第6戦 オーストリアGP 2003

2003年05月12日(月)

オリビエ・パニス - オーストリアGPに向けて

スペインGPでのTF103の速さは、僕にとっては別に驚きではなかった。僕達はシーズン前のテストでもバルセロナでは速かったし、イモラのサンマリノGPではクルマが縁石をうまく越えられない状態だったけれど、それ以外のレースでは6位あたりを狙えたんだ。

バルセロナでは、クリスチアーノが6位に入賞、今年初のポイント獲得となったことは、パナソニック・トヨタ・レーシングのスタッフにとって素晴らしいことだった。しかし、僕はギアボックスのトラブルでリタイアとなり、がっかりした。リタイアしなかったら僕も6位以内でフィニッシュできただろう。

今シーズン、僕はまだイモラでの1度しか完走できていないということが、本当に残念だ。特に、テストではクルマの調子は悪くなさそうだったのだから、なおさらだ。こんな時、ドライバーにできることは次のレースに集中すること、そして、運が好転するのを期待することくらいだ。

先週、僕達は、ポールリカールサーキットでミシュランと共にタイヤの比較テストを行った。今週のオーストリアGP用に6、7種類のコンパウンドをテストして、その中からとても速い2種類をチョイスした。

タイヤメーカー間の競争は今年厳しさを増している。良いクルマというのは良いタイヤがあってはじめて形づくられるものだ。ミシュランは驚くくらい素晴らしい仕事をしてくれているから、僕は間違いなく次のオーストリアGPも、競争力のあるタイヤを使って戦うことができると思っている。

僕は、とても美しいカントリーサイドにある、A1リンクサーキットのレースをいつも楽しみにしている。また、このサーキットは、TF103向きのコースだと思う。3本の長いストレートがあり、ここでRVX-03エンジンの威力が発揮できる。追い越しができるポイントもいくつかあるから、レースも面白くなる。誰かを抜こうとするとき、いつも良いエンジンが欲しいと思うから、パワフルなエンジンを有しているというのは心強いんだ。

ドライビングの点からは、このサーキットはそれほどテクニカルではないけれど、それは大した問題ではなく、リズムよくドライブすることが大切で、それができれば走りを楽しむことができるんだ。

もちろん、リラックスしている余裕はなく、コーナーの出口で少しでもミスしてしまうと続くストレートでスピードが伸びなくなってしまい、タイムロスしてしまう。1周の距離がとても短く、ラップタイムがだいたい1分10秒前後のため、各車のラップタイムはすごく接近し、ほんの少しのミスで2つ3つのグリッドが違ってしまう。

あまり楽観的すぎることを言うつもりはないのだけれど、僕達は、ポイント圏内でフィニッシュできると思っている。僕は、今年はまだ入賞できていないけれど、TF103は、とても戦闘力の高いクルマだと確信しているから、レースを完走して、それを実証したいんだ。

FIAが2004年もトラクションコントロールシステムの使用を認めたことについて、個人的にはとても良いことだ思っている。これは僕の見方だけれど、このシステムを使いこなすのには時間がかかるから、僕を含め、経験のあるドライバー達に有利だ。そして、二番目に安全面。ブラジルGPのインテルラゴスサーキットのような雨のレースで、トラクションコントロールが無かったらなどとは考えたくもない。もしそうであれば、とても危険だっただろう。