スーパーフォーミュラ 2017年 第5戦 オートポリス

決勝

ダブル表彰台を獲得したSUNOCO TEAM LEMANSのフェリックス・ローゼンクヴィストと大嶋和也、片岡龍也監督

2年ぶりのオートポリスはソフトタイヤ導入による戦略戦。
後方スタートのローゼンクヴィストが2位、大嶋が3位表彰台獲得

スーパーフォーミュラの第5戦が2年ぶりの九州・オートポリスで開催。ソフトタイヤ導入により終盤まで順位が入れ替わる多様な戦略戦となったレースで、10番手スタートのフェリックス・ローゼンクヴィスト(SUNOCO TEAM LEMANS)が2位で3戦連続表彰台フィニッシュ。15番手スタートのチームメイト、大嶋 和也(SUNOCO TEAM LEMANS)が3位で続き、5年ぶりの表彰台に上った。

 10日(日)は午前中はやや雲がかかって過ごしやすい気候だったが、スタート直前に太陽が顔を出し、やや暖かさを感じる中、気温25度、路面温度33度のコンディションで、午後1時5分に54周で争われる決勝レースのスタートが切られた。

 2,3,4番手グリッドに並んだ国本雄資(P.MU / CERUMO・INGING)、小林可夢偉(KCMG)、アンドレ・ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM'S)を含む上位4台はミディアムタイヤを選択していたが、ロッテラーがスタートをミス。国本、小林もソフトタイヤを装着していた5番手のピエール・ガスリー(TEAM MUGEN)の先行を許し、3位、4位へ後退。大きく順位を落としたロッテラーは、1コーナー進入時に他の車両と接触。サスペンションにダメージを負い、1周でレースを終えることとなってしまった。

 その後方では、ミディアムタイヤの中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM'S)、石浦宏明(P.MU / CERUMO・INGING)に対し、ソフトタイヤを装着した関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)とヤン・マーデンボロー(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)らが序盤から猛追し、ポジションを上げて行った。

 後続は多くがソフトタイヤでのスタートでポジションアップを狙う中、10番手グリッドながらミディアムタイヤでのスタートを選択したローゼンクヴィストは、4周終了という非常に早い時点でピットへ向かい、給油とソフトタイヤへ交換。翌周には15番手と後方スタートを切ったチームメイトの大嶋も同様の作戦を採った。

 ソフトタイヤで3位まで順位を上げた関口は10周終了でピットへ向かうと、ソフトタイヤへと交換。ソフト、ミディアム両方の装着義務があるため、2回のピットストップ作戦を採ることとなった。

 一方で、ミディアムタイヤでのスタートでソフトタイヤ勢にかわされながらも我慢のレースを戦っていた国本、中嶋一貴らは、レースの折り返しを越えてもピットインしないまま周回。34周目終了で中嶋一貴、39周目終了で国本がピットイン。全車がピットを終えた時点で、序盤のピット作戦のあとハイペースで追い上げていたローゼンクヴィストが2位、大嶋が3位、やはり早めのピット作戦を採っていた石浦と小林が4,5位、国本と中嶋一貴はその後でコースへ復帰。

 小林は摩耗したソフトタイヤで苦しみながらも絶妙なラインで順位を守ろうとしたが、新しいタイヤの優位性を活かして激しく攻める国本と中嶋一貴は抑えきれず、7位へ後退。更に国本と中嶋一貴は石浦に迫り、3台での4位争いが繰り広げられた。

 しかし、小林とのバトルでタイヤを摩耗させた国本と中嶋一貴は、石浦を攻略するまでには至らず。

戦略のカギとなった赤いマーキングのソフトタイヤ 戦略のカギとなった赤いマーキングのソフトタイヤ

決勝レースのスタートシーン 決勝レースのスタートシーン

順位を争う小林可夢偉(KCMG)と関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL) 順位を争う小林可夢偉(KCMG)と関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)

中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM'S)と石浦宏明(P. MU/CERUMO・INGING) 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM'S)と石浦宏明(P. MU/CERUMO・INGING)

戦略が功を奏し、3戦連続の表彰台を獲得したフェリックス・ローゼンクヴィスト(SUNOCO TEAM LEMANS) 戦略が功を奏し、3戦連続の表彰台を獲得したフェリックス・ローゼンクヴィスト(SUNOCO TEAM LEMANS)

2、3位のダブル表彰台を獲得したSUNOCO TEAM LEMANSのフェリックス・ローゼンクヴィストと大嶋和也 2、3位のダブル表彰台を獲得したSUNOCO TEAM LEMANSのフェリックス・ローゼンクヴィストと大嶋和也

 2位、3位を走行していたローゼンクヴィストと大嶋は、最後まで燃料が持つか、ソフトタイヤでペースを保つことが出来るか注目の終盤戦となったが、むしろローゼンクヴィストは残り数周で首位に迫る速さを見せた。しかし、逆転までには至らず、ローゼンクヴィストが2位、大嶋が3位でチェッカー。ローゼンクヴィストはルーキーイヤーながら3戦連続の表彰台獲得。今季、フル参戦としては5年ぶりのトップフォーミュラ復帰を果たした大嶋にとっては、5年ぶり、2012年の第4戦富士以来となる表彰台に上ることとなった。ローゼンクヴィストはこの結果、ランキング3位に浮上。
 石浦が4位で逃げ切り、ランキング首位の座を堅守。国本が5位、中嶋一貴が6位、小林が7位、マーデンボローが8位でチェッカーを受け、ポイント獲得を果たした。

