第14戦 ベルギーGP 2002
2002年8月23日(金)
ミカ・サロ - ベルギーGPに向けて
パナソニック・トヨタ・レーシングのチームメンバーも、ハンガリーGPでTF102が2台揃って完走できたことをとても喜んでいるよ。個々のラップでは、パフォーマンスに欠けていた部分はあるけれど、75周でレースを完走して、信頼性を発揮できた。心理的にも、その事実がみんなにとっては大切なことだったんだ。
けれど、レース中には、もしかしたら完走できないのではないかと思う瞬間もあったよ。レース中盤、僕のTF102のデフがうまく作動しなくなってしまい、あちらこちらでオーバーステアが出てしまった。それに加えて、フィニッシュまであと20周というところでコックピット内の消火器が誤作動してしまい、まるで冷たいバブルバスに浸かっているみたいな感覚だったよ。ハンガロリンクではブレーキングが多いし、コーナーも多いわけだけど、その度にバイザーが泡で覆われて何も見えなくなってしまったんだ。自分の記憶を頼りに走らなくてはいけない場面がたくさんあったよ。
さて、この2週間は何かと忙しくしているよ。ハンガリーからは、まずスイスのルガーノにある自宅に戻って、妻の賀子と息子のマックスと数日だけゆっくりした時間を過ごしたんだ。また、マウンテンバイクで 丘を走りに行ったり、ウエイトトレーニングをしたりして、健康管理や、体力維持にも心がけていたよ。
金曜日にはヘルシンキへ飛んで、トヨタ・フィンランドの人たちとの食事会に出席したんだ。F1プログラムをバックアップしてくれている人たちだから、F1への情熱を語り合ったり、また、ヘルシンキでも指折りのレストランで一緒に食事をすることができたりしてとても良かったよ。それが終われば、またスイスに戻り、スパ・フランコルシャンでのレースに向けて集中していくつもりだよ。
僕はスパが大好きだよ。長きに渡るその歴史もそうだし、そしてここでドライバーに課せられる度胸試しもとても楽しみにしているんだ。スパでは、とにかくコックピットでゲームを支配してなくてはならない。ここは長距離サーキットだから、他のトラックのように、セットアップのために周回を重ねることはできないからね。場所によってはとてつもないスピードでクルマは走る。またそれが最高の気分なんだ。
オー・ルージュを全開で行けるかどうかは、みんながよく知りたがるところだね。ドライバーもみんな、レース当日朝のドライバーズ・パレードでの話題にするんだ。予選では誰がオー・ルージュを全開で行ったとか、行かなかったとかね。でも、ラップ全体としてタイムをあげて行くには、オー・ルージュを全開で行くのは無理なんだ。オー・ルージュの上り口でクルマの底を擦らないようにするには、車高を上げる必要があるけれど、そうすればラップ中、他の場所でのクルマの効率が悪くなってしまうんだよ。
バスストップシケインは、以前までストップ状態に近いような減速後の加速を強いられるようなシケインだったけれど、主催者側が今年はそれをちょっと緩くしたようで、写真からみる限りはある程度のスピードも保てるし、スムーズに流れていけると思うよ。
僕はTF102がスパのサーキットと相性が良ければいいなと願っているんだ。TF102には、RVX-02というとてもいいエンジンを搭載しているから、昇りでも十分パワーを出してくれるだろうし、シーズンを通してクルマのバランスも着々と良くなってきている。ただ、1つだけ僕達には成す術のない部分がこのレースにはあるんだ。それは天気。瞬きしている間にも晴天から雨に天気が変わるような場所だから、コース上でもウェット状態の所があったり、ドライの部分が同時にあったりすることがあるんだ。とにかく、チームは色々と忙しいわけだけれど、金曜日のプラクティスが待ち遠しいよ!
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