２００２年９月２日（月）

アラン・マクニッシュ － ベルギーGPを振り返って

僕はスパでレースをするのがとても好きで、このサーキットは期待を持って臨める場所なんだ。

チームでも、スパのような高速のサーキットでは、きっとクルマがより良い状態でレースができると期待されていて、嬉しいことに、その通りになったよ。フリー走行の金曜日は、予定されたプログラムを着実にこなせた充実した一日となったし、また、予選ではミカがトップ10入りの9番手で通過したしね。予選の最終アタック前にタイヤの空気圧を変えたのだけれど、それがミカには良い結果となって出たんだ。残念ながら僕にはあまり効果はなかったのだけれど。それでも、予選で13番手だったから、前向きな気持ちでレースを迎えることができたよ。

チームとしては、今回はミカが7位で決勝を終えることができて、しかもポイント獲得のポジションまであとほんの0.4秒の差という、とても良い結果を得ることができた。今までのレースよりも、競争力があったということだからね。僕自身は、自分の今回のレースに関しては、もっと良いレースができたはずだと思っている。

インストレーションラップでホイールセンサーに問題が出て、それが、僕のF1カーに搭載されている、トラクションコントロールやほかの電気系システムにも影響を与えてしまったんだ。そのため、その後も、クルマに一貫性がなくなってしまい、左と右とに切ったときでは同じように反応しなかったから、少しとまどってしまったよ。

レースウィーク中は、どうやってオー・ルージュを攻めていくかという恒例の話題でもちきりだったね。この場所はいつもドライバーの度胸試しの場所のように言われているんだ。予選でこのオー・ルージュを全開で攻めようとして、色々とアクシデントを起こしたドライバーもいたからね。今シーズンは、トラクションコントロールとタイヤのおかげでグリップが良くなって、全開で攻めやすくなってはいたんだ。聞いたところでは、M. シューマッハは、この坂のすぐ後に設置されているスピードトラップを抜ける時の速さが、去年のレースと比べて、時速30キロも速くなっていたらしいよ。

金曜日と土曜日には、各ラップでエンジンを全開にして攻めることができたのだけれど、レースの当日には、どういうわけかオー・ルージュにてこずってしまって、全開で行くことが簡単ではなかった。一度だけ全開で攻めることができたけれど、そのときはなかなか爽快だったよ！

多少の問題はあったものの、今回のスパは今までのレースに比べたら格段に良いレースだった。いつもは僕たちより上位にいるチームを先行できたし、対等に戦うことができたからね。

今回のレースが良かったことには、クルマの調子ももちろんあるけれど、タイヤにも要因はあったと思う。特に予選ではそうだったよ。予選で結果が出せれば、レースは確実にやりやすくなるんだ。スパはオーバーテイクできるサーキットだから、なかなか良いバトルがあったと思うよ。僕は、J. ヴィルヌーブとのバトルもあったし、その後にはF. マッサやN. ハイドフェルドとのバトルもあったしね。ジャック（ヴィルヌーブ）が僕をオーバーテイクしたときには、ちょうどレ・コームへのブレーキングにかかっていて、タイヤがくぼみに掛かっているときだったから、彼の方が少し有利だったんだ。そして、オー・ルージュでジャックは調子良かったから、対抗することができなかった。

全体的には、レースウィークを通してとても良い体制でレースができたし、これはとてもポジティブな面だと思う。サーキットの特徴とクルマとの相性が良かったというのももちろんあるけれど、タイヤも大きく貢献したと思うよ。ミシュランにとても助けられて、クルマのバランスも良くなり、予選では、良いコンディションに持っていけたんだ。その予選までの良い状態がレースで少し失われてしまったから、思い通りにはいかない部分があった。そういう意味では厳しい週末だったとも言えるね。

スパはとてもすばらしい所で、ヨーロッパラウンドの中心地に位置する場所だから、グランプリが開催されない国からもファンの人たちがたくさん駆けつけてくれる。ベルギーはそのような人たちにも簡単に来られるところで、ファンや僕たちドライバーの熱気で沸き返っていたよ。
スパでレースをするというのは、かなりのスリルを味わえるんだ。オー・ルージュをはじめとして、ブランシモンやスタブロー など、限界に挑戦できる場所がたくさんある。だからこそ、ここのサーキットが面白いんだ。

スパと同じように、次のイタリアGP開催地であるモンツァでも、トラクションが良くて縁石越えでクルマが安定していれば良いレースが必ずできるんだ。僕は、今週の水曜から金曜、まさにそのモンツァでテストをする予定なのだけれど、そのことをよく心にとめておきながら走るつもりだよ。