Round8
ラリーチャレンジ 2017年 第8戦 丹後半島
レポート
ラリーチャレンジ 2017年 第8戦 丹後半島 レポート

朝から刺すような日差しが襲った真夏の丹後半島ラリー
難易度の高いハイスピード舗装路コースは体力との勝負!

 8月27日、京都府京丹後市を舞台としてTOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジカップ in 丹後半島が開催された。本戦は丹後半島ラリー2017として、JAF中部・近畿ラリー選手権 第5戦およびJMRC近畿SSラリーシリーズ 第2戦の中で行われ、エントリー合計台数が、国内ラリーの上限台数90台に達し(ラリーチャレンジクラス44台)、近年まれにみる盛況ぶりとなった。西日本シリーズも後半戦に突入し、シリーズポイント争いの上でも重要な一戦となった。
 コースサイドから日本三景の天橋立を展望できるエリアでのラリーとなる丹後半島ラウンドは、3箇所のターマック(舗装路)コースを2回ずつ走行し、計6回の走行で争われる。2本の林道コースは、いずれもハイスピードコース。道幅の変化やアップダウンなどの箇所が存在し難易度が高く、どちらも気の抜けないコースとなる。下りを多く含み、そこでアクセルを踏んでいけるかでタイムに差がつく事となる。
 そして、一般観戦可能な観戦コースとなる道の駅 丹後王国「食のみやこ」敷地内のコースは300mほどの短いコース。しかし、コースサイドからの砂利がマシンの挙動を崩す難しいコースとなり、道の駅に訪れた多くの観客が見守る中で、おのおのテクニックが試されるラリーとなった。

石田/前島組、鶴田/大城組の猛追から逃げ切りE-2クラス優勝を果たした長崎/秋田組。チームにとって相性がよくなかった丹後半島ラウンドで嬉しい勝利となった。
石田/前島組、鶴田/大城組の猛追から逃げ切り優勝を果たした長崎/秋田組。チームにとって相性がよくなかった丹後半島ラウンドで嬉しい勝利となった。

 E-2クラス(Expert/TOYOTA 86)は、2位に10ポイント差をつけてポイントリーダーを走る長﨑 雅志/秋田 典昭組を石田 政晃/前島 俊彦組、鶴田 健二/大城 明人組が追う展開。一本目の丹後王国SSで大幅に出遅れた長﨑/秋田組の隙をついて、全体ベストの同タイムを刻む石田/前島組と鶴田/大城組であったが、続く奥寄線SSで長﨑/秋田組が名誉挽回のアタックで2位以降に5秒以上の差をつける。その後も長﨑/秋田組が安定したスピードを見せ、見事優勝を飾った。
 毎戦熱戦が続くC-2クラス(Challenge/ヴィッツ1500cc)は今年から参戦の武井 和馬/滝藤 尚人組が午前セクションで出遅れた分を取り戻すべく迫力の走りを見せ、激戦の中で見事逆転優勝を果たした。
 E-1クラス(Expert/ヴィッツ1500cc)は富本 諒/山岸 佑也組が序盤から好走を見せ、全SSクラストップタイムでの完全優勝を果たすこととなる。

石田/前島組、鶴田/大城組の猛追から逃げ切りE-2クラス優勝を果たした長崎/秋田組。チームにとって相性がよくなかった丹後半島ラウンドで嬉しい勝利となった。
石田/前島組、鶴田/大城組の猛追から逃げ切り優勝を果たした長崎/秋田組。チームにとって相性がよくなかった丹後半島ラウンドで嬉しい勝利となった。
本来の速さが戻ってきた富本/山岸組。期待の若手の走りに注目したい。
本来の速さが戻ってきたE-1クラスの富本/山岸組。期待の若手の走りに注目したい。

