スーパーフォーミュラ 2016年 第5戦 岡山

レース2

国本雄資がスーパーフォーミュラ初優勝、中嶋一貴、石浦宏明が続きトヨタエンジン表彰台独占

国本雄資がレース2で悲願のシリーズ戦初優勝!
中嶋一貴、石浦宏明が続きTDP出身ドライバーが表彰台独占

岡山国際サーキットで行われたスーパーフォーミュラ第5戦のレース2では、国本 雄資(P.MU/CERUMO・INGING)が悲願のシリーズ戦初優勝を飾った。中嶋 一貴(VANTELIN TEAM TOM'S)が2位、石浦 宏明(P.MU/CERUMO・INGING)が3位で続き、トヨタ・ヤング・ドライバーズ・プログラム(TDP)出身ドライバーが表彰台を独占する活躍を見せた。

 11日(日)に行われたレース2の予選は、通常とは異なる2セッションのノックアウト方式で実施。午前9時50分、上位10台がQ2へと進出する20分間のQ1セッションが開始された。この日は事前の練習走行が無く、予選が最初の走行セッションという事もあり、開始6分ほど前からほとんどの車両がピットロードに並び、スタートと共にコースイン。10分ほどで最初のアタックを終えてピットへ戻り、残り7分ほどで新品タイヤを装着し、再度アタック。

 各車アタック5周目でタイムを出してきたが、20分を経過してのラストアタックで次々にタイムが塗り替えられていき、またもQ2進出のボーダーラインは極僅差の争いに。
 そんな中でトップに立ったのが関口 雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)。スーパーフォーミュラでは大差とも言える0.3秒もの差をつけての暫定ポールにつけた。
 チェッカー直前のアタックで好位置に付けていた中嶋一貴、中山 雄一(KCMG)、アンドレ・ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM'S)は最後に極僅差でかわされまさかのQ1落ち。中嶋一貴は10番手と0.007秒差、中山も0.009秒差でQ2進出を逃すこととなってしまった。

 10分間のQ2は、残り7分となったところで各車コースイン。しかし、先陣を切ってコースに向かった小林 可夢偉(SUNOCO TEAM LEMANS)が計測1周目にコースオフ。またしても赤旗中断となってしまった。
 残り5分弱でセッションが再開されると、各車アタック出来る周回がぎりぎりと言うこともあり、チェッカー直前に激しく順位が入れ替わる展開に。
 トヨタ勢では前日苦戦していた石浦が好タイム。最後に上回られたものの、最前列2番手グリッドを獲得した。
 予選3番手のクルマがグリッド降格のペナルティを受けたため、ジェームス・ロシター(KONDO RACING)が3番手、ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が4番手、国本が5番手、ナレイン・カーティケヤン(SUNOCO TEAM LEMANS)が7番手、関口が8番手。小林は10番手グリッドから決勝に臨むこととなった。

 気温33度、路面温度44度という暑さの中、午後3時にフォーメーションラップが開始され、レース2(51周)のスタートが切られた。
 2番手の石浦がポジションをキープする一方、2列目3番手グリッドのロシターがスタートでミスしポジションダウン。好スタートを切ったオリベイラが3位へと浮上した。
 1周目を終えたところで、5位の国本を先頭に、中嶋一貴、関口らがピットイン。国本、中嶋一貴はタイヤを交換して作戦通りコースへ復帰したが、関口はピット作業で痛恨のタイムロス。
 翌周にはロッテラーもピットへ。先にピットインしたグループはハイペースで上位との差を詰めていった。
 その後、上位勢も次々にピットへ向かい、14周目には3位走行中のオリベイラもピットインすると、ロッテラーの後でコース復帰。トップの野尻 智紀(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)とそれを追う石浦だけがピットを引っ張り、30秒ほどの差で2位の国本、3位中嶋一貴、4位ロッテラーと続く形に。  21周目に野尻がピットインし、石浦は首位浮上。前の空いた石浦は、唯一ピットインしないまま首位で逃げることに。しかし、30周目にカーティケヤンがスピンを喫し、セーフティカーが導入。このタイミングでピットに向かった石浦はタイヤを交換し4位でコースに復帰した。

1周目にピット義務を果たした国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)

中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM'S)を先頭にした2番手争い

ガッツポーズでチェッカーを受ける国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)

