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第2戦 久万高原ラリー

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今季初のグラベルラリー 初日のリードを守り切った柳澤宏至選手が今季初優勝

大会概要

全日本ラリー屈指の悪路ステージ

旧美川スキー場で行われたセレモニアルスタート。観客に見守られてスタートしていく三好秀昌のトヨタ86。
旧美川スキー場で行われたセレモニアルスタート。観客に見守られてスタートしていく三好秀昌のトヨタ86。

2013年全日本ラリー選手権(JRC)第2戦は、愛媛県上浮穴郡久万高原町を舞台に5月3日(金)~5日(日)の日程で開催された。久万高原町郊外の旧美川スキー場を拠点とするこのラリーは、標高の高い山々から一気に山麓へと下るダウンヒルステージが大きな特徴となる。

今年は、スペシャルステージ(SS)走行距離74.08kmで争われたが、そのうち約80%が、下りのダウンヒルステージだ。さらに、路面には砕けた岩が散乱し、地中には表面が鋭利に削られた根石が多く埋まっているため、少しでも気を抜けばコースアウトやパンクなどのアクシデントに見舞われることも少なくない。仮に大量リードを築いていたとしても、一瞬のミスで大きく順位を下げてしまうこともあるという、攻略の難しいラリーだ。今年は初日に9本、2日目に6本のスペシャルステージ(SS)が設定されていたが、各クラスとも2日間にわたり数々のドラマが展開された。

また、このラリーから第3戦・福島、第4戦・洞爺と続くグラベル(未舗装)ラリー3連戦の緒戦ということもあり、シリーズの行方を占う意味でも重要な一戦となった。

結果概要

序盤戦は柳澤、勝田、奴田原が好勝負

今季初優勝となったCUSCO RACINGのスバル・インプレッサをドライブする柳澤宏至(左)とコ・ドライバーの中原祥雅(右)。
今季初優勝となったCUSCO RACINGのスバル・インプレッサをドライブする柳澤宏至(左)とコ・ドライバーの中原祥雅(右)。

初日の序盤戦は、今年の開幕戦を制した勝田範彦/足立さやか組(スバル・インプレッサ)と、昨年のこのラリーの勝者、奴田原文雄/佐藤忠宜組(三菱ランサーエボリューションX)、さらには開幕戦3位の柳澤宏至/中原祥雅組(スバル・インプレッサ)の3台が、SS1からSS3まで0.1秒を争う三つ巴の戦いとなった。

だが、SS4で勝田が荒れた路面にステアリングを取られてハーフスピン。さらにSS5では奴田原が右のリヤタイヤをパンクさせてしまい5番手に転落、順位が大きく動く。そんななか、SS1と2でベストタイムを奪った柳澤は、2番手の勝田に16.7秒差をつけ初日を折り返す。

2日目に入っても柳澤の速さは衰えず、ベストタイムを連発。勝田とのタイム差を19.0秒に広げ、自身にとっては3度目となる全日本優勝を果たした。「昨年は、2日目に大きく遅れてしまい優勝のチャンスを逃す結果となってしまいましたが、今年はしっかり最後まで走り切ることができました」と柳澤。本人にとっては昨年のリベンジを果たす結果となった。

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JN4クラス

JN4クラス3位の奴田原文雄/佐藤忠宜組の三菱ランサーエボリューションX。最終SSで逆転し、3位をもぎ獲った。
JN4クラス3位の奴田原文雄/佐藤忠宜組の三菱ランサーエボリューションX。最終SSで逆転し、3位をもぎ獲った。

