スーパーフォーミュラ 2017年 第4戦 もてぎ

プレビュー

2017年 第3戦 富士のスタートシーン

真夏のもてぎ戦でシーズン折り返し
2スペックタイヤ使用義務で戦略に注目

2016年 第4戦 もてぎのスタート前

 8月19日(土)と20日(日)の両日、栃木県芳賀郡茂木町のツインリンクもてぎでスーパーフォーミュラの第4戦「ツインリンクもてぎ2&4レース」が開催される。
 全7戦で戦われる2017年シーズンのスーパーフォーミュラも、折り返しの4戦目を迎える。今季のスーパーフォーミュラはここまでの3大会4レースで全て異なる勝者という、近年のスーパーフォーミュラを象徴するような激戦が繰り広げられており、今大会は後半戦を占う意味でも非常に重要な一戦となる。
 そして、今大会は昨年のもてぎ大会に続き、通常使われているスペックのタイヤに加え、グリップ向上によるタイムアップと引き替えにライフの短いスペックのソフトタイヤが導入され、決勝レースでは両方のスペックを使用することが義務づけられる。予選も、2セットのみ用意されるこのソフトタイヤを、Q1からQ3の3セッションで、どう使うかが重要となる。
 コース幅が狭い、ストップ&ゴータイプのサーキットであるもてぎは追い抜きが難しいこともあり、予選も含めタイヤ戦略が結果を大きく左右することになるかもしれない。
 また、真夏の暑さの下でのレースが予想され、ドライバー、車両への負担も大きい。特にもてぎではブレーキにも大きな負担がかかることから、暑さやブレーキの熱対策も重要となる。
 タイヤ戦略と暑さ対策、夏のもてぎ戦ならではの要素が加わる今レースも、見所の多い一戦となりそうだ。

珍しいオーバル併設のテクニカルコース

 1997年オープンと比較的新しい施設であるツインリンクもてぎは、今年20周年を迎えた。1.5マイル(約2.4km)のオーバルコースと4.801kmのロードコースが併設された、世界でも珍しいサーキット。メインストレートはオーバルのストレートと並行し、コース途中2回にわたってトンネルでオーバルコースの下をくぐる。
 ロードコースではSUPER GTの他、二輪の世界選手権日本グランプリも開催されている。比較的タイトなコーナーやヘアピンをストレートで結んだストップ&ゴーが繰り返されるサーキットのため、ブレーキやタイヤ、ドライバーへの負担も大きい。
 観戦ポイントは数多く、後半セクションはコースの比較的近くで観戦できる他、オーバルコース脇は高さがあり、コースの広い範囲を見渡すことも出来るなど、バリエーションに富んでいる。
 現在レースには使用されていないオーバルコースにはストレート付近に観戦スタンドが設けられる他、第3-4ターンには特設駐車場も用意され、自分の車でオーバルに乗り入れることが出来るのもユニークな点だ。

ツインリンクもてぎ コース図

施設、周辺観光や宿泊も充実

 栃木県と茨城県の県境に近い山中に位置するため、基本的には自動車でのアクセスとなる。公共交通機関は、週末のみJR東北新幹線の宇都宮駅、JR常磐線の水戸駅の両方からサーキット行きの路線バスが出ており、宇都宮発着便の一部は最寄り駅である真岡鐵道の茂木駅も経由する。但し本数が限られているので注意。また、茂木駅からタクシーなら20分ほど。
 自動車では、常磐道の水戸インターから30km、東北道の宇都宮から40km程の国道が、定番のアクセスルートだが、近年開通した北関東道の水戸北スマートIC(ETCが必要)や、北関東道の真岡ICからもアクセス出来るなど、更に便利になっている。但しサーキット周辺は渋滞することを、考慮しておきたい。
 ツインリンクもてぎ内には、様々なアトラクションも用意されており、家族連れでも楽しめる。森からサーキットへとダイナミックな空中散歩が体験できるアトラクション、メガジップラインつばさは、大人も楽しめること請け合い。
 モータースポーツファンには、ホンダコレクションホールも見逃せない。また、今大会は二輪の全日本ロードレースとの併催なので、四輪レースファンも普段見ない二輪レースを楽しむチャンス。そして今大会は、もてぎ20周年記念イベントとして、メモリアルな二輪の世界GPマシンやスーパーGTマシンのデモランや、2週間前のSUPER GT富士大会でその超絶テクニックを披露し話題となった、エアレースのトップパイロット、室屋義秀氏による祝賀飛行も実施される。
 宿泊は、サーキット内にホテルがある他、キャンプも可能。近隣茂木町内の宿泊施設や、水戸、宇都宮まで入れれば、宿泊に困ることはないだろう。
 近隣駅である茂木駅は第3セクターの真岡鐵道の駅。この路線はSL(蒸気機関車)の運行でも有名で、そちらを観光に組み込むのも良いだろう。

