第17戦 日本GP 2002
2002年10月4日(金)
ミカ・サロ - 日本GPに向けて
僕はアメリカGPの後に、インディアナポリスから直接東京へ入ったんだ。忙しい一週間が始まってしまう前に、一足先にインディの前から日本に行っていた、妻の賀子と息子のマックスと一緒に日本で休暇を取ろうと思ってね。
日本に来る時の天気はひどかったね。そのせいで到着も遅れたほどだったよ。強風と豪雨で成田空港が閉鎖されてしまって、天候が回復するまで上空で迂回を続けなくてはならなかったんだ。やっと着陸できたものの、そこは成田ではなく関西空港。そこから、賀子の居る東京まで新幹線に乗ろうと思ったら、今度は増水で新幹線も止まったり、のろのろ運転になってしまったんだ。インディから東京に着くまで、なんと27時間もかかってしまったんだよ。だから、まだ少し疲れているね。日本GPでは天候が持ち直してくれることを祈っているよ。
日本にまた戻ってこれてうれしいよ。日本は僕にとって第二の故郷みたいなものだからね。全日本F3000選手権に参戦していたときには、4年間も日本に住んでいたんだし、ここで僕は賀子にも出会った。それに加えて、今はパナソニック・トヨタ・レーシングでレースに参戦しているから、いろいろと忙しいよ。賀子の友達や家族にも会わなくてはならないし、チームのプロモーション活動もとても活発だからね。
来週の始めから、PR活動のスケジュールが目白押しなんだ。今年はトヨタのF1チームのデビューシーズンということもあって、日本のメディアがとても注目しているのがよくわかるよ。僕がまったく日本語が話せないのが本当に申し訳ないね。もし話せればインタビューだってもっとスムーズに行くはずなのにね。通訳がいないとインタビューにも答えられないんだから。
たくさんサインをしなくてはならないだろうし、多くのトヨタの関係者にも会わなくてはならないだろうね。もちろん、これも僕の仕事のうちだし、来週の金曜日にサーキットでクルマに乗り込む時はいい気分だと思って楽しみにしている。鈴鹿は僕が1994年にF1デビューした場所でもあるし、本当に素晴らしいサーキットなんだ!注意が必要な高速コーナーもいくつかあるし、特にピットのすぐ後ろのセクションである、S字コーナーが僕は好きなんだ。そこでは、左足でブレーキを踏んでクルマの方向を変えなくてはならないのだけれど、それでドライバーのクルマの扱いの良し悪しがわかってしまうんだ。
僕は過去に何度もレースやテストで何百キロもここを走ったからこのコースをよく知っているよ。だから、自分の持つコースの知識が、年に1度しかレースでここを走らない他のドライバーよりも有利に働いてくれたらと願っている。去年の10月にTF101のテストも鈴鹿で行っているから、チームにはコースデータもある。僕がパナソニック・トヨタ・レーシングのために走る最後のレースで上位へ食い込むことができれば、これ以上の喜びはないよ。もちろん、ポイントを狙って走るつもりだ。
日曜日の午後にレースを終えたあと、TF102を降りるとき、僕はきっと少し悲しくなっていると思うね。だって、パナソニック・トヨタ・レーシングのドライバーとしての時間はとても楽しかったし、喜びが終わるときというのは、いつでも悲しいものだしね。でも、僕はチームが発展していくために重要な役割を果たせたと思っているし、オリビエ・パニスとチームには、来シーズンの幸運を祈っているよ。
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