第15戦 イタリアGP 2002
2002年9月17日(火)
アラン・マクニッシュ - イタリアGPを振り返って
とても残念なレースになってしまったよ!はじめからイタリアGPは、チームにとって良い結果を残せるレースになると感じていたし、それが間違いではなかったんだ。サスペンションの不具合で、ポイント獲得も夢ではなかったレースを逃してしまったのは、本当に残念さ。エンジンのパフォーマンスは、文句なく僕たちチームにとって一番の強みだし、モンツァはそれを生かしてレースができる場所なんだ。
モンツァは、シーズンを通して一番の高速サーキットで、ダウンフォーストリムも低い。つまり、クルマがまるでナイフの刃先を走っているように感じる。モンツァを走っていると、レーシングドライバーであることをつくづくと実感できるよ。モンツァを走ると、とにかく満足感を得られるんだ。シケインなどでは、縁石に乗って走る場所ももちろんあるけれど、正確さを評価されるサーキットでもある。オーバーテイクだって可能なサ-キットだから、悪いはずがないよ。
モンツァは、レース史上においても大きく係わりを持つ場所で、伝統もある。少し歩き回ってみて、古い横傾斜を見るだけでも感慨を得られる。かなり印象深いものだよ。
メディアは、モントーヤのポールポジションラップがケケ・ロズベルグのラップ平均速度記録を破ったことに大騒ぎしていたよね。ロズベルグの記録は、1985年にシルバーストーンで出た記録だったんだ。まさに、F1が進化しつづけていることの証明だといえるね。
モンツァは、シルバーストーンとはかなり異なるサーキットだし、バリチェロの平均速度が1971年にピーター・ゲシンが出した最速平均の記録にほぼ並ぶ勢いだったことも、とてもすごいことだと僕は思っているよ。確かに、30年前のことかもしれないけれど、その当時は、エンジン全開で走るコースだったのに比べて、今はシケインが3つもあるんだよ。すごいことには間違いないさ!
チームのレースウィークエンドとしては、僕はクルマのバランスにもある程度満足していたんだ。予選では各ドライバーとも12周まで走れるので、普通は3周を4回走るのがもっともポピュラーだね。まず1周目が「アウトラップ」、2周目が「フライングラップ」、3周目が「インラップ」と呼ばれている。モンツァでタイヤ性能を最大限活かすには、フライングラップを1周ではなく2周で走ることだと考えたんだ。その作戦の問題は、ほかのクルマに邪魔されずに予選の走りをすることが容易ではないということもあるけれどね。
それにしても、13番手でグリッドにつけたのは悪くはなかったし、ハンガロリンクのような抜けないコースで、これくらいの位置につくのとは、話がまったく違うしね。モンツァでは抜きどころがいくつかあるから、ウィングをねかせて空気抵抗を少なくした状態でレースに挑んだんだ。
最初のシケインをうまく抜けられたから、7位に一挙にあがることができた!R. シューマッハがレース序盤でリタイヤとなったから、5周目を終わる前にはすでにポイント獲得位置にいた。そのときは、今日こそ僕のための日がやってきたんだと思い始めていたんだ。
しかし、そうはいかなかった。ブレーキングでクルマが不安定になり始めたんだ。とくに、方向転換を急激に行うアスカリという場所ではそれが顕著になり始めた。最初はラバーがはがれていたのかと思ったけれど、状況は悪くなる一方で、ハンドルは斜めになっていた。ピットに早めに入らざるをえなかった。一度はピットから出たけれど、問題は解決していなかったから、レースからリタイヤするほかに、選択肢はなかったんだ。
今回はワンストップの作戦でもあり、クルマのペースにも安心していた。表彰台に乗れたとまでは思えないけど、4位なら狙えると思いながら走っていたんだ。
インディアナポリスと鈴鹿での、最終2戦に備えてのテストをするために、僕たちはこれからフランス・ポールリカールへ向かう。次戦アメリカGPの舞台のインディは、数々のレースの歴史を残すサーキットだから、そこでレースをすることをとても楽しみにしているよ。また、去年のテスト走行では一度も走ったことがなく、詳しくは分かっていない部分が多い場所なのだけれど、僕たちが最善を尽くして走るつもりなのは、もちろん言うまでもないよ。
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