第13戦 ハンガリーGP 2002
2002年8月13日(火)
ミカ・サロ - ハンガリーGPに向けて
この3週間の休暇というのは僕にとって、そして恐らくF1ドライバーみんなにとって、家族と過ごせるとても貴重な時間なんだ。僕は自家用クルーザーで家族と一緒に地中海で過ごしたんだ。僕の船の名前は「Kaizoku」そう、日本語の「海賊」なんだ!イタリア沿岸の島々の近くを航海したんだけど、それはもう文句の言いようのないクルージングだったよ。天気も最高に良くて、海も静かでね。しかも、船には常駐のクルーがいたから、僕は何もしなくてよかったんだよ。ただ座って航海を存分に楽しめることが出来たんだ。
でも、この休暇中はこうやって休息を取ってリラックスしていただけじゃないよ。ドイツGP後の休暇といってもレースのことを全て忘れられるほど長い休暇というわけじゃないし、ハンガリーGPの日程だってわかっているわけだから、トレーニングにもしっかり励んでいたよ。レースは体力勝負だからね。先週は毎日海で遠泳をして、ジェットスキーもやった。ボートに置いてあるバーベルでウェイトトレーニングだって欠かさなかった。自分の船を海辺につけて、ビーチで走り込んだりもしたよ。
金曜日には、イタリアのヴィアレッジョに向かい、パナソニック・トヨタ・レーシングのチームドクターであるR.チェカレリのもとでトレーニングを受けたんだ。もちろん、チームメートのアランも一緒だ。トレーニングだけに集中できる時間をしっかり取るというのは、とても大切なことなんだよ。
ハンガロリンクについては、難しいトラックだと言わざるを得ないね。低速サーキットでバンピーで、ランオフだって多いから、ドライバーがミスをしてしまってもある意味仕方ないんだ。それに加えて、コース幅がとても狭いからオーバーテイクは簡単じゃない、つまり、予選がかなり重要になってくるのさ。土曜日の午後で結果が出せない状態なら、日曜日のレース本番になって順位を上げるのはとても難しいんだよ。このサーキットは、グランプリ以外で使われることがほとんどないから、セッションの始めにはすごく汚れているんだ。だから、金曜日のセッションでは、ドライバーたちはみんななるべく自分のセッションのスタートを遅らせて、他のクルマが走っている間にコース路面がきれいになるのを待とうとするんだ。クルマのタイヤにはコース上のほこりやごみがくっつくからね。
この時期のハンガリーはとっても暑いし、このサーキットにはロングストレートがないから、ドライバーはひと息つく暇すらないんだ。ブレーキングだったりステアリングを切っていたり、とにかくいつも何かしていなくてはならないから、レースディスタンスを走るのは体力を消耗するし、メカニカルトラブルを招くおそれだってあるんだ。
ハンガリーに向けてだけれど、TF102やチームに何が起こるか予測することはできないよ。けれども、完走できなかったレースが続いた後、前回のドイツGPで完走できたことは、僕にとってとても大きな自信となっているんだ。また、チームはこの3週間を有効に使って、僕たちのTF102をさらに競争力あるクルマに仕立て上げてくれているに違いないよ。 このレースウィークが僕たちにとって良いものであってほしいと願っている。フィンランドから多くのファンが来るレースでもあるからね。航空会社はレース期間中の乗客の増加に対応するためにヘルシンキとブタペスト間を飛ぶ便数を増やしているんだよ。だから、フィンランド人のファンが応援してくれているサーキットで結果を出すというのが僕にとって大事なんだよ。
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