スーパーフォーミュラ 2016年 第3戦 富士

決勝

今季初勝利を挙げたJ.P.デ・オリベイラと星野一義監督、2位の中嶋一貴、3位初表彰台の関口雄飛

J.P.デ・オリベイラが終盤の逆転で今季初勝利!
中嶋一貴が悔しい2位。関口雄飛が3位で初表彰台獲得

7月17日(日)富士スピードウェイで全日本スーパーフォーミュラ選手権の第3戦が行われ、終盤の逆転で首位に立ったジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が今季初勝利。オリベイラにかわされるまで首位を快走した中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM'S)が惜しくも2位。素晴らしいファイトで観客を沸かせた関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が3位に入り、デビュー3戦目にして初表彰台を獲得した。迫力のバトルが数多く繰り広げられたレースで、トヨタエンジンはトップ7を独占した。

 17日(日)は、朝方は路面が濡れていたものの、雨は降らず、昼には路面は完全ドライに。決勝レース直前のウォームアップ走行で、この週末初めて完全なドライでの走行を試すこととなった。
 空は雲が覆い、気温25度、路面温度27度というコンディションで午後2時に開始されたフォーメーションラップの後に、55周で行われる決勝レースのスタートが切られた。最前列2番手の石浦宏明(P.MU/CERUMO · INGING)は好スタートを切ったが、TGRコーナー(第1コーナー)進入のブレーキングで速度を落としきれず、コーナー立ち上がりでオーバーラン。ポールポジションの車両もオーバーランしたことで、オリベイラが首位に浮上。3列目6番手から抜群のスタートを切った中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM'S)が続いた。4周目の最終コーナーでオリベイラがミスした隙を突き、中嶋一貴が首位に立つと、この2台が周回毎に3位以下を引き離していった。

 上位2台が3位以下を引き離す一方で、早めのピットイン作戦を採り、再スタートで6位にポジションを上げていたアンドレ・ロッテラーが猛追。前を行く関口を何度も攻めるが、関口は一歩も譲らず、激しいバトルを繰り広げた。
 20周以上に渡って接近戦を繰り広げた2台は、徐々に前の車両との差も詰めていき、40周目には4台での3位争いに。46周目には、関口が前を行くストフェル・バンドーン(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)のインをついてパス。翌周のストレートではロッテラーも関口に続いた。更に続く激しいバトルの中、48周目にバンドーンがTGRコーナーの進入でスピンからコースアウトを喫すると、後方で順位を争いながら追い上げていたロシター、ナレイン・カーティケヤン(SUNOCO TEAM LEMANS)、石浦の3台もポジションアップ。トヨタ勢がトップ7を独占する状況となった。

 首位争いは2秒ほどの差で推移していたが、終盤オリベイラがペースアップ。TGRコーナーでスピン車両による黄旗が振られたこともあり、2台の差は一気に詰まり、テール・トゥ・ノーズのバトルに。オーバーテイクシステムを共に使い合いながらの激しい首位争いが展開されたが、51周目のTGRコーナー進入でついにオリベイラが中嶋一貴をパスして首位を奪取。

スタートシーン

中嶋一貴とジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ

関口雄飛とアンドレ・ロッテラー

 オリベイラはそのまま逃げ切ってトップチェッカーを受け今季初勝利。昨年の富士大会以来1年ぶり、2年連続となる勝利を挙げた。中嶋一貴は2位フィニッシュ。3位には、ロッテラーの猛追を凌ぎ切り、後半のバトルで観客を湧かせた関口が入り、トップフォーミュラデビュー3戦目で初の表彰台を獲得した。
 ロッテラーが4位。ジェームス・ロシター(KONDO RACING)が5位。6位争いは最後までカーティケヤンを追っていた石浦が、ファイナルラップの最終コーナー立ち上がりで勝負を懸け、2台はほぼ並んだままフィニッシュラインを通過。僅か0.007秒差で石浦がこの勝負を制し、6位フィニッシュ。カーティケヤンが7位に入り、トヨタエンジンは「ホーム」富士でトップ7を独占。国内トップフォーミュラにおける夏の富士大会で7年連続勝利を飾ることとなった。

ITOCHU ENEX TEAM IMPUL 19号車 ドライバー ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ:

良いスタートが切れて、1コーナー進入はアウト側のポジションにつけ、イン側の2台が止まりきれずにコースアウトしたので、首位に立てた。(中嶋)一貴が追ってきたためプッシュしたが、最終コーナーでやってはいけないミスをして、抜かれてしまった。その後は、追い抜きは非常に難しいレースになると思い、タイヤを出来る限り温存してチャンスを待った。最後は黄旗で差を詰めて、そのチャンスを活かしてパスすることが出来て良かった。私自身にとってのトップフォーミュラ10勝目も嬉しいが、頑張ってくれたチームのためにも、(関口)雄飛と共に2台が表彰台に上れたことを喜んでいる。

