スーパーフォーミュラ 2016年 第7戦(最終戦)鈴鹿

決勝

逆転で悲願のドライバーズチャンピオンとなった国本雄資

国本雄資が逆転で悲願のドライバーズチャンピオン!
国本/石浦のP.MU/CERUMO・INGINGが初のチームタイトル獲得

スーパーフォーミュラの最終戦が鈴鹿サーキットで2レース制として行われた。ランキング2位として今大会に臨んだ国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)がレース1で今季2勝目を挙げてランキング首位に浮上。国本は波乱のレース2で冷静に6位入賞を果たしてその座を守り、トップフォーミュラ参戦6年目にして悲願のシリーズチャンピオンを獲得した。

レース1決勝

 30日(日)、好天に恵まれるも気温17度、路面温度19度とやや肌寒いコンディションの中、午前9時45分にレース1(19周:ピット義務無し)のスタートが切られた。
 最前列2番手の国本が抜群のスタートを切りトップに浮上。4番手グリッドのアンドレ・ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM'S)も見事なダッシュで2位へジャンプアップを果たす一方、ポールポジションの石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)はこの2台に続く3位へと後退してしまった。

 首位に立った国本は好ペースで逃げるが、2位のロッテラーもファステストラップをマークしながら追走。序盤から首位を争う2台が3位以下を大きく引き離して行く展開となった。
 後方では、6番手グリッドからひとつポジションを上げた中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM'S)が前車をプッシュ。また、ランキング首位で13番手からスタートを切った関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)は、1周目で10位までポジションアップ。更にチームメイトのジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)をかわすと、ポイント獲得を目指し、前を行く8位のストフェル・バンドーン(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)に激しくアタック。

 巧妙なブロックに阻まれながら、再三に渡ってテール・トゥ・ノーズで攻め続けた関口だったが、15周目のシケイン2つめで追突。バンドーンはスピンを喫し、関口は8位へとポジションを上げた。

決勝レース1スタートシーン

トヨタエンジン勢の表彰台独占となった決勝レース1

 首位を逃げる国本は、レースを通して2位ロッテラーに1秒以上の差を保ったまま走行を続け、トップでチェッカー。今季2勝目を挙げ、ランキング首位に躍り出た。ロッテラーが2位、石浦が3位、中嶋一貴は5位フィニッシュ。関口は8位でチェッカーを受けたが、レース後、接触による30秒加算のペナルティを科され、ポイント圏外の18位という最終結果に。
 この結果、タイトル争いは国本、関口、ロッテラー、石浦の4名のみに絞られ、レース2を迎えることとなった。

レース2決勝

 午後2時45分、気温22度、路面温度28度というコンディションの中、35周(タイヤ交換義務あり)の決勝レースがスタート。
 スタートではポールポジションの石浦がかわされ、2位に後退、3列目5番手、6番手のロッテラーと中嶋一貴が3位、4位に浮上、3番手グリッドだった国本はスタートを失敗。6位に順位を落としてしまった。

 1周目終了時点で中嶋一貴ら数台、翌周には関口や小林可夢偉(SUNOCO TEAM LEMANS)、3周目終了時にオリベイラと序盤から次々に後方勢はピットへ。
 一方で、タイトル獲得には優勝しかない石浦は首位バンドーンを1秒ほどの差で追走。12周を終えたところで、3位のロッテラー、16周目を終えたところで、首位のバンドーンと石浦が同時にピットへ。この3台は順位を変えることなく、先にピットインしていた中では先頭のオリベイラの前に復帰した。

 これで、ピットに入らず残ったのは国本と18番手スタートのジェームス・ロシター(KONDO RACING)の2台。国本は徐々にペースを上げ、いつピットに入るかと思われた24周目、スプーンコーナー立ち上がりでクラッシュが発生し、セーフティカーが導入。このタイミングで国本とロシターがピットへ向かった。

 最後に作業を終えた国本とロシターは、7位、8位でコースへ復帰。このままの順位で終われば国本のチャンピオンが決まるが、逆転タイトルのための優勝を目指し、マージンの詰まった2位石浦と3位ロッテラーが猛追を開始した。
 27周目、残り9周で再スタートが切られたが、最終コーナー付近でまたもクラッシュが発生し、再度セーフティカーが導入。レースは残り4周の超スプリントで再開されることとなった。