3位争いは熾烈な戦いに

柳澤が初日のリードを保って優勝、勝田が2位という結果となったJN4クラスだが、3位争いは初日を3番手で折り返した石田正史/宮城孝仁組(三菱ランサーエボリューション)と初日4番手の奴田原が、最終SSまで壮絶な戦いを演じた。2日目、クラッチトラブルを抱えた石田のペースが上がらず、一時は21.9秒だった両者のタイム差は、最終SS手前には6.1秒差まで縮まる。迎えた最終SSは、石田がスタート直後の左ヘアピンでイン側の側溝にタイヤを引っかけてしまい痛恨のタイヤバースト。一方の奴田原は渾身の走りでベストタイムを奪い、石田を0.4秒逆転。最後の最後に奴田原が3位に滑り込んだ。

JN3クラス

JN3クラス優勝の上原利宏/佐瀬拓野組のホンダ・シビック。荒れたグラベル(未舗装路)ラリーで強さをみせた。
JN3クラス優勝の上原利宏/佐瀬拓野組のホンダ・シビック。荒れたグラベル(未舗装路)ラリーで強さをみせた。

悪路に強い上原利宏が独走態勢

開幕戦2位の筒井克彦/石田裕一組がSS1でコースアウト、開幕戦優勝の山口清司/島津雅彦組(トヨタ・カローラレビン)もSS2でコースアウトと、波乱の展開となったJN3クラス。序盤は上原利宏/佐瀬拓野組(ホンダ・シビック)と小倉雅俊/平山真理組(ダイハツ・ブーンX4)がトップ争いを展開したが、初日を終えた時点で小倉がタービントラブルのため戦線離脱。これで独走態勢となった上原は、2日目もしっかりと走り抜き、今季初優勝を遂げた。また、終盤まで2番手を走行していた三好秀昌/保井隆宏組(トヨタ86)はメカニカルトラブルのためSS11でストップ。横尾芳則/中川亜希子組(トヨタ86)と香川秀樹/浦雅史組(ホンダ・インテグラ)が激しい2位争いを繰り広げたが、香川が2位、横尾が6.7秒差で3位という結果となった。

JN2クラス

JN2クラス優勝の天野智之/井上裕紀子組のトヨタ・ヴィッツRS G's。チャンピオンコンビが今季1勝目を挙げた。
JN2クラス優勝の天野智之/井上裕紀子組のトヨタ・ヴィッツRS G's。チャンピオンコンビが今季1勝目を挙げた。

天野智之が鮮やかな逆転で優勝

川名賢/安東貞敏組(トヨタ・ヴィッツRS)がSS1で天野智之/井上裕紀子組(トヨタ・ヴィッツRS G's)に6.9秒差をつけるベストタイムを奪ったJN2クラスは、「序盤はクルマのセッティングが路面に合わなかったことと、自分のドライビングがターマックの走りになっていた」という天野が後半ペースを上げてくる。一方、川名は「荒れた路面をうまく攻めることができない…」とタイムが伸びず、SS8で天野が川名を逆転してトップに浮上。2日目に入っても天野は川名とのタイム差を広げ、最終的には14.7秒差で今季1勝目を手に入れた。2位には川名、3位には昨年優勝の高橋悟志/箕作裕子組(トヨタ・ヴィッツRS)が2日目にペースアップして入賞した。

JN1クラス

JN1クラス優勝の宇田圭佑/石川恭啓組のマツダ・デミオ。初投入のクルマで見事全日本初優勝を果たした。
JN1クラス優勝の宇田圭佑/石川恭啓組のマツダ・デミオ。初投入のクルマで見事全日本初優勝を果たした。

デミオを投入した宇田圭佑が全日本初優勝

地元・愛媛県の松岡竜也/縄田幸宏組(ダイハツ・ストーリアX4)と、高知県の宇田圭佑/石川恭啓組(マツダ・デミオ)の一騎打ちとなったJN1クラスは、1300ccのマツダ・デミオを投入した宇田が、初日9本のSS中6本のSSでベストタイムを獲得。「SS1を走るまで、果たしてJN1クラスのなかでデミオがどのくらいの戦闘力を持っているか不安だった」という宇田だったが、初日に2番手の松岡に対し22.9秒の差を築き上げてトップを快走した。2日目に入り松岡が12.7秒差までに詰め寄るが、初日のリードを守り切った宇田が、自身初となる全日本優勝を飾った。2位には松岡が、3位にはベテランの鷲尾俊一/内田園美組(ダイハツ・ストーリアX4)が入賞した。