1-3フィニッシュとなったITOCHU ENEX TEAM IMPULのジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ、星野一義監督、関口雄飛

VANTELIN TEAM TOM'S 37号車 ドライバー 中嶋一貴:

今朝の走行から好感触で、タイムも良かったのである程度いいレースが出来るとは思っていた。グリッドは6番手だったが、スタートで2位に上がることが出来、JP(デ・オリベイラ)のミスもあって首位に立てた。前半はペースが良く、引き離すことが出来たが、最後の20周くらいは彼の方がペースが良くなり、苦しいレースだった。残り周回も少なかったので、オーバーテイクシステムも駆使し、何とか首位を守ろうと頑張ったが、守り切れず、その点は残念ではある。ただ、今シーズンはまだまともなレースが出来ておらず、前2戦はレースペースも、予選も良くなかったので、今日は満足のいくレースとは言えないが、少なくとも復調へのきっかけにはなったと思う。選手権のポイントでは皆あまり離れていないので、これが開幕戦のつもりで、これからのシーズンを戦って行きたい。

ITOCHU ENEX TEAM IMPUL 20号車 ドライバー 関口雄飛:

決勝直前のウォームアップで初めて完全なドライで走ったが、クルマはそんなに悪い感じはしなかったので、大きなセット変更無くレースに臨んだ。前半の燃料を積んだ状態ではトラクションが悪くてペースが上がらず、苦しかった。(アンドレ)ロッテラー選手が、ダウンフォースを失いつつも激しく攻めてきて、何度か危ない場面もあったが、ブレーキングでは、止まれなくてもいいから絶対に引かない、という意識で粘り続けた。あそこでポジションを守り切れたからこその3位だと思う。ここに来るまで、苦しい期間を過ごしてきたが、その間も支えてくれたスポンサーさんや、その後迎え入れてくれたトヨタやバンドウチーム、そして、精神的に厳しかった時に助けてくれた脇阪さんのおかげで、このチャンスをつかめた。ここまでの2戦、早く結果を出したかったが、色々不運などもあり、なかなか結果を出せない中、何とか3戦目で3位になれて良かった。バトルの時に、うちの監督がガンガン行け、と背中を押してくれたことも大きかった。本当に感謝している。

RESULT
スーパーフォーミュラ 2016年 第3戦 富士 決勝結果

順位No.ドライバー車両名/エンジン周回所要時間ベストラップ
119ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14
TOYOTA RI4A
551:25'12.917---1'25.789
237中嶋 一貴VANTELIN KOWA TOM'S SF14
TOYOTA RI4A
551:25'15.7532.8361'25.759
320関口 雄飛ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14
TOYOTA RI4A
551:25'41.45928.5421'26.528
436アンドレ・ロッテラーVANTELIN KOWA TOM'S SF14
TOYOTA RI4A
551:25'44.80631.8891'26.813
53ジェームス・ロシターフジ・コーポレーション KONDO SF14
TOYOTA RI4A
551:25'51.26638.3491'26.587
61石浦 宏明P.MU/CERUMO · INGING SF14
TOYOTA RI4A
551:25'56.26143.3441'26.875
77ナレイン・カーティケヤンSUNOCO TEAM LEMANS SF14
TOYOTA RI4A
551:25'56.26843.3511'26.840
810塚越 広大REAL SF14
Honda HR-414E
551:26'02.93150.0141'26.772
918中山 雄一KCMG Elyse SF14
TOYOTA RI4A
551:26'12.40559.4881'27.544
108小林 可夢偉SUNOCO TEAM LEMANS SF14
TOYOTA RI4A
551:26'30.7211'17.8041'27.064
1111伊沢 拓也REAL SF14
Honda HR-414E
541:25'18.4611Lap1'27.803
1234小暮 卓史DRAGO CORSE SF14
Honda HR-414E
541:25'19.3791Lap1'26.945
1340野尻 智紀DOCOMO DANDELION M40Y SF14
Honda HR-414E
541:25'30.2191Lap1'27.320
1465ベルトラン・バゲットNAKAJIMA RACING SF14
Honda HR-414E
511:20'20.5734Laps1'26.331
41ストフェル・バンドーンDOCOMO DANDELION M41S SF14
Honda HR-414E
471:14'08.3678Laps1'26.245
4ウィリアム・ブラーフジ・コーポレーション KONDO SF14
TOYOTA RI4A
401:04'33.97815Laps1'27.446
16山本 尚貴TEAM 無限 SF14
Honda HR-414E
401:25'21.87515Laps1'26.417
2国本 雄資P.MU/CERUMO · INGING SF14
TOYOTA RI4A
1421'28.97041Laps1'26.835
64中嶋 大祐NAKAJIMA RACING SF14
Honda HR-414E
未出走