 再スタートで好ダッシュを見せたロッテラーはストレートで前を行く石浦に並び、1コーナーでパス。首位バンドーンとの差をじりじりと詰めていった。
 一方、7位につけていた国本は、再スタートでロシターにかわされたが、そのロシターがS字コーナー付近で他車とのバトルの末に接触。直後にいた国本はこれを間一髪でかわし、6位へとポジションを上げた。

決勝レース2スタートシーン

2戦連続2位でランキング2位となったアンドレ・ロッテラー

チャンピオン獲得のチェッカーを受ける国本雄資

 ロッテラーはファイナルラップには首位との差を1秒以内まで詰めたが、逆転には至らず2位フィニッシュ。石浦が3位。そして国本は6位でチェッカーを受け、トップフォーミュラ参戦6年目にして、悲願のドライバーズタイトル獲得を決めた。国本はこの日最多ポイント獲得ドライバーに与えられるJAFグランプリも獲得。
 また、今大会の結果、国本と石浦の所属するチーム、P.MU/CERUMO・INGINGが初のチームタイトルも獲得することとなった。

P.MU/CERUMO・INGING 2号車 ドライバー 国本雄資:

本当に長くて辛いシーズンだったが、こうしてチャンピオンを獲得することが出来てすごく嬉しいし、ほっとしている。昨シーズン、チームメイトの石浦さんがチャンピオンを取ったのに自分は及ばず苦しいシーズンだったので、今年こそはと思ってシーズンオフから色々なことにトライして、全てを変える意識で挑んだ。開幕戦で2位、岡山の2レース目で初優勝を果たせるなど、やってきたことが少しずつ結果に表れているという実感もあったし、自分の中でも少しずつ自信が付いて、最後のレースも絶対にチャンピオンを取ってやると言う強い気持ちで鈴鹿に入った。レース1では、最高のスタートを切ることが出来、キャリアベストと思えるほどのレースだった。レース2はちょっと上手く行かないところもあったが、周りの状況を冷静に見ながら、最後まで自分のレースをすることが出来た。去年悔しい思いをした分、このシリーズタイトルには重みがあるし、本当に嬉しい。この結果は応援し、支えてくれたチームやファンの皆様のおかげだと感謝している。

P.MU/CERUMO・INGINGのチームフォト

VANTELIN TEAM TOM'S 36号車 ドライバー アンドレ・ロッテラー:

今日は良いレースが出来たと思うが、あとひとつ上でフィニッシュ出来ればタイトルに手が届いたと思うと、複雑な気分だ。とはいえ、シーズンを通して振り返ると、やはり速さが足りなかったところもあり、最後まで諦めずに戦ったが僅かに及ばなかった。今年は最終戦まで多くのドライバーが僅差でタイトルを争う厳しいシーズンだった。私自身はこれまでにも何度も最終戦でタイトルを獲得し損ねてランキング2位になっており、このシリーズのポイントシステムでは往々にしてこういうことはある。今日はシーズン最後のレースで可能な限りハードにプッシュ出来たし満足している。

P.MU/CERUMO・INGING 1号車 ドライバー 石浦宏明:

レース2ではレース1よりも良いスタートが切れて、自分的には納得のいくものだったのでこれなら抜かれないかと思ったのだが、ストフェル(バンドーン)選手のスタートがそれ以上に、驚くほど速かった。スタート、そしてセーフティカーからのリスタートでもポジションを失うなど、あまり良いレースが出来たとは言えないが、かなり差のある状況で今大会に臨み、両レースでポールを取って、2戦とも表彰台に乗れたというのは悪くなかったと思うし、チーム全体で最後まで諦めずに戦い、僕も表彰台に乗ったことでチームチャンピオンにも貢献出来たのは良かった。去年僕がドライバーチャンピオンを取れたので、今年はチームチャンピオンも目指してチーム一丸でやってきた。本当はドライバーズタイトルも僕が取りたかったので悔しい気持ちもあるが、チームが目指していたものを全部取れたという意味では嬉しく思っている。