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進化し続けるトヨタ86、新たなユーザーも全日本ラリーに登場

横尾芳則がドライブするGAZOO Racing ラック86。
横尾芳則がドライブするGAZOO Racing ラック86。
増川智がドライブするARTAオートバックス トヨタ86。
増川智がドライブするARTAオートバックス トヨタ86。
曽根崇仁も今シーズンはトヨタ86を投入してきた。
曽根崇仁も今シーズンはトヨタ86を投入してきた。

開幕戦はCUSCO ADVAN 86の三好秀昌が3位に入賞したJN3クラスだが、第2戦はGAZOO Racing ラック86の横尾芳則が3位に入賞。また、三好も終盤まで2位を走るなど、トヨタ86のポテンシャルの高さを示した。

3位に入賞した横尾は、「僕自身、どちらかと言えばグラベル(未舗装路)よりもターマック(舗装路)が得意なので、トヨタ86で迎える初のグラベルラリーをどう戦うか、スタート前は不安でしたが、いざ走ってみると、予想以上に乗りやすくてしっかり最後まで走り切ることができました。開幕戦のターマック、第2戦のグラベルを終えて、どちらもSSベストタイムを獲得することができ、マシンセッティングの方向性に間違いがなかったということを感じることができました。ドライバー自身も、トヨタ86をどう走らせたらタイムが出るかというドライビングの進化も感じています。次戦に向けて、セッティング、ドライビングとも改善点が明確に見えてきたので、まだまだ速くなると思いますよ」と、しっかりした手応えと進化を感じている。

また、今年から全日本ラリー選手権に登場したARTAオートバックス トヨタ86を駆る増川智はJN3クラス6位に入賞。「昨年までFFのトヨタ・ヴィッツRSに乗っていたので、まずはドライバーがFRのトヨタ86に馴れることが一番の課題です。そういった点では、まだ手探り状態ですが、初めてのグラベルラリーでも、コントロール性が高いため不安なく最後まで走ることができました。昨年から全日本ラリーに出場しているトヨタ86に対してセッティング面では1シーズンの差があるので、今シーズンはノウハウを蓄積し、その差を少しずつ詰めていきたいですね。シリーズ後半までには表彰台を狙えるように頑張ります」と、こちらも手応え十分だ。

今回はリタイアに終わった曽根崇仁のProjectμ☆DL☆インギング86も、デビュー戦の開幕戦で5位、今回も初日は5番手で折り返すなど、激戦のJN3クラスのなかで健闘をみせている。今季新たに登場したトヨタ86勢の進化にも注目していきたい。

クラス別順位結果(上位3クルー)

クラス 順位 ドライバー/コ・ドライバー 車名
JN4 1 柳澤 宏至/中原 祥雅 スバル・インプレッサ
2 勝田 範彦/足立 さやか スバル・インプレッサ
3 奴田 原文雄/佐藤 忠宜 三菱ランサーエボリューションX
JN3 1 上原 利宏/佐瀬 拓野 ホンダ・シビック
2 香川 秀樹/浦 雅史 ホンダ・インテグラ
3 横尾 芳則/中川 亜希子 トヨタ86
JN2 1 天野 智之/井上 裕紀子 トヨタ・ヴィッツRS G's
2 川名 賢/安東 貞敏 トヨタ・ヴィッツRS
3 高橋 悟志/箕作 裕子 トヨタ・ヴィッツRS
JN1 1 宇田 圭佑/石川 恭啓 マツダ・デミオ
2 松岡 竜也/縄田 幸裕 ダイハツ・ストーリア X4
3 鷲尾 俊一/内田 園美 ダイハツ・ストーリア X4

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