 35周目にレースが再開されると、石浦のピットインで首位に立った国本が再スタートを決めポジションをキープ。
 その後方では、コース復帰時に石浦の前に出た野尻が、セーフティカーラン中の追い越しでペナルティを受けたため、トップの国本に2位中嶋一貴、3位石浦、4位ロッテラー、5位オリベイラと続き、トヨタ勢がトップ5を占めての終盤戦となった。
 1周目のピットインで交換したタイヤで走り続ける国本、中嶋に対し、タイヤを交換したばかりの石浦が、怒濤の追い上げを開始。周回毎にファステストタイムを更新していき、残り6周ほどで中嶋一貴とテール・トゥ・ノーズに。
 ヘアピン進入などで再三攻めるが、中嶋一貴のガードも堅く、ファイナルラップには、残していたオーバーテイクシステムを使っての逃げを打った中嶋一貴を攻略ならず。
 激しい2位争いを背後に、国本は1秒以上の差で逃げ切り、トップチェッカー。シリーズに含まれないJAFグランプリでの勝利経験を持つ国本だが、シリーズ戦ではトップフォーミュラ参戦6年目にして、嬉しい初優勝。翌日に26歳の誕生日を迎える国本が一日早い誕生日プレゼントを自身にもたらした。
 中嶋一貴が2位、石浦が3位で、トヨタ・ヤング・ドライバーズ・プログラム(TDP)出身の日本人勢が表彰台を独占。ロッテラー、オリベイラが4位、5位と続き、トヨタエンジンはトップ5独占という結果となった。
 今季、ここまでの5大会6レースで、全て異なる6名の勝者と混戦のスーパーフォーミュラ。今大会のレース1で2位、レース2で勝利を挙げた国本がやや抜け出しランキング首位となったが、チームメイトの石浦が4.5ポイント差の2位で続いているほか、ランキング7位の中嶋一貴まで8.5ポイントとまだ差は小さく、残り2大会3レース、まだまだタイトル争いは予断を許さない状況が続く。

P.MU/CERUMO · INGING 2号車 ドライバー 国本雄資:

初優勝を果たせて本当に嬉しい。ここまでなかなか結果が出ず、辛い時期もあったが、周りの皆が支えてくれた。昨日はスタートを失敗し2位と残念なレースだったが、速さには自信があったので、今日のレースは絶対に前に出られると思っていた。昨日のレースで、5番手からスタートした人のデータを見て、今の自分なら1周目のピット作戦で前に出られる可能性があると踏み、その作戦に賭けた。その後も良いペースで走ることが出来たし、全てが完璧で満足行くレースだった。今、チームも最強の状態だと思っているので、このままの勢いでチャンピオンを狙っていく。

スーパーフォーミュラ初優勝の国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)

VANTELIN TEAM TOM'S 37号車 ドライバー 中嶋一貴:

今日は非常に良いレースが出来たが、つくづく昨日はもったいないレースをしてしまった。今日はスターティンググリッドがあまり良くなかった時点で1周目に入ることは決めていたが、まさか(国本)雄資があの位置から同じ作戦を採るとは思わなかった。とはいえ、今日の彼のペースは速かったし、完敗だ。最後は石浦君にも追われ、挟まれる形で厳しかったが、なんとか最低限2位という結果を取れて良かった。週末を通してクルマのパフォーマンスも良く、後半戦に向けて弾みがつくと思う。ややポイント差は開いてしまったが、次戦SUGOで何とかその差を詰めて、最終戦鈴鹿は自力でタイトルを狙える位置にいられるよう頑張りたい。

P.MU/CERUMO · INGING 1号車 ドライバー 石浦宏明:

昨日は若干苦しんだが、国本選手のセットアップを参考にさせてもらったりしたおかげで、今朝からクルマにはすごく速さがあり、決勝でのペースも良かった。ただ、若干作戦が上手く機能しなかった。セーフティカーが出てしまったり、ペナルティが出る前の車両に抑えられてしまうなど、ちょっと運がなかった部分もあり、そこは悔しい。しかし、チームとしては国本が去年悩んでいたのも見ていたし、2台で速く走ることをずっと課題にしてやってきたので、こうして国本が初優勝を挙げ、僕も国本のセットアップを参考にさせてもらうなど、チームとしてとても良い状態でレースが出来、結果に繋げられたのは嬉しい。

