9月12日(水)に開催された“ワクドキ サーキットを走ろう”は、同イベントで初めて、レーシングコースに「トヨタ交通安全センター・モビリタ」を組み合わせての実施となった。
朝一番、モビリタ内の教室に緊張した面持ちで集まった参加者だったが、今回のチーフインストラクターである神野利夫氏が登場すると、空気が一変。
モビリタのチーフインストラクターである神野氏の、時折ジョークを交えた充実した運転前講習に一同はすっかりリラックス。
座学講習が終わると、早速運転講習へ。ここでは、講習車両のマークXが用意される。参加者2名に1台の車両が割り当てられるが、希望すれば一方が運転している車両の助手席に同乗できる。初対面の他人を同乗させながらやさしく運転することで安全運転につながるとのこと。
モビリタとは、交通社会を構成する全ての方の安全意識向上に寄与する目的で設立され、国内最大級の10万㎡のフラットコース、35度バンクなど、対象者のニーズに合わせた多様な安全運転実技講習を実施する施設を有する。
今回のモビリタ体験は、高速走行からのフルブレーキングと、低ミュー路※体験が中心となった。特に低ミュー路体験は、日常ではあまり体験できないモビリタならではのプログラム。散水した低ミュー路面上で、緊急ブレーキングを行う直線コースや、同じく急ハンドルやアクセル操作を行う蛇行したコースをともに体験。もちろん横滑りしたりスピンしたりするが、それを体験することでクルマの挙動や限界を、身をもって知ることができる。
※ 低ミュー路…「μ=摩擦係数」が低い路面で、値が低いほど滑りやすい。午後からは場所を富士スピードウェイのレーシングコースに移し、おなじみの先導走行。走行前にも、参加者同士のクルマを通じたコミュニケーションが随所で見られた。
ひと際参加者の目を引いたクルマを2台紹介しよう。1980年代に生産されていたスプリンタートレノは、その最近購入した新車のような外観に、一体どんなメンテナンスを?とオーナーに問う参加者もいた。一方、本イベント史上初参加のランボルギーニ。「公道で横を走ってる人はどんな反応?」などオーナーは質問攻めにあっていた。クルマという共通の話題で、クルマ好きの輪が広がったようだ。
最後に、神野氏の印象的な言葉を1つ紹介しよう。「人にやさしくできる人が運転の上手な人です」という言葉だ。運転する自分だけでなく、同乗者、自分や他人のクルマ、道路状況など周囲の環境全てに気を配ることが謙虚な姿勢を生み、安全運転につながる。
サーキット走行も単独で走行することはほとんどまれで、公道と同じように周囲への気配りが必要となる。より速く走ろうということより、安全運転を常に意識することがサーキットをスムーズに楽しく走る近道かもしれない。