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ジョン・ハウエット Q+A2008.05.16

今シーズンここまでのパナソニック・トヨタ・レーシングについてどう評価していますか?

「シーズンの滑り出しとしては非常に期待が持てる状況と言える。5戦を通じて我々のクルマには相対的な速さがあり、またレースでも何度かいい結果を手にしてきた。ヤルノはTF108の基本特性をとてもポジティブに評価しているし、一方のティモは高いレベルのパフォーマンス及びこれから発揮されるであろう潜在能力の一端を何度も見せてくれた。シーズンが進むにつれ、彼が更にクルマに馴染んでくるのは間違いない。ただしトルコGPでは期待していたような結果を手にできなかったので、クルマから更なるパフォーマンスを引き出すべく戦っていかなければならない」

シーズン全体については如何ですか?

「全体的に見てF1は非常に良い状態にあると思う。スキャンダルの件は除いてね。人々はF1をネガティブに語る傾向があるようだが、我々は世界で最も強力かつ最大の人気を誇るスポーツの一つを手にしているわけで、しかも今はこれまでの長い間と比べても非常に競争が激しい状況になっていると思う。各チーム間のギャップに目を向けてみれば、今年はかなりの僅差だとわかる。F1として、これは喜ばしい状況でもある。もちろんスーパーアグリの撤退は残念だったが、全般的に見てF1は商業面では非常に力強い状況にある。世界最大の企業の幾つかがF1に関わっているし、世界への波及効果という点では他のどんなスポーツイベントよりも大きなものがある。4年に1度開催されるサッカーのワールドカップとオリンピックを除いてね。F1は完璧ではないかもしれないし、確かに改善の余地はある。だがポジティブに捉えるべき理由は数多くある。そういった面にもっと焦点を当てるべきなんだと思うね」

今シーズンのトヨタの結果は昨年より良いですが、これには特に何かこれといった理由があるのでしょうか?

「今シーズンの我々の戦績は2007年よりも向上しているが、その理由はクルマが基本的に昨年より良いからだ。これに関して疑問の余地はない。TF107の場合、理想的なパフォーマンスを発揮できる幅が狭かったし、数多くのサーキットで最適なパフォーマンス目指してクルマをセットアップするのも難しかった。その適切な幅の中で上手くセットアップできた時はかなり調子が良かったし、実際の所、シーズン終了時の結果そのものよりも状況は良かったんだ。今年のクルマは状況に応じてパフォーマンスを発揮できる幅が広く、そのお陰でドライバーとエンジニアも最高のものを引き出せるようになっている。ドライバーの二人はバーレーンテストの際にすぐにこのことに気づいた。昨年よりもクルマが安定してドライブしやすくなっていると感じていたしね」

トヨタはトップチームとのギャップを縮めることができるのでしょうか?

「F1ではほぼすべてのチームがかなり似通ったリソース(設備や資金力、人材など)を持っていると思うし、我々は懸命に仕事を進めている。ギャップを縮めるのは容易なことではないし、それを否定することはできない。今年の我々の目標は第2集団の中で上位に到達し、できればトップ3に食らいつきたい、というものだ。実際、中団グループはフェラーリ、マクラーレン、BMWに近づきつつあると思う。と言ってもそれすら簡単なことではないが。だがこれは、F1における容赦ない挑戦がもたらしてくれる喜びでもあるからね」

チームのメンバーに対し、ポジティブな結果はどんな影響を及ぼしていますか?

「F1で働くことは特権的なことでもあると思うが、結果がチームの面々をハッピーにし、そしてみんながハッピーなときは全体的に雰囲気が一層ポジティブになると言って良いだろう。今年のチームの仕事に対する姿勢は昨年と同じくらいしっかりしているし、これは全く変わっていない。いつも通り、チーム全体が全力で仕事をしているからね。そういった努力が結果に表れれば一層報われた気持ちにもなれるが、ただし、我々は勝利を手にするために存在していることを忘れてはならない。今シーズン進歩しているのは確かに喜ばしいことだが、本当に喜べるようになるまではまだまだ道程が残されている」

5戦を終えた時点で、ティモの印象はいかがですか?

「彼の仕事ぶりにはとても感銘を受けている。彼は非常に良い形で進歩していると思うし、本人も益々大きな自信を手にしつつある。予選では一発の速さがある所を見せてくれたが、ただしトルコGPでは残念ながらクルマに問題が生じたため、素晴らしいラップになったはずの周回を途中で終えなければならなかった。今後数戦のうちに彼の本当の潜在能力を見られることを我々は楽しみにしている。彼に速さがあることに疑いの余地はないし、いずれ結果もついてくるだろう」

今シーズンここまでのヤルノついては如何ですか?

「クルマに乗ったときの彼は自信に満ちているし、今年の彼は本当に輝いている。彼自身ハッピーな様子だし、予選でいい結果を手にし、そしてレースでもその予選結果を生かして非常に力強いペースで走れている。競争力があるクルマを与えてあげれば、上位で争えることを彼は実証してみせたんだ。なかには彼のそういった走りに驚いた人もいたようだが、我々にとっては別に意外でも何でもない。彼のパフォーマンスについてはとても嬉しく思っているよ」

サードドライバーの小林可夢偉については如何ですか?

「可夢偉はGP2アジアシリーズで良い走りを見せて、何度か力強いバトルを見せてくれた。本格的なGP2シリーズではそれなりにいいスタートを切れたし、既に1度優勝もしている。このレベルのドライバーとして1年目のシーズンでこれができたことは素晴らしい。彼がどんな走りを見せてくれるのか、今後も我々は注目していくが、彼は今年の最優秀新人の有力候補だと思う。彼は常時進化しているし、明らかに未来の有力ドライバーの一人だね」

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