全日本ラリー選手権 Japanese Rally Championship

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第8戦 第40回M.C.S.C. ラリーハイランドマスターズ2012

奴田原 文雄が今季3勝目を獲得 チャンピオン争いは最終戦に持ち越し!

40回の歴史を誇る伝統の一戦

「モンデウス飛騨位山スノーパーク」からスタートしていく勝田 範彦のスバル・インプレッサ

「モンデウス飛騨位山スノーパーク」からスタートしていく勝田 範彦のスバル・インプレッサ

今季は全9戦で争われる全日本ラリー選手権も、残すところあと2戦となった。終盤戦の山場となる第8戦「M.C.S.C.ハイランドマスターズラリー」は、岐阜県の飛騨高山が舞台となる。今年で40回目の開催を数える伝統の一戦は、グラベル(未舗装路)ラリーとして開催されていた2007年まではその長大で過酷なステージから「カーブレイクラリー」と称されたラリーだ。2008年以降はオールターマック(舗装路)ラリーとして開催されているが、高低差の大きいスペシャルステージ(SS)は予期せぬアクシデントが起きやすく、大番狂わせが起こることも少なくない。今年も、数多くのステージでドラマが待ち受けていた。

奴田原 文雄が初日のリードを守り切る

総合優勝した奴田原 文雄/佐藤 忠宜組

総合優勝した奴田原 文雄/佐藤 忠宜組

8本のSSが用意され、SS総走行距離77.38kmで争われたこのラリーは、初日のSS1、SS2を奴田原 文雄/佐藤 忠宜組(三菱ランサーエボリューション)が連取し、ラリーの主導権を握る。一方、このラリーで優勝すればシリーズチャンピオンが確定する勝田 範彦/足立 さやか組(スバル・インプレッサ)は、SS2を終えた時点で奴田原に対し10.7秒遅れの4番手と出遅れてしまう。その後、勝田はSS3とSS4で追い上げ2番手に浮上するが、奴田原とのタイム差は9.3秒差という苦しい展開。2日目は勝田が調子を上げトップに迫るが、初日のマージンを守り切った奴田原がわずか0.7秒という僅差で勝利した。

クラス別順位結果(上位3クルー)

※クラス区分の説明については、こちらを参照
クラス 順位 ドライバー/コ・ドライバー 車名
JN4 1 奴田原 文雄/佐藤 忠宜 三菱ランサーエボリューションX
2 勝田 範彦/足立 さやか スバル・インプレッサ
3 高山 仁/河野 洋志 三菱ランサーエボリューションVII
JN3 1 眞貝 知志/田中 直哉 ホンダ・インテグラ
2 山口 清司/島津 雅彦 トヨタ・カローラレビン
3 三好 秀昌/谷内 壽隆 トヨタ86
JN2 1 川名 賢/小坂 典嵩 トヨタ・ヴィッツ RS
2 天野 智之/井上 裕紀子 トヨタ・ヴィッツ RS G's
3 岡田 孝一/漆戸 あゆみ マツダ・デミオ
JN1 1 山口 貴利/山田 真記子 ダイハツ・ストーリア X4
2 小泉 茂/小泉 由起 日産マーチ
3 篠原 正行/馬瀬 耕平 ダイハツ・ストーリア X4

タイトル争いは最終決戦・新城ラリーへ

奴田原 文雄の三菱ランサーエボリューション

奴田原 文雄の三菱ランサーエボリューション

このラリーに合わせて新車を仕上げて投入した勝田は「初日のタイムが悪すぎた。だが、2日目はタイムも上がり、マシンの仕上がり自体に問題はない」と、3年連続のタイトルに向け自信を覗かせる。一方の奴田原も「実は2日目のSS5であわやクラッシュというアクシデントがあったんだけど、結果的にタイムロスは0.3秒差に抑えることができた。ラリーはゴールするまで何が起きるか分からない。最後まで諦めずに戦う」と、逆転チャンピオンを狙う。勝利の女神はどちらに微笑むのか、最終決戦の新城ラリーに注目だ。

