第16戦 アメリカGP 2002
2002年9月20日(金)
ミカ・サロ - アメリカGPに向けて
イタリアGPは、パナソニック・トヨタ・レーシングにとって勇気付けられるレースでもあったと同時に、残念なレースでもあった。前向きにとらえたいのは、速さが出せたという事実だね。僕は8度目になるトップ10予選通過ができたし、縁石越えに関しても、大きな進歩を得られた。これは本当にチームの努力の賜物だと思うし、みんなを称えたいと思うよ。
残念だったのは、アランも僕もポイント獲得を達成できなかったことだ。TF102はポイント獲得が可能なクルマに仕上がっていたのに。アランはレース6位走行中にサスペンションの不具合でリタイアを強いられ、僕もレース序盤でタイヤにブリスターが出てオーバーステアに悩まされた。
モンツァではダウンフォースをほとんどつけずに走るために、F1カーはどれもギリギリの状態で走るのだけれど、僕のクルマは本当に取り回しに苦労する状態だった。そこへ、ピットレーン出口の白線越えのアクシデントがあった。僕は、順位争いをしていた2台のルノーを左のミラーで確認しようとしたのだけれど、目視できなかったために、視野を確保しようと左に寄った。それが少し寄り過ぎたために、白線を踏んでしまう結果となってしまったんだ。
こればかりは、チームに謝るしか僕にできることはなかったよ。このピットロード通過のペナルティーまでは、6位入賞とポイント獲得が可能だったのだから。
一方、パナソニック・トヨタ・レーシングには明るいニュースがあるんだ。テストドライバーであるステファン・サラザンが来シーズンモデルTF103への“移行モデル”であり、現TF102の進化版と言えるTF102Bに、新エンジンRVX-03と、チームにとって初めての7速ギアボックスを搭載した状態で、ポール・リカールでテストを行ったんだ。この主要パーツの両方をこの早い時期にすでにテストできるということは大きな功績だし、2003年のシーズンに向けて必ず生きてくることなんだ。僕とアランは、現行のTF102パッケージをインディアナポリスに向けて仕上げるため、新しい空力パーツなどをテストしながら、サーキットで走りを重ねたよ。
アメリカGPに関しては、容易なレースにはならないだろうと思っている。僕たちは、ここのサーキットで走ったことがないし、TF101でもテスト走行をしていない。コース上の曲がりくねったインフィールドセクションは、テクニックが必要となってくる場所だし、メカニカルグリップがライバルのクルマほど良くないかもしれないということも気にかけている。それでも、もちろん全力でレースするつもりだよ。今シーズンが終わる前に、ぜひとももう一度ポイント獲得しておきたいからね。
インディアナポリスのコースの最後のコーナー3つは、1速ギアで抜けなくてはならない。バリアがないことを除けば、モナコと同じなんだ。低速コーナーは、走るにはおもしろみがないとも言えるけれど、ラップタイムには大きな影響を与える場所だ。この種のコーナーでタイムを稼ぐことは無理な一方、簡単に大きなタイムロスをしてしまうところだからね。だからこそ、コーナーへの対処が大切になってくる。インディアナポリスに行くのはとても楽しみにしているよ。あのコースは歴史ある特別なサーキットだからね。ピットストレートのグランドスタンドは熱狂的なファンで埋め尽くされる。そう、まるでローマの円形競技場みたいにね。レース当日の雰囲気は本当に素晴らしいんだ。
- トヨタ自動車 モータースポーツ カーレースカテゴリー