全9戦で戦われる全日本ラリー選手権は、終盤戦突入となる第6戦を迎えた。8月24日(金)~26日(日)に京都府京丹後市をホストタウンとして行われた「第48回大阪電通大チャリティラリー 丹後半島ラリー2012」は、第5戦に続きターマック(舗装路)ステージが舞台となる。1963年に関西近隣の6大学対抗ラリーとして初開催され、48年という長い歴史を持つ同ラリーは、その後中部関西地区の地方選手権ラリーとして開催され、全日本ラリー選手権としては今年が初開催だ。丹後半島森林公園スイス村に設営されたギャラリーステージには、全日本ラリーを初めて見るという大勢のラリーファンや家族連れが訪れ、35度を超える猛暑の中で熱戦に大きな声援を送っていた。
スペシャルステージ(SS)総距離78.50kmに13本のSSが用意された今回のラリーは、初日を終えた時点では奴田原 文雄/佐藤 忠宜組(三菱ランサーエボリューションX)がトップに立つが、2日目に入ると2.0秒差で2番手につけていた勝田 範彦/足立 さやか組(スバル・インプレッサ)が反撃し、奴田原組を抜いてトップに躍り出た。その後は奴田原組も勝田組を追うものの、最終SSでは勝田組がさらに奴田原組とのタイム差を広げ、トータル2.7秒差で勝田組が今季3勝目をマーク、シリーズを一歩リードした。
クラス別順位結果(上位3クルー)
※クラス区分の説明については、こちらを参照クラス | 順位 | ドライバー/コ・ドライバー | 車名 |
---|---|---|---|
JN4 | 1 | 勝田 範彦/足立 さやか | スバル・インプレッサ |
2 | 奴田原 文雄/佐藤 忠宜 | 三菱ランサーエボリューションX | |
3 | 高山 仁/河野 洋志 | 三菱ランサーエボリューションVII | |
JN3 | 1 | 眞貝 知志/漆戸 あゆみ | ホンダ・インテグラ |
2 | 筒井 克彦/永山 総一郎 | トヨタ86 | |
3 | 三好 秀昌/保井 隆宏 | トヨタ86 | |
JN2 | 1 | 川名 賢/小坂 典嵩 | トヨタ・ヴィッツ RS |
2 | 天野 智之/井上 裕紀子 | トヨタ・ヴィッツ RS G's | |
3 | 高橋 悟志/箕作 裕子 | トヨタ・ヴィッツ RS | |
JN1 | 1 | 松岡 竜也/縄田 幸裕 | ダイハツ・ストーリア X4 |
2 | 小泉 茂/小泉 由起 | 日産マーチ | |
3 | 山口 貴利/山田 真記子 | ダイハツ・ストーリア X4 |
JN4クラスは、1~2位争いと同様に3~4位争いも熾烈な戦いとなった。地元京都出身のドライバー同士の対決となった3位争いは、初日に福永 修/奥村 久嗣組(スバル・インプレッサ)が若手の高山 仁/河野 洋志組(三菱ランサーエボリューションVII)に8.9秒差をつける3番手で折り返すが、2日目に調子を上げてきた高山組が福永組を捕らえ逆転に成功。4.4秒差で3位に入賞した。
JN3クラスは、ターマックラリーに強い眞貝 知志/漆戸 あゆみ組(ホンダ・インテグラ)がすべてのSSでベストタイムを奪い、開幕戦以来となる今季2勝目を挙げた。トヨタ86同士のバトルとなった2位争いは、初日、2日目とも序盤で好タイムを連発したGAZOO Racingの筒井 克彦/永山 総一郎組が、終盤で激しく追い上げる三好 秀昌/保井 隆宏組を振り切り、第5戦の3位入賞を上まわる2位入賞を果たした。
ベテランの岡田 孝一/石田 裕一組(マツダ・デミオ)と若手の川名 賢/小坂 典嵩組(トヨタ・ヴィッツRS)が激しく競い合ったJN2クラスは、トップの岡田組が、最終SSフィニッシュの手前400mで電気系トラブルが発生しまさかのリタイアとなってしまった。その結果、最後まで諦めずに岡田組を追いかけていた川名組が、思わぬかたちで自身初となる全日本初優勝を獲得した。また、2位にはトヨタ・ヴィッツRS G'sを駆る天野 智之/井上 裕紀子組が入賞した。
第5戦のモントレーでJN3クラス3位に入賞GAZOO Racingのトヨタ86は、今大会では第5戦を上まわるクラス2位入賞を果たした。「第5戦ではサスペンションセッティングが進んだことで高速コーナーや中速コーナーのコントロール性が向上しましたが、今回は低速コーナーのコントロール性も格段に向上し、目標だったトヨタ86のトップを獲得することができました。開幕戦ではセッティングがうまく合わず苦戦しましたが、それ以降は走るごとにセッティングが進み、自信を持って攻めることができています。ここまで仕上げてくれたチームスタッフのみなさんに、本当に感謝しています」と、ドライバーの筒井 克彦選手。チーム代表の勝田 照夫氏も「チームスタッフはもちろんですが、筒井選手もここまでよく頑張ってくれたと思います。次の目標はもちろん優勝。トヨタ86はまだまだ速くなります。トップを狙える日はそう遠くはないと思いますよ」と抱負を語った。
今大会にはラック、キャロッセに続きモンスタースポーツからもトヨタ86が出場。ラリー界で数々の功績を残している有力チームが全日本ラリーの舞台で切磋琢磨することで、どのような進化を遂げていくのか、今後の活躍に期待したい。