JN3クラスは眞貝 知志がビハインドを跳ね返し優勝

JN3クラス優勝の眞貝 知志のホンダ・インテグラ

JN3クラス優勝の眞貝 知志のホンダ・インテグラ

SS1でベストタイムを奪った眞貝 知志/田中 直哉組(ホンダ・インテグラ)がSS2でスピンを喫しクラス8番手に沈むという波乱の展開となったJN3クラス。その眞貝が約30秒のビハインドを跳ね返し逆転優勝を奪った。2位には最終SSで三好 秀昌/保井 隆宏(トヨタ86)を逆転した山口 清司/島津 雅彦組(トヨタ・カローラ)が入賞。シリーズリーダーの村田 康介が今大会をスキップしたため、シリーズポイントはわずか1ポイントの中に村田と三好と眞貝の3人が並ぶという大接戦となった。

JN2クラスは初日を快走した川名 賢が今季2勝目

JN2クラス優勝の川名 賢のトヨタ・ヴィッツRS

JN2クラス優勝の川名 賢のトヨタ・ヴィッツRS

JN2クラスは、第6戦京都で全日本初優勝を飾った川名 賢/小坂 典嵩組(トヨタ・ヴィッツRS)が、初日すべてのSSでベストタイムを奪う速さを見せ、今季2勝目を挙げた。2位には、初日のSS1でスピンして大きくタイムロスしてしまった天野 智之/井上 裕紀子組(トヨタ・ヴィッツRS G's)が、30秒近くあったロスタイムを取り返して入賞、3位には岡田 孝一/漆戸 あゆみ組(マツダ・デミオ)が入賞した。

JN1クラスは山口 貴利が逆転優勝

JN1クラス優勝の山口 貴利のダイハツ・ストーリアX4

JN1クラス優勝の山口 貴利のダイハツ・ストーリアX4

シリーズトップの葛西 一省が欠場したJN1クラスは、シリーズ2位につける山口 貴利/山田 真記子組(ダイハツ・ストーリアX4)が初日のSS4でトップに浮上し、2日目もライバルとの差を広げ今季2勝目を挙げた。さらに初日と2日目のデイポイントも1位を取ったため、シリーズポイントでも葛西を逆転しトップに浮上するという結果となった。2位には小泉 茂/小泉 由起組(日産マーチSR)が、3位には篠原 正行/馬瀬 耕平組(ダイハツ・ストーリアX4)がそれぞれ入賞した。

進化を続けるトヨタ86

JN3クラス4位となったGAZOO Racingラック86

JN3クラス4位となったGAZOO Racingラック86

GAZOO Racingラック86のターマック(舗装路)ラリー担当のドライバー、筒井 克彦

GAZOO Racingラック86のターマック(舗装路)ラリー担当のドライバー、筒井 克彦

第7戦ラリー北海道で三好 秀昌が全日本初優勝を奪い、高速グラベルラリーでのポテンシャルの高さを実証したトヨタ86。今回のターマックラリーでも一時は三好がトップを快走する活躍を見せてくれた。
また、GAZOO Racingトヨタ86のターマックドライバーを務める筒井 克彦も、初日の序盤戦に「バケットシートのシートポジションを固定するボルトが緩んでしまい、まともに運転することができない状態でした」というアクシデントに見舞われたが、サービスで修復した中盤戦以降は好タイムを連発し、最終的には三好に次ぐ4位でゴールを果たした。
「今年はシーズンを通してGAZOO Racingトヨタ86のセッティングに携われる機会をいただき、貴重な経験を得ることができました」と筒井。今シーズン、全日本ラリー選手権に登場以来、確実に進化を続けるGAZOO Racingトヨタ86。最終戦での活躍もぜひ期待したい。