第10戦 イギリスGP 2002

ミカ・サロへ100の質問 (パート2)

2002年、モナコGPにてF1参戦100戦目を達成したミカ・サロが、F1・プライベート・人生について100の質問に答える

51. F1では、電子制御システムなど、ドライバーをサポートする機能が増えることで、ドライバー自身の技術をどれくらい奪ってしまっていると思いますか?

かなりのものだね。僕はいいことだとは思っていないよ。例えば、スタートなど、今やボタンを押すだけだからね。前はスロットルとクラッチのバランスを取る技術が必要だったのにね。

52. グランプリ期間中はなぜホテルではなく、自分のモーターホームで寝泊まりしているのですか?

モーターホームは家から離れたマイ・ホームみたいなものだからね。これまで約20年間、レースの時はずっとホテル住まいをしてきたから、もううんざりしていたんだ。モーターホームがこんなにいいものだと分かっていたら、もっと早く買っていたよ。

53. モーターホームの値段は高いと思いますか?

結局は、1年間ホテル住まいをするのと、同じくらいの金額がかかるけれども、モーターホームはとても快適だし、いろいろ自分のものを積み込むことができるから便利だよ。夜には映画も見られるし、自分のベッドで寝ることができるからね。

54. お金はどれくらい大切だと思いますか。

生活する上で必要なものという点で、助けになるものだね。

55. お金は必要な分を持っていると思いますか?

ヘリコプターや飛行機が買えるほどではないけれど、充分幸せに暮らせるくらいにはね。僕はおもちゃが好きだから、お金がかかるかなと思うのは、こういったものを買うためくらいだね。

56. 無駄遣いをしてしまうほうということですね?

残念ながら、そうみたいだね。

57. 住んでいるところはどこですか?

スイスのルガーノに近いところに住んでいるんだ。

58. どうしてそこへ住もうと思ったのですか?

美しい所であることと、税金の関係からだね。妻の賀子と僕は、ちょうど息子を持ったばかりなのだけれど、スイスは子供を育てるのにとても環境の良いところなんだ。他の多くのドライバーはモナコに住んでいるけれど、僕たちは普通の生活がしたかったから、モナコは選ばなかったんだ。

59. ペットは飼っていますか?

レイラという名前のラブラドール犬を一匹飼っているよ。名前はエリック・クラプトンの歌からとったんだ。

60. ほかにも家を持っていますか?

ヘルシンキにも家があるよ。

61. スーパーマーケットへ自分で行く時間などありますか? テストです、牛乳1パイントはいくらでしょうか?

自分でも買い物に行くよ。今住んでいるスイスでの牛乳の値段なら分かるよ。2スイスフランだね。

62. 今までで一番運の悪かった出来事は何ですか?

軍隊にいた18歳の時に、ひどいやけどをしたんだ。燃料タンクの爆発に巻き込まれて、2度のやけどを負って、3ヶ月以上も入院したよ。

63. 一番尊敬する人は誰ですか?

どんなスポーツでも、トップレベルにいる人は素晴らしいと思う。そういう人たちは、一流の域に到達するには何が必要かが分かっているからね。これは簡単なことではないよ。

64. 許せないことはありますか?

うそをつく人には腹がたつね。

65. F1のファンについてはどう思いますか?

ファンのみんながいなければ、僕たちもこうしてここにいることができないよ。

66. 名声についてはどう思いますか?

F1ドライバーをやっていく上でつきものだと思っているよ。いい面もあれば、悪い面もあるけれど、いいところのほうが強いよね。

67. ジャーナリストを尊敬していますか?

