2012年JAF全日本ラリー選手権(JRC)第3戦は、6月2日(土)~3日(日)の2日間の日程で、福島県東白川郡棚倉町周辺を舞台に開催された。昨年から競技会名称に「がんばろう!福島」と記されたこの大会は、ラリーを開催することで県外から多くの人を呼び、復興に向けての機運を盛り上げていこうとの思いが込められている。今年は棚倉町を中心に、いわき市、古殿町、鮫川村の1市2町1村に16本のスペシャルステージ(SS)が設定され、棚倉町の「ルネサンス棚倉」と古殿町の「三株高原」の2カ所にはラリーカーの迫力ある走りを観戦できるギャラリーステージを、鮫川村の大草原が広がる「鹿角平観光牧場」といわき市三和町の「三和ふれあい館」の2カ所にはラリー選手との交流やラリーカーを間近で見学できるラリーパークを設置し、各会場を訪れた延べ1334人の観客が選手に声援を送っていた。
第2戦に続きグラベル(未舗装路)で競われたこのラリーは、第1戦のターマック(舗装路)ラリーを制した勝田 範彦/足立 さやか(スバル・インプレッサ)が初日のリードを守り、2日目に入って激しく追い上げてきた柳澤 宏至/中原 祥雅(スバル・インプレッサ)を僅差で抑え今季2勝目を挙げた。第2戦久万高原ラリーでは最終SSで逆転負けを喫した勝田だが、この2勝目でシリーズポイントも奴田原 文雄/佐藤 忠宜(三菱ランサーエボリューションX)を抜いて首位に浮上した。
クラス別順位結果(上位3クルー)
※クラス区分の説明については、こちらを参照クラス | 順位 | ドライバー/コ・ドライバー | 車名 |
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JN4 | 1 | 勝田 範彦/足立 さやか | スバル・インプレッサ |
2 | 柳澤 宏至/中原 祥雅 | スバル・インプレッサ | |
3 | 奴田原 文雄/佐藤 忠宜 | 三菱ランサーエボリューションX | |
JN3 | 1 | 上原 利宏/郷右近 孝雄 | ホンダ・シビック |
2 | 村田 康介/北川 紗衣 | ダイハツ・ブーンX4 | |
3 | 宇田 圭佑/石川 恭啓 | ホンダ・インテグラ | |
JN2 | 1 | 天野 智之/井上 裕紀子 | トヨタ・ヴィッツRS G’s |
2 | 川名 賢/小坂 典嵩 | トヨタ・ヴィッツ RS | |
3 | 高橋 悟志/箕作 裕子 | トヨタ・ヴィッツ RS | |
JN1 | 1 | 葛西 一省/安田 弘美 | ダイハツ・ストーリア |
2 | 高篠 孝介/出口 毅厳 | トヨタ・ヴィッツ | |
3 | 鷲尾 俊一/鈴木 隆司 | ダイハツ・ストーリア |
勝田 範彦/足立 さやかと柳澤 宏至/中原 祥雅とのスバル・インプレッサ同士の戦いは、第2戦に続き0.1秒を争う僅差の勝負となった。初日は3.1秒差でトップに立った勝田だったが、2日目は柳澤が最終SSを残し1.3秒差にまで迫ってくる。その最終SSも柳澤は勝田のタイムを0.5秒上まわるが、わずか0.8秒届かず2位となった。また3位には、第2戦優勝の奴田原 文雄/佐藤 忠宜が入賞した。
JN3クラスは、FFの上原 利宏/郷右近 孝雄(ホンダ・シビック)と4WDの村田 康介/北川 紗衣(ダイハツ・ブーンX4)が序盤から激しくトップ争いを展開した。だが、2日目に入ると駆動系トラブルに見舞われた村田のタイムが伸びず、上原が2005年以来となる優勝を果たした。2位には最後まで走り切った村田が、3位には宇田 圭佑/石川 恭啓(ホンダ・インテグラ)が入賞した。
JN2クラスは、2年連続JN2クラスチャンピオンを獲得している天野 智之/井上 裕紀子(トヨタ・ヴィッツRS)が初日からライバルとの差を広げていく。2日目に入ってもその勢いは止まらず、2位に入賞した川名 賢/小坂 典嵩(トヨタ・ヴィッツRS)との差を34.4秒に広げ今季初優勝を獲得した。また3位には高橋 悟志/箕作 裕子(トヨタ・ヴィッツRS)が入賞し、表彰台はトヨタ・ヴィッツRSが独占した。
パーツメーカーのキャロッセが、2008年FIAアフリカラリー選手権チャンピオンなど輝かしいキャリアを持つベテランの三好 秀昌をドライバーに起用し、全日本ラリーにトヨタ86を投入してきた。2003年にフェアレディZで優勝経験を持つ三好は、久々のFRマシンの86を巧にコントロールし、JN3クラス6位(総合21位)で完走した。クラス7位(総合23位)のGAZOO Racing 86のドライバーを務めた香川 秀樹と終盤まで好勝負を展開した三好は、「初日は香川選手に4.4秒届きませんでしたが、2日目になんとか逆転することができました。86はコントロール性が良いので、いろいろな走り方を試すことができました。これからもっと速くなりますよ」と力強いコメント。今後の86対決にも注目していきたい。