第9戦 ヨーロッパGP 2002

2002年6月14日(金)

ミカ・サロ - ヨーロッパGPを前に

モントリオール(カナダGP)は、パナソニック・トヨタ・レーシングにとってシーズン半ばのちょっとした不調というところだったかな。チームはあの改修されたコースがTF102の性格に合っていると予想して、大きな期待をかけてカナダへ行ったのだけれど、結果を手中にすることができずに戻ってきてしまった。高速時でのバランスを詰めることができずに、クルマが縁石のところでジャンプしてしまって、パワーをコントロールすることが難しくなってしまったんだ。

チームはカナダGPのジル・ビルヌーブ・サーキットでテストをしていなかったとはいっても、このコースの縁石から受ける影響がここまで大きいとは考えていなかったために、シーズン初めのイモラ(第4戦サンマリノGP)で受けたものと全く同じ問題を抱えてしまった。僕たちは日曜日までにその問題を解決すべく動いたけれど、間に合わせることができず、僕のクルマは決勝レースでタイヤがパンクしてしまい、それがブレーキ系統にダメージを与え、レースリタイアという結果となってしまった。

僕たちはモントリオールから直接スペイン南部のヘレスへ入って、3日間のテストを行った。ヘレスはとても暑くて、クルマやドライバーのクーリングが一つの課題ともなった。電気系統に少しトラブルがあった以外は順調に進んだよ。ニューパーツも使って試走したし、僕は、この先、カナダGPで抱えたものと同じトラブルを受けないことを願っているんだ。今週末のニュルブルクリンク(ヨーロッパGP)では、チームの開発の成果を、他チームのクルマに対抗して、どれくらいストップウォッチ上の数字として出せることができるか見られることをとても待ち遠しく思っているよ。

コースについては、僕は「~リンク」とつくところはそれほど楽しめないんだ。オーストリアのA1リンクなどもそうだね。ニュルブルクリンクは典型的なスタジアムサーキットで、コース特性があまりなく、ミステイクが影響しないんだ。悪い言い方をすると、砂利地のトラップにはまっても、ほとんどダメージを受けることなく、コースに戻ることができる。けれども、どのコースでもいい走りをするということが僕の仕事だから、ここでもいつもの能力以上の力を出して頑張るよ。

ここニュルブルクリンクはミディアム・ダウンフォースのサーキットで、コーナーのほとんどが中低速コーナーだね。ここには今、新しい第1コーナーと、ヘアピン、そしてシケインと、3つの大きなブレーキングエリアがあるから、ブレーキングがとても重要だ。また、コース全長もそれほど長い距離ではないから、予選では100分の1秒の争いになるね。

第1コーナーは、まだ写真で見ただけだから、詳しく説明するのは難しいな。第一印象は、ビック・アクシデント・ゾーンみたいだなということかな。ハイスピードから、ほとんど時間的余裕のないまま減速することになりそうだからね。けれど、逆からみれば、ここは新しい追い越しポイントになりそうなのは、悪くないね。

ニュルブルクリンクは、ある意味、パナソニック・トヨタ・レーシングにとってホームグランプリのような感じかな。ケルンにあるチームのファクトリーから、車でほんの40分くらいのところにあるからね。普段はファクトリーにこもり切って仕事をしている多くのメンバーたちにとって今回は、実際にサーキットへ行って、何が起こっているか見ることができるチャンスとなるだろうね。

アイフェル地方の天候はちょっと変わっていて、今日明日の天気がどうなるかというのはなかなか分からないものなのだけれど、今回のレースは6月開催だから、前にもあったように、グランプリ中に雪が降るなんてことはきっとないだろうね!