もちろん、ジャーナリストのことは大切に思っているよ。長年、F1パドックで僕と一緒に働いているジャーナリストもいるんだ。そんなジャーナリストは、僕の人生の浮き沈みを見てきてくれている。だから、何人かのジャーナリストと特別な関係を築いていくことは、自然なことだよね。

68. F1に「運」は重要でしょうか?

そんなことはないと言いたいけれど、そう見えてしまうことがあるね。僕は、運は信じていないんだ。クルマが壊れるのは、技術が至らなかったからだし、ドライバーがクルマをスピンさせてしまったら、それはドライバーのミスだからね。こうしたことは、悪運とは関係ないよ。とは言っても、自分の都合のいいほうへあらゆるものを引き寄せたり、事を運ぶことができるように見える人がいるから、そんなときは運がいいっていうのかな。

69. 今までの経験の中で、運には恵まれましたか?

いつも健康でいられるということは、ラッキーだと思っているよ。また、パナソニック・トヨタ・レーシングで走る機会を持てたこともね。チーム設立当初から、チームの一員として参加できたことは誇りだよ。これは僕にとってユニークな経験で、こんなチャンスは逃したくなかったね。

70. 最近、趣味で何かスポーツをしていますか?

アイスホッケーやスノーモービルをしているよ。僕の好きなスポーツは、だいたいウィンタースポーツが多いのだけれど、マウンテンバイクに乗ることも好きだよ。

71. 一日の睡眠時間はどれくらいですか?

毎日8時間は寝ているよ。

72. レースの直前に寝ているというのは本当ですか?

そうだよ。ここ15年ずっとそうしているんだ。人が活動するときと、リラックスするときのギャップがあるように、僕にとっては、活動するときと、寝るときがあるんだ。そうすると、レースについて考えすぎることもないし、ナーバスになってしまうこともないからね。

73. 最近の長い休暇はどこでとりましたか?

日本でとったよ。去年の年末に、プロモーションの仕事の後、日本での滞在を1週間延ばしたんだ。日本は大好きだよ。和食も、そして東京も。東京は僕が日本でレースをしていた時に住んでいた所だし、いろいろなことができて飽きない場所だからね。

74. 神を信じていますか?

信じているよ。もっとも、とても熱心というほどではないけれど。僕の家族はカトリックだけれど、教会へは行かないんだ。フィンランドで兵役に就いていたときは、教会へ行ったけれど、それは、そうすることによって、毎週末が休みだってことを意味していたからね。

75. 軍隊にいるときは楽しかったですか?

楽しかったよ。でもあまりまじめじゃなかったかな。銃を撃ったのはたった1回だけで、あとは、海軍指揮官の運転手をしていたよ。

76. レースから離れたら、どのような仕事をしたいですか?

僕はあまり先のことを考えたりするタイプではないんだ。だから、この先どうするかは考えていないよ。

77. ジンクスなどありますか?

ジンクスは信じていないんだ。

78. F1カーに乗るときは、同じ側から乗りますか?

ときどきそうなっているけれど、もし、それがくせになっていると感じたら、そうならないために、わざと反対の方から乗るようにするね。

79. 運転免許は何歳の時に取りましたか?

18歳の時に取ったよ。

80. 1回で受かりましたか?

車の免許は1回で取れたけれど、バイクの免許を取るときは3回落ちてしまったよ。16歳の時にバイクの免許を取ったのだけれど、試験に落ちた理由は全部スピードの出し過ぎだったんだ。教官が僕についてこれなかったんだよ!

81. 一番初めに運転した車は何でしたか?

父のダットサン 100Aで、5歳くらいの時かな。ペダルに足が届かなかったけれど、その他のことは全部できたよ。

82. 今乗っている車は何ですか?

レクサスIS300、レクサスSC430、レクサスRX300と、トヨタRAV4だね。また、550マラネロ・フェラーリ、32モデル フォードと、69年式のカマロも持っていて、カマロにはトヨタGT-oneのツインターボV8エンジンを載せているんだ。これはすごいよ!

83. しないと決めていることはありますか?

何でも1回はやってみようと思っているよ。

84. 人生で一番大切なことは何でしょうか?

健康だね。

85. 好きな食べ物は何ですか?

