２００２年８月１５日（木）

ミシュラン　ピエール・デュパスキエに聞く

パナソニック・トヨタ・レーシングは、F1の世界でミシュランにとってどれくらい重要ですか？

われわれは長年に渡りトヨタのパートナーであり、トヨタのF1チームはとても大切です。われわれは９０年代にトヨタとラリー活動を始め、成功を収めました。その後、トヨタはルマン２４時間レースに参戦を決定し、ここでもわれわれは一緒に戦うことになりました。私はいまだに彼らがなぜルマンを制することが出来なかったか分かりません。本当にすばらしいクルマを作ったのに。 そして、トヨタ自動車の冨田さん（トヨタ自動車常務取締役兼TMG会長）がわれわれのもとを訪れ、トヨタがF１に参戦することを検討している、一緒にやってもらえないかと言ってくれたのです。

トヨタのF1参戦の決定は、ミシュランのF1復帰の決断に影響を与えましたか。

もちろんです。トヨタのようなパートナーからお願いをされたら、じっくり検討するのは当然です。F1の世界からわれわれはしばらく離れていましたが、トヨタはわれわれが助けることができると思ってくれたのです。こうした状況下では、次のように自問するものです。「もしノーと言えば、彼らにとってわれわれはいいパートナーではなくなるし、誰か他の人がわれわれの席をとってしまうことになる」と。

トヨタとの関係はF1以外でもあるのですか。

トヨタとは、ＯＥＭ供給で多くのタイヤを収めていますし、技術面・商業面で良好な関係にあります。

パナソニック・トヨタ・レーシングの一年目をどう見ていますか。

チームはわたしたちが期待した通りに進んでいると思います。Ｆ１はとてもタフな世界ですから、成功するためにはすべてを最高のレベルに持っていく必要があります。しかしそれを一晩で成し遂げることは出来ません。フェラーリを見てください。彼らでさえ、勝ちだすまでに今のマネージメントのもと６年かかったのです。

ミシュランにとって、すべてのチームを満足させることは難しいですか。

もし２台の違うＦ１カーのテクニカルデータを見れば、その差はとても小さいことが分かります。しかし、いったんコースに出れば、大きな違いが出てくるものです。例えば一台がちょっとしたアンダーステアに悩まされていたとしても、レース距離では、これはもう大問題となります。 われわれの仕事は、Ｆ１カー全般にフィットするタイヤを開発することですが、これが出来てから、それぞれ違うサーキットのコンディションに合うようにタイヤを調整する必要があります。これは主にタイヤのコンパウンドを変えることで調整してます。ですから、ホッケンハイム用のタイヤは、モンテカルロや、モントリオールや、シルバーストンのタイヤとは同じではありません。 もしわれわれがＦ１カーの先端の領域に改良をもたらしたとしたら、それは誰からも改良と見なされるでしょう。その改良をアドバンテージと出来るかどうかは、各チームのエンジニアの仕事にかかっています。

パナソニック・トヨタ・レーシングは、BMWウィリアムズやマクラーレン・メルセデスと同じ扱いを受けてますか。

二つの理由から、もちろんです。ひとつは、トヨタはとても大切なパートナーと考えています。われわれはトヨタを信頼してます。もうひとつは、F1のルールによって、われわれのタイヤを使うすべてのチームに対して、各サーキットに２種類のタイヤを持ち込むことになっているからです。

他のチームが何をしているか話すことで、パナソニック・トヨタ・レーシングを助けることが出来ますか。

われわれはクルマに関して話しません、タイヤのことだけです。レースウィークには毎日の終わりに、ミシュランのタイヤエンジニア全員が情報を持ちよりシェアします。そして、この情報はすべてのミシュランタイヤユーザーチームに提供されます。例えば、二種類のタイヤのひとつが、性能を発揮するのによりエアプレッシャーが必要であることを知ったとすると、この情報は伝えられます。われわれはクルマに関しては一切話しません。

トヨタTF102は、どうタイヤを使ってますか。

難しい質問ですね、二人のドライバーのクルマのセットアップは違います。ですから、タイヤも違う使われ方をしています。

F1にタイヤ戦争があることは、ミシュランにとってどれくらい重要ですか。

競争は歓迎ですね、なぜなら競争がなければ、いい仕事をしているかどうか分からないですから。しかしながら、F1で勝つには、パッケージつまりクルマ、タイヤ、ドライバーが必要。ですから、他のタイヤメーカーよりも自分たちがいい仕事または悪い仕事をしているとは言い切れません。

ミシュランはF1の世界に身を置くことで、その目的を達成していますか。

答えは「はい」と言いたいですね、もっともまだまだやらなければいけないことは一杯ありますが。