RESULT
スーパーフォーミュラ 2016年 第5戦 岡山 レース2 決勝結果

順位No.ドライバー車両名/エンジン周回所要時間ベストラップ
12国本 雄資P.MU/CERUMO · INGING SF14
TOYOTA RI4A
511h11'31.8121'17.755km/h158.411
237中嶋 一貴VANTELIN KOWA TOM'S SF14
TOYOTA RI4A
511h11'32.9801.168158.368
31石浦 宏明P.MU/CERUMO · INGING SF14
TOYOTA RI4A
511h11'33.4951.683158.349
436アンドレ・ロッテラーVANTELIN KOWA TOM'S SF14
TOYOTA RI4A
511h11'37.0795.267158.217
519ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14
TOYOTA RI4A
511h11'41.3029.490158.062
616山本 尚貴TEAM 無限 SF14
Honda HR-414E
511h11'43.33111.519157.987
741ストフェル・バンドーンDOCOMO DANDELION M41S SF14
Honda HR-414E
511h11'45.42613.614157.910
811伊沢 拓也REAL SF14
Honda HR-414E
511h11'47.86816.056157.821
920関口 雄飛ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14
TOYOTA RI4A
511h11'51.78119.969157.677
103ジェームス・ロシターフジ・コーポレーション KONDO SF14
TOYOTA RI4A
511h11'52.56120.749157.649
1110塚越 広大REAL SF14
Honda HR-414E
511h11'54.27022.458157.587
1264中嶋 大祐GREEN TEC/NAKAJIMA SF14
Honda HR-414E
511h11'56.66824.856157.499
1318中山 雄一KCMG Elyse SF14
TOYOTA RI4A
511h11'57.72525.913157.460
1434小暮 卓史DRAGO CORSE SF14
Honda HR-414E
511h11'58.28726.475157.440
154ウィリアム・ブラーフジ・コーポレーション KONDO SF14
TOYOTA RI4A
511h12'11.47239.660156.961
1640野尻 智紀DOCOMO DANDELION M40Y SF14
Honda HR-414E
511h12'14.21742.405156.861
178小林 可夢偉SUNOCO TEAM LEMANS SF14
TOYOTA RI4A
511h12'34.8821'03.070156.117
1865ベルトラン・バゲットGREEN TEC/NAKAJIMA SF14
Honda HR-414E
501h12'16.9051 Lap153.690
7ナレイン・カーティケヤンSUNOCO TEAM LEMANS SF14
TOYOTA RI4A
2938'53.50722 Laps1'17.784

RESULT
スーパーフォーミュラ 2016年 第5戦 岡山 レース2 予選結果

順位No.ドライバー車両名/エンジンQ1Q2
140野尻 智紀DOCOMO DANDELION M40Y SF14
Honda HR-414E
1'15.0251'14.404
21石浦 宏明P.MU/CERUMO · INGING SF14
TOYOTA RI4A
1'15.2641'14.656
341ストフェル・バンドーンDOCOMO DANDELION M41S SF14
Honda HR-414E
1'15.0561'14.712
43ジェームス・ロシターフジ・コーポレーション KONDO SF14
TOYOTA RI4A
1'15.2471'14.836
519ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14
TOYOTA RI4A
1'15.1631'14.914
62国本 雄資P.MU/CERUMO · INGING SF14
TOYOTA RI4A
1'15.2441'14.928
77ナレイン・カーティケヤンSUNOCO TEAM LEMANS SF14
TOYOTA RI4A
1'15.1151'15.246
820関口 雄飛ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14
TOYOTA RI4A
1'14.6901'15.288
965ベルトラン・バゲットGREEN TEC/NAKAJIMA SF14
Honda HR-414E
1'15.0861'15.720
108小林 可夢偉SUNOCO TEAM LEMANS SF14
TOYOTA RI4A
1'15.1651'29.938
1137中嶋 一貴VANTELIN KOWA TOM'S SF14
TOYOTA RI4A
1'15.271
1218中山 雄一KCMG Elyse SF14
TOYOTA RI4A
1'15.273
1336アンドレ・ロッテラーVANTELIN KOWA TOM'S SF14
TOYOTA RI4A
1'15.344
1464中嶋 大祐GREEN TEC/NAKAJIMA SF14
Honda HR-414E
1'15.463
1516山本 尚貴TEAM 無限 SF14
Honda HR-414E
1'15.547
1611伊沢 拓也REAL SF14
Honda HR-414E
1'15.652
174ウィリアム・ブラーフジ・コーポレーション KONDO SF14
TOYOTA RI4A
1'15.656
1834小暮 卓史DRAGO CORSE SF14
Honda HR-414E
1'15.876
1910塚越 広大REAL SF14
Honda HR-414E
1'15.952