第13戦 ハンガリーGP 2002

2002年8月19日(月)

アラン・マクニッシュ ― ハンガリーGPを振り返って

ハンガロリンク(ハンガリーGP開催サーキット)とモンテカルロ(モナコGP開催地)の市街地サーキットは特徴的に似ているのだけれど、ハンガロリンクの方がモンテカルロよりもポールポジションの重要性が高いと言われているんだ。というのも、このサーキットでは邪魔の少ない場所からスタートを切らなければ、すぐに順位を落してしまうんだ。モンテカルロはそれほどでもないのだけれどね。

ハンガリーがそういうサーキットだって言われている意味が今回のことでよくわかった。F1ではフロントになるべく近いポジションを予選で勝ち取ることが、いかに大切かということをこのサーキットで見せつけられたよ。このサーキットでオーバーテイクなんてほとんど不可能なんだ。それが長所でもあり短所でもあるところなのだけれどね。スタートを切った時は、僕の前のデ・ラ・ロサとは0.5秒差、その先にいたミカとは1秒差だったのだけれど、75周を走り切ってフィニッシュした時のポジションも、まさにまったくそのまま同じだったんだ。

残念だけれど、ミカも僕も予選では17位、18位で、そのポジションからでは苦戦を強いられるレースになることは分かっていた。土曜日のフリー走行から予選までで0.1秒を縮めることはできたけれど、他のチームもっとタイムを上げてきていたんだ。

予選の最初のセッションでは、クルマの調子はとても良かったけれど、アンダーステアにてこずったよ。セットアップを変えて、問題解決を試みたけれど、かえって悪くなってしまってね。もう一度変更を加えてみたのだけど、アンダーステアがまだまだ目立つ状態だったから、変更を取り消してみたんだ。その結果、どうなったと思う?アンダーステアはまたひどくなってしまったんだ。僕たちはいつも一歩後ろを行っている気分になってしまったよ。まるでサーキットで追いかけているようにね。

バランスを調整するのが難しくて、新しいチームである僕たちは予選でのスペックを最大限にできるよう、より一層の努力をしなくてはならない。いろいろあったけれども、TF102が揃ってフィニッシュできたことに本当にほっとしているよ。2台ともが揃ってチェッカーフラッグを受けるだけの仕事をチームはしてきたのだから。これからも同じように2台でフィニッシュできる結果を出していきたいと思っている。

ハンガロリンクを嫌うドライバーはいるよ。確かに、ここブダペストと次に行なわれるスパ・フランコルシャンとは全く違うサーキットだからね。スパは、オープンで流れも良いサーキットだけれど、ハンガリーは正反対だからね。

けれど、選手権を行なうには、様々な特徴を持つサーキットで開催される必要はあると思うんだ。ハンガロリンクは、レースをするには本当に難しいトラックだったよ。だけど、ブタペストに繰り出した夜をみんな楽しんでいるようだった。それに、観客にとってはおもしろいサーキットだよ。観客あってのレースなのだから、観客のことを忘れてはいけないね。ハンガリーでは観客がクルマの近くで観戦できるようになっていて、どこからでもトラックの7割くらいが見えるようになっているんだ。

ハンガリー戦とベルギー戦の間のテストに僕は参加しないから、この機会に数日イギリスへ帰るつもりだ。家を売ったところで、色々とやらなくてはいけないことがあるからね。それが終わったらスパに行く前にブーツとレインコートを探さなくてはね。中央ヨーロッパでの洪水のニュースにはとても驚いた。ハンガロリンクにいた3日間で水なんてなかったのにね。でも、さすがにベルギーのアルデンヌ地方から帰ってきてからも同じことを言っているかどうかはわからないよ。あのあたりはにわか雨が降ることで有名な所だからね。