第8戦 カナダGP 2003

2003年06月09日(月)

オリビエ・パニス - カナダGPに向けて

モナコでの結果を引きずることは、パナソニック・トヨタ・レーシングには必要ない。もちろん、最終完走者という結果は残念だった。確かに、僕はモナコで1996年には優勝をしたということもある。しかし、TF103が低速域でのグリップ不足に見舞われていたので、苦しい戦いになることは事前にわかっていた。だから、誰を責めるつもりはなく、クルマがコンペティティブではなかったが故の結果だったんだ。

モナコGPが終わった直後に、チームがさっそく次のテストに入ったことには驚かされた。僕達は先週二つのテストを平行して行っていた。僕は、リカルド・ゾンタからテストを引き継ぎ、今度のモントリオールで行われるカナダGPに必要な、ローダウンフォースセッティングのテストを2日間行った。チームメイトのクリスチアーノ・ダ・マッタは、火曜日と水曜日に、シルバーストーンでテストをしていた。そして僕達は両方のサーキットで、ダンパー、通常のクルマのセットアップ、そしてタイヤをテストして成果を上げ、同時に僕が期待しているカナダ向けの新しいスペックのエンジンもテストした。

僕は、パナソニック・トヨタ・レーシングチームの精神が好きだ。何レースか結果が悪くても、皆が強い信念を持って事に当たる。それはとても大切なことだ。今、チーム全員が努力して前進を続けていけば、状況が好転することは時間の問題だと思う。

今週末のカナダGPが、その転機になることを期待したい。開催場所のジル・ヴィルヌーブサーキットで僕は、1997年、レース中の事故で足を骨折してしまったけれど、だからといって嫌いなサーキットではない。アクシデントはどこでも起きるものだし、本当はこのコースでレースをすることがとても好きなんだ。ドライバーの視点から言えば、それほどテクニカルなサーキットではないけれど、ハードブレーキングのポイントがたくさんあり、それは追い抜きがし易いということだ。

レース結果の予想を立てることはしないけれど、今シーズン、僕達は様々なパフォーマンスを示してきているので、今回はどうなるか率直に考えている。長いストレートは、新しいスペックのRVX-03エンジン向きだ。しかしTF103は、今シーズン序盤のイモラ(サンマリノGP)でそうだったように、縁石で苦労するだろうなとも思う。

モントリオールは、イモラのようなサーキットだと言える。見た目にはそれほど似ていないけれど、クルマのパフォーマンスからすると二つのサーキットはとても似ている。両方とも高速セクションがあり、エンジンパワーが重要で、速く走るためには、両方とも縁石をうまく使わなくてはならない。

イモラ以後、僕達は縁石の処理の点ではかなり進歩している。しかし、今はまだレースでどれだけチャンスがつかめるかどうかに触れることはやめておこう。問題はライバル達がどれほど進歩を遂げているかだからね。僕達のタイヤパートナーであるミシュランが、きっとカナダに向けて再び高性能のタイヤを用意してくれるだろう。彼らは本当に良い仕事をしてくれている。数週間前にポールリカールでモントリオールへ向けてのテストをしていたときはとても満足だった。モントリオールでもミシュランは競争力のあるタイヤを提供してくれるに違いない。

カナダGPは僕にとって、ただレースをするだけというイベントではない。モントリオールは、世界中でも僕がとても好きな街のひとつなんだ。そこでは皆僕の母国語であるフランス語を喋るからかな。ということはさておいても、建物も好きだし、人々は親切で、おいしいものを食べられる場所もたくさんある。元チームメイトだったジャック・ヴィルヌーブがオーナーのバーにも一度は行くかもしれないね。

カナダではぜひポイント獲得したい。今シーズン、僕とクリスチアーノには何度もそのチャンスはあった。そして、TF103が、現在3ポイント獲得している以上の戦闘力を持っているクルマであることを証明してきている。

僕達は一丸となって頑張らなくてはならない。結果が出るまでは絶対にあきらめない。