第8戦 カナダGP 2002

2002年6月12日(水)

アラン・マクニッシュ - カナダGPを振り返って

カナダGPは期待できると思うよ、と言ってしまったあとだけれど、もう予想を立てるのはやめるよ。

レースウィーク当初から、僕たちのF1カーはイモラで経験したことと同じ問題を抱えていたんだ。コースの縁石上でのクルマの挙動性を良くする、いいセットアップとバランスを見つけることができなかった。カナダGPのジル・ビルヌーブサーキットでラップタイムを叩き出すためには、ここが大切なところなのだけれど。

問題点は何かって聞かれるのだけれど、的確な原因が見出せないんだ。僕たちはこれからも、テストで、解決策を探り、結果を分析することをしていかなけばならないね。

金曜日のフリープラクティスで、オイル漏れのためにセカンドセッションのチャンスをなくしてしまったことは、どうすることもできなかったね。実際にトラックで走れる時間を失っただけではなくて、これはタイヤのセッティングを予選の土曜日の朝に決めなくてはならないということになり、レース本番でニュータイヤを使うことも出来なくなってしまうということになってしまうんだ。

決勝レースでは、チームは2台別の戦略をとることにした。1ストップと2ストップの違いは微妙なところで、ミカはミシュランのソフトタイヤを使い2ストップ作戦をとった。チームの予選結果は18位と20位であって、レース展開を読むのも難しいため、僕はチームから1ストップ作戦を指示されたんだ。

レースでは、電気系の不調のために1速ギアが入らなくなって、ピットでてこずってしまった。実は、今までのレースでも、僕のF1カーのエレクトロニクスには問題が出たりしていたんだ。トラクションコントロールがうまく作動しないことがあって、ターン4でスピンしてしまった原因もここにあったのではないかと思っている。スピンしてしまった後、ギアが全然入らなくなってしまい、あの時、僕にできる唯一のことは、スイッチを切ってしまうことだけだったんだ。

モントリオール入りする前に、僕たちはまずトロントに入って、トヨタの製造工場を見学したんだ。北アメリカで販売されているというトヨタ・マトリクスを含めた色々なモデルも見たよ。モントリオールを見てまわるのも楽しかったね。

モントリオール美術館で行われたレクサスとトヨタのディーラーの人たちとの集まりや、カナダのジャーナリストとのインフォーマルミーティングにも参加したよ。世界中の国の人たちと会うのはとても面白いね。みんな、プロフェッショナルで、とても個性的だからね。

F1グランプリ以外でも、先週末は大きなスポーツイベントが盛りだくさんだったね。僕はスコットランド人なのだけれど、つい金曜朝のワールドカップのイングランド-アルゼンチン戦を見てしまったよ!

ルイスとタイソンのボクシング世界ヘビー級戦もあったね。165cmで58kgの僕の体格は、ヘビー級ボクシングとは縁遠いところで、意識を失って倒れた者が負けというこのスポーツは実はちょっと苦手なのだけれど、3ヶ月の特訓の末、負けてしまったとしたら、くやしくて仕方がないだろうね。期待してカナダへ飛んだけれど、結果が出せなかったのと同じ気持ちかな。日曜日、僕はサーキットを早々に後にしてしまったんだ。あまり機嫌も良くなかったね。

ものごとがうまく行かないと、気が滅入ってしまうけれど、それも僕の場合、1日かそのあたりかな。次のレースも控えているしね。ミカとテスト・ドライバーのライアン・ブラスコは今週、スペインのヘレスでテストをしているよ。僕は今週の金曜日にル・マン観戦に行く予定だ。昔のチームメイトがどんな走りを見せてくれるか楽しみだよ。

次のF1グランプリはニュルブルクリンク(ヨーロッパGP)だ。もうレースの予想はしないよ!ここのいいところは、チームのファクトリーからちょっと下ったところにあるサーキットだから、チームメンバーたちも自宅からそんなに遠くまで行かなくて済むことだね。