第1戦 オーストラリアGP 2003

2003年03月12日(水)

メルボルンのレースを終えて クリスチアーノ・ダ・マッタ

オーストラリアGPは待ち遠しくてしかたがなかった。パナソニック・トヨタ・レーシングのハードだったウインターテストを終えて、世界のトップドライバー達がしのぎを削る闘いの場に臨むことに、僕はわくわくしていた。そしてそれは、本当にすごい経験だった。

競争という点ではフォーミュラ・ワンは、自分が思っていたとおりの世界だった。どんな失敗も許されないし、ルーキーの自分にはなおさらのこと、新ルール導入で大変だった。昨年に比較してレースウィーク中にコースを走行できる時間が半分くらいにカットされ、金曜日のたった1時間のフリー走行だけでコースを学んで、最初の予選に向けてクルマのセットアップまでを行わなくてはならなかった。

このような状況の中でもチームメイトのオリビエ・パニスからわずかにコンマ1秒しか後れをとらなかったのには嬉しかった。そして、コーナーであまりはみ出さなければ5番手以内のタイムが出せたというのもわかって、さらにハッピーだった。少し攻め過ぎたのは確かだったけれど、F1でも速く走れるというのを証明できたかなと思っている。

土曜日の予選はあまりうまく行かなかった。そもそも僕達はそれぞれ異なった戦略をとっていたから、オリビエと同じくらいのグリッドにつくことは考えていなかったけれど。燃料の搭載量とタイヤのコンパウンドが違っていたんだ。でも、僕のベーシックなセッティングは決勝で効果が出ると思っていた。

その違いがタイムアタックにも表れていて、第5ターンの出口ではみ出してしまい、そこで左フロントのブレーキダクトを壊してしまった。これによって、おそらくその後の走行で0.6秒は遅くなってしまって、デビューレースを16番手のグリッドからスタートすることになったんだ。予選の1周走行中にドライバーにはものすごいプレッシャーかかる。そして僕は少し攻め過ぎてしまった。

全体的には新しいルールは良いのではないかと思う。でも、僕が少し落ち着くのは走ったことがある第3戦のインテルラゴス(ブラジルGP)からだろう。金曜日の走行で、コースの形状を確認するための時間を取られなくて済むから、最初からクルマのセットアップに集中できる。第2戦のセパン(マレーシアGP)の状況は今回のメルボルンと同じだけれど。

オーストラリアGPでのパナソニック・トヨタ・レーシングの判断は素晴らしいと思った。チームはオリビエと僕にドライ用のタイヤでスタートするように言ってきたんだ。スタート直後はコースがとても滑りやすかったから大変だったけれど、その後予測が的中したことを考えれば、それは大したことではなかった。そういえば、僕はCARTでずっとローリングスタートをしていたのでスタンディングスタートは、1996年以来のことだった。

僕は7周目にスピン・アウトしてリタイアとなってしまい、とてもがっかりした。コースが濡れた状況では慎重に走っていたのだけれど、第2ターンで2台のクルマのインコースへ入った時に、コース脇の表示板がブレーキングの目安としていたコーナー手前100メートルのものと思っていたら、実は50メートルだったんだ。減速するのには遅すぎる状況でコースオフしてグラベルに突っ込んでしまった。

フラストレーションがたまるようなレースの結果だったとしても、少なくとも、次回3月23日に行われるマレーシアGPに向けてまずやらなければならないことがこれで分かった。そして今週オリビエと僕が2日づつ行うテストにさっそくそれが反映されるだろう。

オリビエも燃圧系のトラブルが発生してリタイアしてしまったけれど、止まってしまうまで彼は、先頭グループと一緒に走行していた。このことは、パナソニック・トヨタ・レーシングに関わるすべての人達にとても大きな励みをもたらしている。来週のマレーシアでは、より素晴らしいレースと結果をぜひ期待して欲しい。