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スーパーフォーミュラ 2016年 レース車両解説

スーパーフォーミュラ 2016年 レース車両解説

"クイック&ライト"が魅力のSF14
エコ技術の開発も担う"RI4A"エンジン

 スーパーフォーミュラは、2014年からテクニカルレギュレーション(車両規定)が一新された。シャシーはイタリアの有力コンストラクターであるダラーラ社が製造するSF14で、搭載するエンジンはSUPER GTと同じく2,000cc直列4気筒の直噴ターボである。今シーズからはタイヤ供給メーカーが変更となり、全車が横浜ゴム製のタイヤを使用することになった。

 車両の基本コンセプトは"クイック&ライト"。これはフォーミュラカーの原点とも言うべきもので、車両重量が軽くなったことに加えてブレーキ・ローター(ディスク)がカーボン製に変更されたことで、ブレーキのパフォーマンスが格段に向上したことも、新型車両の運動性能を大きく引き上げることに繋がっている。

 トヨタが開発した新規定に対応したエンジンは、2,000cc直列4気筒直噴ターボの"RI4A"。SUPER GTでLEXUS RC Fが搭載している"RI4AG"とは、その型式からも分かるように基本は同じだ。

 スーパーフォーミュラでも出力制限が実施されている。2013年までは、エンジン回転数を制限するレブリミッターを採用していたが、2014年からは"燃料流量リストリクター"となった。これは時間あたりの燃料流量を制限することで、最高出力を制限しようというもの。2014年は基本的に100kg/h(1時間当たり100kg)だったが、2015年は95kg/hに規制が強化され、一部のサーキットでは安全面から、さらに絞られていた。2016年もこの規制は継続され、富士と鈴鹿で95kg/h、それ以外のサーキットでは90kg/hとされている。

 一方、スーパーフォーミュラの特長でもあるオーバーテイク・システムは、新規定になっても採用されている。新規定では燃料流量リストリクターの上限を20秒間にわたり一定量大きくして出力を上げ、オーバーテイクを支援する。

 2014年から導入されたSF14は、軽量化と強烈なダウンフォース生み出す空力特性などが相まって、鈴鹿サーキットでは「コーナリングはF1カーよりも速い」と噂され、また富士スピードウェイでは最高速が300km/hを超えるなど、トップフォーミュラに相応しい速さをアピール。2014年は開催5サーキット中、4つのコースレコードを更新。さらに2015年シーズンには、岡山国際サーキットとスポーツランドSUGOでコースレコードが書き換えられている。

 2016年シーズンは、タイヤという重要なパーツが変更となった。すでに2015年12月のテストでは、従来タイヤと同等以上のタイムを記録。それだけにどのドライバー、チームが、このタイヤに合わせたドライビングや車輌セッティングをいち早く見いだせるかにも注目が集まっている。

2016年シーズンを戦うSF14

エンジン

  • エンジン型式

    RI4A

  • 排気量

    2,000cc

  • 気筒数

    直列4気筒直噴

  • 過給器

    ターボチャージャー(ギャレット製)

  • 重量

    85kg

  • 出力

    550馬力(405kw)以上

  • 出力制限方法

    燃料リストリクターによる燃料流量制限

シャシー

  • 車両名称

    ダラーラSF14

  • 全長

    5,268mm

  • ホイールベース

    3,165mm

  • 全幅

    1,910mm

  • 全高

    960mm

  • 最低重量

    660kg(ドライバー搭乗時)

  • ギアボックス

    リカルド前進6速/パドルシステム

  • ブレーキ

    ブレンボキャリパー&ブレンボカーボン製ディスク

  • ステアリングシステム

    KYB電動パワーステアリングシステム

  • フロントサスペンション

    プッシュロッドトーションバースプリング

  • リアサスペンション

    プッシュロッド