 トヨタ車限定(1501cc以上)のExpert E-4クラスは、カルディナの中村 英一/山口 達雄組と86の山口 忍/坂田 智子組の争い。新型86にマシンをチェンジしてから、ここまでなかなか流れを掴めない山口/坂田組であったが、車両のセッティングを見直してのアタックとなった。
 トヨタ車限定(1500cc以下)のExpert E-3クラスは全車ヴィッツの争いとなる。争いが激化するポイントランキングリーダーの大谷 美紀夫/安藤 恭平組と小出 辰彦/松本 芳幸組が丹後王国SSで同着クラストップタイムを刻み一歩リードするも、続く林道の奥寄線SSと大内線SSで、ヴィッツG'zを駆る吉田 知史/高田 幸治組が躍進。その後も林道SSで着実にリードを広げ、約10秒差での優勝となった。

本来の速さが戻ってきた富本/山岸組。期待の若手の走りに注目したい。
本来の速さが戻ってきたE-1クラスの富本/山岸組。期待の若手の走りに注目したい。

 C-3クラス(Challenge/TOYOTA 86)は、第7戦 渋川での勝利で勢いに乗る與座 健/大矢 啓太組が本戦でも好調な走りを維持。上位E-2クラスに割って入るタイムを連発し、2位以下に15秒以上の差をつけての優勝となった。
 C-1クラス(Challenge/AQUA)は、ポイントリーダーの稲垣 和也/ジュンコ組が安定したスピードを見せる。特に林道ステージで速さを見せ、20秒近いリードを築いたままの見事な優勝を決めた。

  • 林道ステージで安定したスピードを見せた稲垣/ジュンコ組。西日本シリーズポイントランキングで2位との差を広げた。
    林道ステージで安定したスピードを見せたC-1クラスの稲垣/ジュンコ組。西日本シリーズポイントランキングで2位との差を広げた。
  • コーナー内側の深い側溝を大胆にカットする走りが見事成功した武井/滝藤組。
    コーナー内側の深い側溝を大胆にカットする走りが見事成功したC-2クラス武井/滝藤組。

 西日本最大級の道の駅で、今回も一般観戦できるエリアが設定された道の駅 丹後王国「食のみやこ」では、同時開催イベントとしてTOYOTA GAZOO Racing PARKも開催された。86GRMNの走りをプロドライバーの横で体験できる特別試乗会や子供から大人まで人気のドライビングシミュレーター、飛び出すAR塗り絵や人気のクラフトカーなど、沢山の催しが実施された。また、SSの走行を終えたラリーカーがTOYOTA GAZOO Racing PARKブースの横をゆっくり走行することとなり、間近で見るラリーカーの迫力に訪れた観客からは驚きの声と声援が飛んでいた。

  • クイズやクラフトカーなど、子供たちも楽しめるイベントが盛りだくさんのTGRP。
    クイズやクラフトカーなど、子供たちも楽しめるイベントが盛りだくさんのTOYOTA GAZOO Racing PARK。
  • 丹後王国「食のみやこ」内で開催されたTGRP。多くの子供連れで賑わった。
    TOYOTA GAZOO Racing PARK会場内ではTOYOTA86 5周年を記念してを86Koukiにサインをいただきました。

PICK UP狙うは二年連続の特別戦・新城ラウンド出場!

僅差で高桑組に破れ、悔しさを滲ませた西村/中野組。この2組の勝負はまだ続きそうだ。
僅差で高桑組に破れ、悔しさを滲ませた西村/中野組。この2組の勝負はまだ続きそうだ。

 地元京都からの参戦となる西村 邦夫/仲野 篤組は、昨年からの参戦ながら安定感のある走りで、ポイント上位選手のみが参戦できる特別戦の新城ラウンドにも出場した実力派チーム。今年はE-1クラスにステップアップし、シリーズポイント3位で臨む地元戦となる。同ポイントで3位の高桑 真人/高桑 真組との直接対決となったが、SS毎に順位を入れ替える手に汗握る熱戦を演じたが、最終SSでタイムを落とし0.6秒の僅差で惜しくも破れた。2年連続の新城ラウンドへの出場を目指し、逆転を誓った。
 同じく京都からの参戦となる吉田 知史/高田 幸治組。シャープなスタイリングが目を引くG'zグレードのヴィッツに、本戦からはダイナミックなカラーリングを施しての参戦となった。強豪ヴィッツスペシャリストが集うE-3クラスで一気にポイントを稼いだ吉田/高田組。熱戦が続く西日本シリーズでのポイント争いに注目が集まる。