2勝目で抜け出すのは誰か。
それとも今季5人目の勝者が生まれるか

第3戦 富士で優勝した石浦宏明と2位のフェリックス・ローゼンクヴィスト、3位のアンドレ・ロッテラー

 昨年のもてぎ戦では、デビューイヤーの関口 雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がポール・トゥ・ウィンで初勝利を挙げ、後半戦の快進撃への足がかりをつかんだ。一昨年は石浦 宏明(P.MU / CERUMO ・ INGING)がポール・トゥ・ウィンでシーズン2勝目を挙げ、自身初のチャンピオン獲得へ大きな一歩となった。この結果を見ても、もてぎ大会がタイトル争いへと重要な意味を持つ一戦だとわかる。また、2人共にポール・トゥ・ウィンであることから、予選でのポジションが非常に重要だ。
 優勝への最有力候補は、昨年初の2スペックタイヤでの戦いを制した関口だろう。石浦も昨年予選2番手(決勝3位)につけており、もちろん対抗馬の最有力。そして、もてぎで通算6勝を挙げているアンドレ・ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM'S)。ロッテラーはここ数年勝利から遠ざかっている(2014年は欠場)が、ほぼ毎年表彰台に絡んでおり、昨年も関口と石浦に割って入る2位という結果を残すなど、その勝負強さで確実に上位争いに加わってくるだろう。
 今季開幕戦を制した中嶋 一貴(VANTELIN TEAM TOM'S)も2013年にもてぎ戦を制しており、2015年も2位表彰台と、決して苦手なコースではないはずだ。
 そして、前戦圧倒的な速さで独走しながらトラブルに泣いたディフェンディングチャンピオンの国本 雄資(P.MU / CERUMO ・ INGING)ももちろん優勝候補のひとりだ。昨年は4番手グリッドから4位フィニッシュ。その後チャンピオンを獲得し、WEC参戦の経験も積んだ国本が現在最速ドライバーのひとりであることは誰もが認めるところ。
 また、WECと言えば、ル・マンでのコースレコード更新のポールポジション獲得が記憶に新しい小林 可夢偉(KCMG)。前戦富士では14番手スタートから入賞圏内まで浮上するも、トラブルで無念の後退。小林はスーパーフォーミュラデビューイヤーの一昨年、このもてぎ戦で予選3位を獲得(決勝はピット作業トラブルで後退)しており、期待は高まる。
 ここまでの4レースで勝利を挙げている中嶋一貴、ロッテラー、関口、石浦の4人の誰が最初に2勝目を挙げるのか。もしくは今季5人目のウィナーが生まれるか。今季は若手の活躍も目立っており、第2戦レース1で3位表彰台を獲得したニック・キャシディ(KONDO RACING)、第2レースの予選2番手につけた山下 健太(KONDO RACING)第3戦で2位表彰台を獲得したフェリックス・ローゼンクヴィスト(SUNOCO TEAM LEMANS)らがデビューイヤーながら優勝を狙える位置での戦いを続けており、初優勝も充分にあり得る彼らの走りにも注目したい。

BSフジでは決勝レースを生中継

 今大会も、BSフジにて決勝レースを全戦生中継!サーキットに行けない方も、決勝レースでのバトルを是非堪能してください。
(第4戦 もてぎ 決勝 8月20日(日)14:00~15:55 BSフジにて放送予定)

BSフジ 番組公式サイト