SUNOCO TEAM LEMANS 7号車 ドライバー フェリックス・ローゼンクヴィスト

格別なレースだった。まず優勝したピエール(ガスリー)と、表彰台に上った(大嶋)和也さんを祝福したい。チーム2台揃っての表彰台獲得ということで嬉しいし、チームの頑張りに応えられた結果だと思う。ドライバーとしては、特にレースウィーク序盤は厳しい状況だった。決勝レースは非常に早いうちにピットインする作戦を採り、ソフトタイヤで長く走ることになったので、その後はひたすらタイヤと燃料をマネージメントするレースだった。極力タイムを落とすことなく、タイヤを滑らさずにセーブすることを心掛けた。ソフトタイヤを装着したクルマは非常に好調で、最終的にポジションを上げることが出来た。終盤、ピエールにも追いついたが、タイヤの心配もあり、最後まで着実に走り切ることを優先した。3戦連続の表彰台に上れたことは喜んでいる。チャンピオンシップのことを考えても重要なポイントだし、良い結果だ。

フェリックス・ローゼンクヴィスト

SUNOCO TEAM LEMANS 8号車 ドライバー 大嶋 和也

今年からフォーミュラに復帰して、色々な問題を抱えていたり、自分自身も思い通りに走れなくて、非常に苦しいシーズンを過ごしてきた。今回の予選も、ソフトでのバランスがとても良かったので、何とかQ1さえ通過できればと思っていたのだが、100分の1秒足りなくて通過できないという、非常に悔しい結果となってしまった。金曜日からソフトタイヤを僕が使って決勝に向けて準備をしており、データ的には決勝でもソフトタイヤが長く使えるだろうということは分かっていた。ちょっと勇気は必要だったが、15位でゴールしても仕方ないのでので勝負させてくれとチームに相談した。結果的にこの作戦を採って良かったと思う。中々結果が出ない中、外国から新しくエンジニアを呼んでくれたり、色々やってくれたチームのためにも、やっと結果が出せて良かった。

大嶋 和也

RESULT
スーパーフォーミュラ 2017年 第5戦 オートポリス 決勝結果

順位No.ドライバー車両名/エンジン周回所要時間ベストラップ
115ピエール・ガスリーTEAM MUGEN SF14
Honda HR-417E
54
S/M
1:24'28.619179.093km/h1'31.923
27フェリックス・ローゼンクヴィストSUNOCO TEAM LEMANS SF14
TOYOTA RI4A
54
M/S
1:24'30.1771.5581'32.087
38大嶋 和也SUNOCO TEAM LEMANS SF14
TOYOTA RI4A
54
M/S
1:24'36.2577.6381'31.533
42石浦 宏明P.MU/CERUMO・INGING SF14
TOYOTA RI4A
54
M/S
1:24'37.1748.5551'31.885
51国本 雄資P.MU/CERUMO・INGING SF14
TOYOTA RI4A
54
M/S
1:24'37.6289.0091'32.235
637中嶋 一貴VANTELIN KOWA TOM'S SF14
TOYOTA RI4A
54
M/S
1:24'38.0769.4571'30.813
718小林 可夢偉KCMG Elyse SF14
TOYOTA RI4A
54
M/S
1:24'43.08214.4631'31.470
820ヤン・マーデンボローITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14
TOYOTA RI4A
54
S/M/S
1:24'43.59914.9801'30.197
910塚越 広大REAL SF14
Honda HR-417E
54
S/M
1:24'59.76931.1501'32.544
1019関口 雄飛ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14
TOYOTA RI4A
54
S/S/M
1:25'13.31844.6991'30.896
1164中嶋 大祐TCS NAKAJIMA RACING SF14
Honda HR-417E
54
M/S
1:25'13.49344.8741'32.190
1250小暮 卓史B-Max Racing team SF14
Honda HR-417E
54
M/S/S
1:25'20.12851.5091'30.419
134山下 健太FUJI×raffinee KONDO SF14
TOYOTA RI4A
54
M/S
1:25'21.74453.1251'31.385
1440野尻 智紀DOCOMO DANDELION M40S SF14
Honda HR-417E
53
M/S
1:25'01.5021Lap1'31.899
1541伊沢 拓也DOCOMO DANDELION M41Y SF14
Honda HR-417E
53
S/M/S
1:25'14.7631Lap1'30.368
16山本 尚貴TEAM MUGEN SF14
Honda HR-417E
38
M/S
59'56.16316Laps1'31.225
3ニック・キャシディFUJI×raffinee KONDO SF14
TOYOTA RI4A
18
S/M
28'51.54836Laps1'32.942
65ナレイン・カーティケヤンTCS NAKAJIMA RACING SF14
Honda HR-417E
1
S/S
2'06.77553Laps
36アンドレ・ロッテラーVANTELIN KOWA TOM'S SF14
TOYOTA RI4A
1
M
2'26.20853Laps