僅差で高桑組に破れ、悔しさを滲ませた西村/中野組。この2組の勝負はまだ続きそうだ。
僅差で高桑組に破れ、悔しさを滲ませた西村/中野組。この2組の勝負はまだ続きそうだ。

Entrant interviewラリー参戦のきっかけは石原裕次郎。
アクアにマシンをチェンジし、新たな挑戦!

チーム名:ADVAN☆シルバーAQUA
ドライバー:岩城 のぼる
コ・ドライバー:髙橋 功

 TOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジの前身となるTRDヴィッツチャレンジ初期から参戦する、岩城 のぼる(65)さんと、髙橋 功(59)さんのベテランチーム。今年からマシンをアクアに乗り換え、新たなチャレンジを始めたお二人の参戦スタイルを聞いた。

「ラリーは楽しまなくちゃ」。そう語ったお二人の笑顔から、長くラリーを続ける秘訣が見えた。
「ラリーは楽しまなくちゃ」。そう語ったお二人の笑顔から、長くラリーを続ける秘訣が見えた。
まだまだアクアの走らせ方が掴めないと語る岩城選手。「まず減量かな?」と冗談ぽく漏らした。
まだまだアクアの走らせ方が掴めないと語る岩城選手。「まず減量かな?」と冗談ぽく漏らした。
見事2位表彰台を獲得し、西日本シリーズランキング2位を死守した。
見事2位表彰台を獲得し、西日本シリーズランキング2位を死守した。

Q:モータースポーツ歴を教えてください。
A(岩城さん):20歳頃からラリーを始めましたから、もうかれこれ40年以上やってますね。
A(高橋さん):始めたのは30歳前ころからでしょうか。ドライバーとして全日本ラリー選手権に出たりしてました。
Q:ラリーを始めようと思ったきっかけは?
A(岩城さん):石原裕次郎が主演の映画「栄光への5000キロ」を見たのがきっかけです。1970年頃は裕次郎に影響されてラリーを始めた人が沢山いたんですよ。それで仲間が沢山できて、それからはラリーの世界にどっぷりです。
Q:ラリーチャレンジにはいつから参戦?
A(岩城さん):2003年頃(TRDヴィッツチャレンジ)に参戦を始めました。途中、参戦はおやすみしてたんですが、2013年に高橋さんに声をかけて再び帰ってきました。やっぱりラリーを走りたくなっちゃうんですよね。
Q:アクアに乗り換えたきっかけは?
A(岩城さん):去年ヴィッツを売っちゃって、次の車を何にしようかと考えてた時にアクアでラリーというのが盛り上がってきた。ハイブリッドのエコカーでラリーというのも面白いかなと。
Q:実際乗ってみてアクアのラリーカーはどうですか?
A(岩城さん):…難しいです。CVTなので、使用するドライブレンジとか、バッテリーの使い方とか…車のバランスは良い感じがするんだけど、まだまだヴィッツのように振り回せません。女性陣が速いクラスだけど、体重が軽い方がアクアの特性は活きるのかもしれないですね。そういう点も含めて実践で試行錯誤してる最中です。
Q:参戦費用はどうしてますか?
A(岩城さん):アクアを作ってから特に費用はかかってませんよ。エントリー費用くらいです。
A(高橋さん):僕が練習に誘っても来てくれないんですよ。本番が練習とか言って…(笑)
A(岩城さん):だからタイヤも減らないからいいんです。
Q:今後、ラリーチャレンジに望むことは。
A(岩城さん):1DAYラリーだから参戦できるという点は大きい。できれば企業チームに負けないくらいプライベーターが盛り上がるといいね。ウチのアクアみたいにシルバーボディにステッカー貼っただけの車でもどんどん出てきて欲しい。