和食かイタリアンかで迷うところだね。あえてどちらかに決めなければならないとすれば、和食かな。本物の寿司が好きなんだ。ヨーロッパのどこかにあったりする、にせものの寿司じゃなくてね。本物の味は全然違うんだよ。

86. 嫌いな食べ物は何ですか?

特にないけれど、味がしないものは好きじゃないんだ。ハンバーガーは食べられるけれど、あまり好きじゃないな。と、言ってはいるけれど、日本にある食べ物の中には、まだ口に入れられないものがあるんだ。すごいにおいがするものがあるんだよ。ナットウという名前の食べ物なんだ。

87. 好きな飲み物はなんですか?

牛乳だよ。

88. お酒は飲みますか?

飲むよ。

89. タバコを吸ったことがありますか?

あるよ。

90. 身だしなみに気を使うほうですか?

全然気にしないね。目覚し時計が鳴って起きてから、家やホテルを出るまで10分くらいだからね。睡眠をとることがとても大事だから、できるだけ遅くまで寝ていて、あわてて出掛けるんだ。

91. 好きな音楽は何ですか?

ハードロックだね。レッド・ツェッペリンやACDCなんかの古いバンドも好きだし、名前がちょっと今思い出せないけれど、いろいろ出てきている、新しいバンドも好きだよ。

92. 一番最初に買ったレコードは何ですか?

もう覚えていないけれど、とても昔のフィンランドのレコードだったと思う。

93. 好きな本は何ですか?

フィンランド語の本のほうをよく読むよ。英語の本は、読んでも、夢中になってしまうほどではないんだ。僕は、英語の本はいろいろ読みはじめてはみるのだけれど、半分くらいまで読んで飽きてやめてしまったりしがちだね。フィンランドの冒険小説が好きで、レメスという作家が書いたものをよく読むよ。とても面白い本を3、4冊ほど書いている作家なんだ。

94. 好きな雑誌は何ですか?

漫画が好きだね。

95. 好きな俳優・女優はいますか?

僕は、コメディーやアクション映画が好きだから、そのどちらかのジャンルで、うまく役を演じている人が好きだね。メル・ギブソンみたいな俳優かな。女優は、次々と魅力的な人が新しく出てくるから、ついていくのが大変だよ。

96. 好きなテレビ番組はありますか?

"Third Rock From the Sun" という、アメリカの連続コメディーが大好きな番組の一つだよ。4人の宇宙人が地球にやってきて、人間のことを研究するという話なのだけれど、本当におもしろいんだ。それから、"シンプソンズ" 。もちろん、このシリーズも最高だね。

97. スーパーヒーローになれるとしたら、どのヒーローになりたいですか?

"スーパーマン" だね。一番強いから。

98. 親友は誰ですか?また、その人はどんな人ですか?

妻の賀子が僕の親友だよ。賀子はずっと長い間いつも一緒にいてくれて、F1を走る前からお互いを知っているんだ。賀子は僕を誰よりも理解してくれるけれど、家ではレースの話はしないんだ。僕の機嫌が悪い時を分かってくれるし、レースの結果が悪かった時なんかは、そっとしておいてくれるんだ。

99. パナソニック・トヨタ・レーシングにとって、まさに初参戦のグランプリレースにおいて、初ポイント獲得を果たしたという、歴史に残るドライバーとなりますね。特別な思いがあるのではないでしょうか?

確かに、第1戦 オーストラリアGPで獲得したポイントは、僕のF1キャリアの中でも最も輝かしいポイントの一つだよ。けれど、チームのために、さらに多くのポイントを獲得したいと思っている。チームは、ポイントを獲得するに値する働きをしているからね。

100. F1 参戦100戦記念において、コメントをお願いします。

僕をしっかりと支えてくれている家族、友人たち、そして、パナソニック・トヨタ・レーシングのみんなには、ほんとうに感謝しているよ!