第7戦 モナコGP 2003

2003年05月26日(月)

オリビエ・パニス - モナコGPに向けて

オーストリアGPでは今シーズン5回目のリタイヤとなってしまった。けれど、僕はファイターとして絶対にあきらめない。この悪循環はすぐに好転すると信じて、その時が来たらいつでもチャレンジできるよう、準備はできている。

今は、次のモナコGPでの今年初のポイント獲得に向けて、気持ちを切り替えられた。このコースは、1996年のレースでの優勝という嬉しい想い出のあるところで、とても大好きなコースだ。グランプリ・スケジュールの中で唯一の純粋な公道サーキットであり、ドライバーにとってもチームにとっても非常に難しいコースとなっている。

速く走るためには、ドライバーは自分のクルマを信頼しなければいけない。ほとんどのコーナーは見通しが悪く、コーナーの出口が見えないままアクセルを踏んで行かなければならないからだ。クルマをまるで自分の身体の一部のように感じて走らなくてはならない。今シーズン不運続きだけれど、僕は、TF103に大きな信頼を寄せている。このクルマは、とてもドライブしやすいから、公道サーキットで速く走れないわけがない。

モナコのレースで一番大事なことは、ミスをしないことだ。ハッと気がついたときにはバリアーに突っ込んで終わってしまう。どんな小さなエラーでもレースを終えてしまうから、一瞬たりとも気を抜くことはできない。ここのレースは、長い。時間的にはいつもの2時間位だけれど、その間、常に最大限精神を集中し続けていなくてはならないのが大変だ。

いくつもいいコーナーがあるけれど、その中でも僕のお気に入りは、プールのコーナーだ。ここは高速コーナーで、このコーナーを速くクリアーするには入り口から出口まで、コースをいっぱいに使って走り、そしてイン側の縁石にあまりハードにヒットしないことに気をつけなければいけない。強くヒットするとクルマの姿勢が乱れてしまう。もし、そうなったらタイムが落ちるか、出口でバリアーに衝突してしまう。

トンネルを抜けるときも、とてもエキサイティングだ。昼間の明るさから一気に暗闇に突っ込む。このコーナーはシーズンを通して最も高速のコーナーだ。実にこのコーナーは7速ギアで駆け抜ける、シーズン中唯一のコーナーだ。横Gもすごくて、コーナーでの出口では時速290キロに達する。

今年、プールコーナーの出口からラスカスまでのセクションが新しくなった。僕はまだ見ていないのだけれど、いつもより早めの火曜日にモナコ入りしてチェックするつもりだ。僕は、この変更がラップタイムにどう影響するかわからないけれど、コース図から見てラスカスの進入速度は、昨年よりかなり速くなるのではないかと思う。

今シーズン、クルマの一貫性に欠けているところに大きな問題を抱えてきているから、モナコでどれくらいTF103が適応するかを断言することは難しい。A1リンクサーキットのように速いだろうと期待していたサーキットで遅かったことや、反対に、苦労させられるだろうと思われていたサーキットで好調だったりしてきている。クルマは中速と高速コーナーで速いけれど、ハードブレーキングのセクションが不得意のようだ。

幸いにモナコにはハードブレーキングのセクションはないので、速いことを期待している。僕は予選トップ10以内を目標にしている。タイヤパートナーのミシュランが、昨年のような良いタイヤを持ち込んでくれたなら、なおさら心強い。ポールリカールで新しいフロントタイヤをいくつかテストして、それが非常に良かったので、決勝にはとても自信がある。

モナコか、もしくは次のカナダGPまでには僕の新しいヘルメットが間に合えばと思っている。多くの人達にポールリカールのテストではなぜ白いヘルメットを被っていたのか聞かれたけれど、ヘルメットの調整をしていたことが理由だったんだ。いまだにHANSデバイスのために高速コーナーを抜けるときに肩が痛む。ヘルメットの形状を変えて、HANSデバイスのベルトを装着する場所を変えることで改善されることを期待している。また、ヘルメットのてっぺんに新しい小さなウイングをつけて、これによって、エンジンに空気を送り込むエアーボックスへの空気の流れを良くしようという試みもしている。あらゆることがF1の世界では効果があるんだね。

モナコをポイント獲得でフィニッシュできたなら、パナソニック・トヨタ・レーシングにとって素晴らしいことになるだろう。今シーズン一生懸命頑張ってきているチームメンバーの労をねぎらうためにも、もう結果を出せていい頃だからだ。