長年のコンビネーションで息の合った掛け合いを見せてくれた岩城・高橋組。アクアの走りのツボを掴めるかが勝負の決め手になりそうだ。

クラス:C-1
車種:トヨタ アクア
型式:NHP10

「ラリーは楽しまなくちゃ」。そう語ったお二人の笑顔から、長くラリーを続ける秘訣が見えた。
「ラリーは楽しまなくちゃ」。そう語ったお二人の笑顔から、長くラリーを続ける秘訣が見えた。
まだまだアクアの走らせ方が掴めないと語る岩城選手。「まず減量かな?」と冗談ぽく漏らした。
まだまだアクアの走らせ方が掴めないと語る岩城選手。「まず減量かな?」と冗談ぽく漏らした。
見事2位表彰台を獲得し、西日本シリーズランキング2位を死守した。
見事2位表彰台を獲得し、西日本シリーズランキング2位を死守した。

Rally DataTOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジ in 丹後半島

  • 主催

    大阪電気通信大学体育会自動車部 (OECU-AC)
    京都府京丹後市峰山町杉谷889番地 京丹後市役所駐車場(HQ)

  • 開催日

    2017年8月27日(日)

  • セレモニアルスタート会場

    京丹後市役所駐車場

  • サービスパーク

    京丹後市役所駐車場

  • ゴール会場

    京丹後市役所駐車場

  • セクション数/SS本数

    2/6本

  • SSトータル距離/総走行距離

    15km/112km

  • 参加台数

    44台
    C-1 7台/C-2 7台/C-3 6台
    E-1 6台/E-2 6台/E-3 6台/E-4 6台

  • 出走台数/完走台数

    42台/39台

クラス別順位

E-2

順位 ドライバー / コ・ドライバー / 車名
1 長崎 雅志/秋田 典昭/トヨタ 86
2 石田 政晃/前島 俊彦/トヨタ 86
3 鶴田 健二/大城 明人/トヨタ 86

E-4

順位 ドライバー / コ・ドライバー / 車名
1 中村 英一/山口 達雄/トヨタ カルディナ
2 山口 忍/坂田 智子/トヨタ 86
3 今村 俊之/岩尾 竜太郎/トヨタ MR-S

E-3

順位 ドライバー / コ・ドライバー / 車名
1 吉田 知史/高田 幸治/トヨタ ヴィッツ
2 小出 辰彦/松本 芳幸/トヨタ ヴィッツ
3 松井 克樹/大弥 保憲/トヨタ ヴィッツ

E-1

順位 ドライバー / コ・ドライバー / 車名
1 富本 諒/山岸 佑也/トヨタ ヴィッツ
2 高桑 真人/高桑 真/トヨタ ヴィッツ
3 西村 邦夫/仲野 篤/トヨタ ヴィッツ

C-3

順位 ドライバー / コ・ドライバー / 車名
1 與座 健/大矢 啓太/トヨタ 86
2 有馬 晃一郎/中川 恵介/トヨタ 86
3 山地 浩生/辻 寛司/トヨタ 86

C-2

順位 ドライバー / コ・ドライバー / 車名
1 武井 和馬/滝藤 尚人/トヨタ ヴィッツ
2 杉本 成/島根 剛/トヨタ ヴィッツ
3 深津 勇人/栗山 尚広/トヨタ ヴィッツ

C-1

順位 ドライバー / コ・ドライバー / 車名
1 稲垣 和也/ジュンコ/トヨタ アクア
2 岩城 のぼる/高橋 功/トヨタ アクア
3 南久松 奈々/大西 紗智/トヨタ アクア