第2戦を迎えた2012年JAF全日本ラリー選手権(JRC)は、4月29日~30日に愛媛県上浮穴郡久万高原町で開催された。今シーズン緒戦となるグラベル(未舗装路)ラリーは、初日に6本(27.45km)、2日目にも6本(31.22km)の計12本(58.67km)のスペシャルステージ(SS)で構成。初日は初夏を思わせる晴天に恵まれたが、一転して2日目は冷たい雨が降り注ぐという難しいコンディション。滑りやすい路面に翻弄され出場台数47台中16台がリタイアするという厳しいラリーとなった。
開幕戦を制した勝田 範彦/足立 さやか(スバル・インプレッサ)と開幕戦2位の奴田原 文雄/佐藤 忠宜(三菱ランサーエボリューションX)が初日から一進一退の攻防を展開。2日目に入っても両者の戦いは0.1秒を争う接戦が続いたが、終盤でマシントラブルを抱えた勝田を奴田原が最終SSで捉え逆転に成功。今季初優勝となる久万高原ラリー2連覇を果たした。
クラス別順位結果(上位3チーム)
※クラス区分の説明については、こちらを参照クラス | 順位 | ドライバー/コ・ドライバー | 車名 |
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JN4 | 1 | 奴田原 文雄/佐藤 忠宜 | 三菱ランサーエボリューションX |
2 | 勝田 範彦/足立 さやか | スバル・インプレッサ | |
3 | 柳澤 宏至/中原 祥雅 | スバル・インプレッサ | |
JN3 | 1 | 村田 康介/平山 真理 | ダイハツ・ブーンX4 |
2 | 山口 清司/島津 雅彦 | トヨタ・カローラレビン | |
3 | 宇田 圭佑/石川 恭啓 | ホンダ・インテグラ | |
JN2 | 1 | 高橋 悟志/箕作 裕子 | トヨタ・ヴィッツ |
2 | 天野 智之/井上 裕紀子 | トヨタ・ヴィッツRS G’s | |
3 | 岡田 孝一/大谷 美紀夫 | マツダ・デミオ | |
JN1 | 1 | 山口 貴利/山田 真記子 | ダイハツ・ストーリアX4 |
2 | 葛西 一省/安田 弘美 | ダイハツ・ストーリア | |
3 | 松岡 竜也/縄田 幸裕 | ダイハツ・ストーリアX4 |
総合優勝と共にJN4クラス優勝の奴田原 文雄/佐藤 忠宜(三菱ランサーエボリューションX)と2位の勝田 範彦/足立 さやか(スバル・インプレッサ)の攻防は、ここ最近の全日本ラリー選手権でも稀に見る僅差の好勝負。また3位には初日2番手につけていた柳澤 宏至/中原 祥雅(スバル・インプレッサ)が入賞した。
初日を終えた時点でクラストップの村田 康介/平山 真理(ダイハツ・ブーンX4)と2番手の宇田 圭佑/石川 恭啓(ホンダ・インテグラ)とのタイム差が0.5秒と、僅差の戦いが繰り広げられたJN3クラスは、雨の影響で悪路となった2日目に4WDの優位性を発揮した村田が2位とのタイム差を広げ優勝。2位には山口 清司/島津 雅彦(トヨタ・カローラレビン)、3位には駆動系トラブルで後退した宇田が入賞した。
快調にトップの座をキープしていた増川 智/赤木 弥生(トヨタ・ヴィッツRS)が、終盤のSS11でリタイアと波乱の展開となったJN2クラスは、2日目にペースを上げてきた高橋 悟志/箕作 裕子(トヨタ・ヴィッツRS)が開幕戦優勝の天野 智之/井上 裕紀子(トヨタ・ヴィッツRS)を逆転し今季初優勝。天候により路面状況が大きく変わる難しいコンディションの中、トヨタ・ヴィッツRSが見事な1-2フィニッシュを決めた。
全日本ラリー開幕戦のターマック(舗装路)ラリーでJN3クラス6位に入賞したトヨタ86が、グラベル(未舗装路)ラリーに初出場。路面コンディションが悪化しリタイア車両が続出する中でも最後までしっかりと走り切り、JN3クラス9位、総合27位で完走を果たした。
ドライバーは、開幕戦を担当した筒井 克彦からグラベルラリーに強い香川 秀樹にスイッチ。足まわりをグラベル用サスペンションに変更した86は、悪路からオイルパンなどの下まわりを守るために強靱なガードがボディ下部に装着されている。
「今回はデータを集めることが仕事でしたので、とにかくリタイアだけは絶対しないように注意深く走りました。2日目は荒れている路面が多かったのですが、そういった悪路でも走破性が高かったところが印象的でしたね」と香川。今後はさらにセッティングを煮詰め、ターマックラリー同様、グラベルラリーでの戦闘力も高めていく。