RESULT
スーパーフォーミュラ 2016年 第7戦(最終戦)鈴鹿 決勝レース1結果

順位No.ドライバー車両名/エンジン周回所要時間ベストラップ
12国本 雄資P.MU/CERUMO · INGING SF14
TOYOTA RI4A
1931'58.809207.00km/h1'40.387
236アンドレ・ロッテラーVANTELIN KOWA TOM'S SF14
TOYOTA RI4A
1932'00.5811.7721'40.221
31石浦 宏明P.MU/CERUMO · INGING SF14
TOYOTA RI4A
1932'11.89613.0871'40.951
440野尻 智紀DOCOMO DANDELION M40Y SF14
Honda HR-414E
1932'20.94922.1401'40.867
537中嶋 一貴VANTELIN KOWA TOM'S SF14
TOYOTA RI4A
1932'22.95224.1431'41.066
665ベルトラン・バゲットGREEN TEC/NAKAJIMA SF14
Honda HR-414E
1932'23.76024.9511'41.216
734小暮 卓史DRAGO CORSE SF14
Honda HR-414E
1932'25.89627.0871'41.081
819ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14
TOYOTA RI4A
1932'35.08036.2711'41.841
98小林 可夢偉SUNOCO TEAM LEMANS SF14
TOYOTA RI4A
1932'35.34836.5391'42.084
1064中嶋 大祐GREEN TEC/NAKAJIMA SF14
Honda HR-414E
1932'35.62036.8111'41.910
1110塚越 広大REAL SF14
Honda HR-414E
1932'36.25537.4461'41.995
123ジェームス・ロシターフジ・コーポレーション KONDO SF14
TOYOTA RI4A
1932'36.71337.9041'41.465
134ウィリアム・ブラーフジ・コーポレーション KONDO SF14
TOYOTA RI4A
1932'41.57042.7611'41.937
1418中山 雄一KCMG Elyse SF14
TOYOTA RI4A
1932'41.88043.0711'41.981
157ナレイン・カーティケヤンSUNOCO TEAM LEMANS SF14
TOYOTA RI4A
1932'42.11043.3011'41.608
1611伊沢 拓也REAL SF14
Honda HR-414E
1932'46.24947.4401'40.741
1741ストフェル・バンドーンDOCOMO DANDELION M41S SF14
Honda HR-414E
1932'47.09148.2821'41.356
1820関口 雄飛ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14
TOYOTA RI4A
1933'04.1681'05.3591'41.278
1916山本 尚貴TEAM 無限 SF14
Honda HR-414E
1832'50.2281Lap1'40.347

RESULT
スーパーフォーミュラ 2016年 第7戦(最終戦)鈴鹿 決勝レース2結果

順位No.ドライバー車両名/エンジン周回所要時間ベストラップ
141ストフェル・バンドーンDOCOMO DANDELION M41S SF14
Honda HR-414E
351:08'32.427177.92km/h1'41.108
236アンドレ・ロッテラーVANTELIN KOWA TOM'S SF14
TOYOTA RI4A
351:08'33.1530.7261'41.069
31石浦 宏明P.MU/CERUMO · INGING SF14
TOYOTA RI4A
351:08'36.4153.9881'40.943
419ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14
TOYOTA RI4A
351:08'38.8986.4711'41.612
565ベルトラン・バゲットGREEN TEC/NAKAJIMA SF14
Honda HR-414E
351:08'40.9278.5001'41.289
62国本 雄資P.MU/CERUMO · INGING SF14
TOYOTA RI4A
351:08'45.43913.0121'41.953
78小林 可夢偉SUNOCO TEAM LEMANS SF14
TOYOTA RI4A
351:08'46.52314.0961'42.021
820関口 雄飛ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14
TOYOTA RI4A
351:08'47.78315.3561'41.812
934小暮 卓史DRAGO CORSE SF14
Honda HR-414E
351:08'50.78018.3531'42.445
1064中嶋 大祐GREEN TEC/NAKAJIMA SF14
Honda HR-414E
351:08'51.60719.1801'41.531
1118中山 雄一KCMG Elyse SF14
TOYOTA RI4A
351:08'53.07120.6441'41.847
1210塚越 広大REAL SF14
Honda HR-414E
351:08'56.84924.4221'41.275
134ウィリアム・ブラーフジ・コーポレーション KONDO SF14
TOYOTA RI4A
351:08'57.74425.3171'42.695
147ナレイン・カーティケヤンSUNOCO TEAM LEMANS SF14
TOYOTA RI4A
351:09'39.7331'07.3061'39.712
153ジェームス・ロシターフジ・コーポレーション KONDO SF14
TOYOTA RI4A
351:09'51.5411'19.1141'40.777
1637中嶋 一貴VANTELIN KOWA TOM'S SF14
TOYOTA RI4A
351:10'00.8511'28.4241'41.093
16山本 尚貴TEAM 無限 SF14
Honda HR-414E
2852'32.1427Laps1'42.422
11伊沢 拓也REAL SF14
Honda HR-414E
2238'55.90413Laps1'42.735
40野尻 智紀DOCOMO DANDELION M40Y SF14
Honda HR-414E
1526'47.65520Laps1'41.957