第3戦 ブラジルGP 2003

2003年04月09日(水)

クリスチアーノ・ダ・マッタ - ブラジルGPを終えて

インテルラゴスサーキットで母国ファンの前でレースをするというのは特別なものだ。その応援のすごさには、びっくりさせられた。聞いていたとおりに、バックストレッチのグランドスタンドに僕の名前が書かれた大きな横断幕が張られていた。それは、僕の地元ベロ・ホリゾンテから駆けつけてくれたグループが立ててくれたものだった。みんな、ありがとう!

レーススケジュールに入る前、数日間家で家族、友人達と過ごせた。その週の火曜日にベロ・ホリゾンテからサンパウロのコンゴーニャス空港に飛んで、その後いくつかのトヨタ現地工場を訪問した。普段ならベロ・ホリゾンテ空港にはフライト時間の30分前に到着していれば問題なかったのに、その日はオーケストラの一団がいてセキュリティーに時間がかかってしまい、乗り遅れてしまった。運良く便が多かったので最初の訪問地、サン・ベルナルドのトヨタ工場にそれほど遅れることなく到着できた。

そこから車で90分ほど行ったインダイアツバの工場へ移動して従業員の人達と会って挨拶をした。そこではブラジルトヨタとブラジルのメディアから大歓迎を受けた。その日は新しいテストコースの落成式で、新型カローラ・フィールダーに乗ってそのコースでテストドライブを楽しませてもらった。そして次は、僕の地元、ベロ・ホリゾンテでブラジルの人気ポップ・ロックバンドのひとつジョタ・クエストとジャムセッションをし、その様子はブラジルの国営放送局、グローボTVに収録されたんだ。彼らはベロ・ホリゾンテ出身で僕も大好きなバンドなのだけれど、まさに地元ですぐ隣に住んでいたこともあるメンバーもいるので、一緒にギターをプレーできたのはとても楽しかった。

インテルラゴスサーキットでのブラジルGPの週末はパナソニック・トヨタ・レーシングの誰もがフラストレーションを感じた。チームメイトのオリビエ・パニスは、他車のもらい事故で戦列から離れることとなってしまったし、僕はTF103のハンドリングに悩まされた。特にコースが乾き始めたレース終盤が大変だった。

不思議に思われるかもしれないが、やがて走行ラインが乾き始める前、レース序盤のフルウエットの状況ではクルマはとても良かった。コースが乾くとオーバーステアーがどんどんひどくなって、クルマをコントロールするのがとても難しかった。僕は3回のピットインでタイヤの空気圧の調節とフロントウイングの角度を変えてもらったが、解決には至らなかった。10位でフィニッシュはしたけれど、何が悪かったのか、ハッキリとした原因をファクトリーに戻って分析して欲しい。

正直言って、金曜日にコースが水浸しで充分に走れず、それが最後まで影響してしまった。わずか2周のフライングラップしかできなかったので、タイヤのコンパウンドを選ぶこともできないし、クルマのセットアップもできなかった。

そのために、土曜日の午前中にコースが乾いた時でもクルマのバランスが悪くて、僕は第1コーナーでスピンしてしまった。その時、エンジンを止めなかったが、ローギアに入れて動き出そうとしてエンジンが止まってしまった。クルマのセットアップにとても重要なセッションはこれで終わってしまった。

このような状況だったので、土曜日のワンラップアタックによる予選でクルマがドライブしにくい状態だったけれど、驚きはしなかった。グリップしなくて、特に低速コーナーの入り口でグリップが足りなくて、第2セクターでタイムロスをした。第4、第6コーナーでちょっとミスしてしまい、結局18番手という今シーズン最悪の結果だった。

決勝日はぞっとするような天気だった。ブラジルでは雨が降ると必ず土砂降りとなる。コースは完全に水浸しだったので、このままだと今年のブラジルGPは行われないかなと思っていた時に天気が好転してきたのはラッキーだった。雨によってFIAドライバーパレードは中止された。ファンの人たち、特に地元ベロ・ホリゾンテから来ているみんなに会えると思っていたのでがっかりだった。

作業が行われて、第3コーナーの所にある、コースを横切る2本の川状の水たまり以外はコースの水はけは良くなった。その“川”を横断するのはとても難しく、アクセルをオフして通過するしかなかった。何回かハッとするような事もあったけれど、ラッキーにも何とかクルマをコントロールして立て直せた。

雨の中でレースをしたことがなければ、どれほど視界がひどい状態かイメージできないだろう。それは、市販車を雨の日にワイパーを止めて運転しているのと同じで全く何も見えない状態なんだ。僕はレース中に何度もコースのはじを目印にしながらハンドルを切っていた。

少なくともレース中に多くのデータを収集することができて、ヨーロッパラウンドの最初となるイモラ(サンマリノGP)でのレースを前に比較分析ができると思う。その前に僕らはポールリカールで4日間イモラへ向けてたくさんの新しいことをテストする。これには期待しているんだ。ブラジルは残念だったけれど、テスト結果に期待してイモラに向けて全力投球だ。

イモラは2月にテストしているので、僕にとって初めてのコースじゃない。だから金曜日の午前中からすぐにクルマのセットアップを行える。良い結果を残したいが、パナソニック・トヨタ・レーシングチームにとっては、まず完走を果たすことが重要だ。