴォクシーに搭載されている1AZ-FSEを大幅に改造して製作された。デビューシーズンとなった2013年にはドライバー/チーム/エンジンチューナーの3冠に輝き、2014年もチーム/エンジンチューナーの2タイトルを連覇。2015年シーズンもドライバー/チーム/エンジンチューナーの3冠に輝き、大激戦となった昨シーズンも山下健太がドライバーズタイトルを手に入れている。

 全日本F3選手権では、旧型のシャシー(ダラーラF308、F306)にトムスが供給する3S-GEエンジンを搭載した車両で争うNクラスも存在する。現行F3車両と混走するが、クラス独自のチャンピオンシップにもなっている。Nクラスは参戦費用が抑えられているため、予算が少ない参戦者に加えて、ハイレベルのレースを求めるアマチュアドライバーも参戦している。

2017年シーズンを戦うカローラ中京 Kuo TEAM TOM'S

Dallara F317シャシー

  • 車両名称

    Dallara F317

  • 全長/全幅

    4351mm/1845mm

  • ホイールベース

    2800mm

  • トレッド

    前:1595mm 後:1540mm

  • トランスミッション

    6速シーケンシャル

  • ブレーキ

    ベンチレーテッドディスク

  • 車両重量

    580kg(ドライバー含)

エンジン

  • エンジン型式

    TAZ31

  • 排気量

    1,998cc

  • ボア×ストローク

    φ86x86

  • 気筒数

    直列4気筒直噴

  • 重量

    87kg(吸気系含まず)

  • 出力

    200馬力以上

  • 吸気リストリクター径

    φ28mm