10月28日(土)、2017年FIA世界ラリー選手権(WRC)第12戦ラリー・グレートブリテンの競技3日目となるデイ3が、イギリスのウェールズ中部を中心に行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ組(ヤリスWRC #10号車)が総合4位、エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組(#12号車)が総合9位と、前日よりも順位を上げた。しかし、前日10位のユホ・ハンニネン/カイ・リンドストローム組(#11号車)は、SS14でリタイアとなった。
- #10号車(ヤリ-マティ・ラトバラ、ミーカ・アンティラ)
ラリー・グレートブリテンのデイ3は、前日よりもやや北側のエリアが戦いの舞台となった。SS8からSS13にかけての6本のグラベルSSはウェールズ中部の森林および丘陵地帯で行なわれ、その後イングランドのチャムレー・キャッスルでターマックのSS14を走行。1度ディーサイドのサービスパークに戻って整備作業を行ない、その後ウェールズの暗闇の中で2本のグラベルSSを走行するという、長く、苛酷な1日だった。グラベルSSは全体的に滑りやすく難しいコンディションとなったが、ラトバラは徐々にペースを上げていき、夜間のSS15では霧の中ベストタイムを記録。前日よりも順位をひとつ上げることに成功した。また、ラッピも難しいコンディションのコースで我慢の走りを続け、ポジションアップを果たした。ハンニネンはSS11でセカンドベストタイムを記録し、SS13終了時点では総合10位につけていた。しかしSS14でクルマが藁のバリアに当たり、サスペンションにダメージを受けリタイアを余儀なくされた。
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- <<トミ・マキネン(チーム代表)>>
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セッティングを変更した結果、クルマのパフォーマンスは上がったと思います。ラリー前のテストをとても暖かいコンディションで実施したのですが、どうやらそれが間違いのもとだったようで、寒かった昨日は日中のサービスがなく、作業を実施できたのは夜だけでした。また、今日もかなり長い距離を走ってからのサービスだったため、なかなか変更を加えることができませんでした。しかし、ようやく改善を施せるようになり、すべて良い方向に向かっていると思います。夜間のSSの1本目では、霧が出ていたにも関わらずヤリ-マティは素晴らしい走りをしました。明日は表彰台争いも十分に可能でしょう。また、エサペッカも現在はクルマに良いフィーリングを持っているようです。今回が我々のチームでの最後のラリーとなるユホは、残念な結果となってしまいました。小さなミスが悪い結果につながってしまうのは、良くあることです。きっと彼は悔しい気持ちでしょうが、私は彼の今シーズンの多大なる貢献に心から感謝しています。
- <<ヤリ-マティ・ラトバラ (ヤリスWRC #10号車)>>
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クルマは今日最初のステージから、少しずつ良くなり、トラクションは昨日よりもかなり改善されました。依然としてアンダーステアには悩まされましたが、1日を通してダンパー調整を続けたところフィーリングはどんどんと良くなり、それにつれてSSのタイムも上がって行きました。そして、霧に包まれた夜間のSSでは、納得できる走りができました。時にコンディションが難しくとも、攻めなければなりません。クルマのフィーリングとグリップはとても良いので、明日が楽しみです。
- <<ユホ・ハンニネン (ヤリスWRC #11号車)>>
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今朝は、昨日よりも状況が良くなりました。走行中クルマの前後に付着する泥による重量バランスの変化を考えてセッティングを変えたところ、うまくいきました。リアが泥の重みでそれほど下がらなかったことから、フロントのトラクションをしっかりと得ることができていたと思います。残念ながらチャムレー・キャッスルのSSでブレーキのタイミングが遅れ、藁のバリアに当たってしまいました。その結果フロントのダンパーが破損し、走行不能となりました。さらに、シャシーにもダメージを受けていたため、明日は再出走することができなくなり、とても残念です。
- <<エサペッカ・ラッピ(ヤリスWRC #12号車)>>
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今日は出走順が3番手とはやく、路面が良い状態で走ることができたこともあり、昨日よりも良い1日になりました。昨晩サービスでセッティングを大きく変えたところ、クルマは良いフィーリングになってきました。いまだ十分に自信がもてるとはいえない状況ですが、それでも昨日よりも走りを楽しめるようになりました。夜のステージを前にサービスでさらに変更を加えたところ、それ以前のSSよりもグリップが良くなったように感じられ、クルマは良い方向に向かっていると思います。
- <<ラリー・グレートブリテン デイ3の結果>>
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1 エルフィン・エバンス/ダニエル・バリット (フォード フィエスタ WRC) 2h32m39.2s
2 セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア (フォード フィエスタ WRC) +53.1s
3 ティエリー・ヌービル/ニコラス・ジルソー (ヒュンダイ i20 クーペ WRC) +53.6s
4 ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ (トヨタ ヤリス WRC) +57.7s
5 アンドレアス・ミケルセン/アンダース・ジーガー (ヒュンダイ i20 クーペ WRC) +1m03.6s
6 オット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (フォード フィエスタ WRC) +1m06.1s
7 クリス・ミーク/ポール・ネーグル (シトロエン C3 WRC) +1m27.6s
8 ヘイデン・パッドン/セバスチャン・マーシャル (ヒュンダイ i20 クーペ WRC) +2m04.0s
9 エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム (トヨタ ヤリス WRC) +2m41.0s
10 ダニ・ソルド/マルク・マルティ (ヒュンダイ i20 クーペ WRC) +3m35.8s
R ユホ・ハンニネン/カイ・リンドストローム (トヨタ ヤリス WRC)
(現地時間10月28日23時40分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)
- <<Topics>>
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ラトバラは先日イングランドのカッスルクーム・サーキットで行われたラリーイベント「ラリーデイ」で、ST185型セリカGT-FOURをドライブした。それは1994年のラリー・ポルトガルで、ラトバラと同じフィンランド人のユハ・カンクネンがステアリングを握り、ウェールズ出身のニッキー・グリストがコ・ドライバーを務めた由緒あるラリーカーである。ST185型セリカGT-FOURは1992年にカルロス・サインツが、1993年にカンクネンが、そして1994年にディディエ・オリオールがドライバーズタイトルを獲得した際にドライブしたクルマであり、2度のマニュファクチャラーズタイトルをトヨタにもたらした。
- <<明日のステージ情報>>
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競技4日目、ラリー最終日となる10月29日(日)のデイ4は、ウェールズ北部で5本のSSが行われる。そのうち、SS18の再走となる最終ステージのSS21は、トップ5タイムを記録した選手に対し、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されている。5本のSSの合計距離は41.17km、リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は245.48kmとなる。