第8戦 カナダGP 2003
2003年06月17日(火)
クリスチアーノ・ダ・マッタ - カナダGPを終えて
カナダGPのリタイヤは悔しいってもんじゃなかった。僕のTF103はレース中ずっと調子良く、2回目のポイント獲得ができそうだと思ったら、どこかサスペンションの調子がおかしいのを感じ、それがゴールまで残すところわずか6周の時だった。
最終シケインを立ち上がっていた時に、いきなりクルマが横向きになってしまい、最初はミスしてしまったのかと思ったので、クルマがスライドするのを修正しながらアクセルを戻した。でもスライドは止まらず、クルマをまっすぐに走らせるためにハンドルを切り続けた。もうどうしようもない状況だった。安易に結論を出すのでなくて、ファクトリーに持ち込んでしっかりと原因を究明しないといけないと思う。
しかし、チームメイトのオリビエ・パニスが、僕の逃がしてしまったポイントを獲得できたことは、パナソニック・トヨタ・レーシングにとっては良かった。実際、僕達はライバルに肉薄できていることがモントリオールで証明できた。トップ4チームとの差は依然として大きいけれど、それを追うグループのほぼトップにいると思う。
このカナダではTF103にいろいろ新しいものが投入されていた。その一つである新しいスペックのRVX03エンジンの導入は前進の一歩で、長いストレートでは威力を発揮した。このカナダGPは、仕事をしていくという上で、ひとつのチームとして成熟しつつあることを証明したということからも、今まででのベストレースだった。最初の2日間は天候がひどく、その状況下で走行するのはとても難しかったけれど、僕達はコンディションの変化にうまく対応した。
土曜日の2回目、45分間のフリー走行で僕はクラッシュしてしまった。最初のフリー走行ではずっとトラクション・コントロールシステムの調子が良くなくて、第2回目のセッション中、第7コーナーの出口でいつものようにアクセルを全開にしたところ、トラクション・コントロールが思うように作動せずスピンしてしまった。3速ギアでの走行でスピードがそれほど出ていなかったため、衝撃は大きくなかった。でもクルマへのダメージはひどく、その後の走行は続けられなかった。
結局、僕は自分用にセットアップしてあったスペアカーに乗り換えた。予選前にわずか5ラップだけしかドライで走行することができなかったけれど、僕達のセッティングは最高だった。もう少し速く走れたかもしれないけれど、その時は、ブレーキングポイントも探っている状態だったから、2週間前のモナコより一つポジションを上げた9番手グリッドには満足だった。そして、オリビエが7番手を獲得して、チームにとってこれまでで最高の予選結果となった。これによってチーム全員が盛り上がり、決勝に向けて雰囲気は最高だった。
決勝8位というポジションは失ってしまったけれど、モントリオールでチームは上昇ムードとなった。クルマはどんどん良くなってきているし、先が見えてきた。縁石上でも走り易くなってきて、後はブレーキング時の安定性がもう少し必要だ。クルマは完全に正しい方向性で開発されている。
モントリオールからは直接南スペインのヘレスへ飛んで、2日間このコースでテストを行う。ヘレスはニュルブルクリンクにとても似ているので、次のヨーロッパGPに向けて有効なタイヤとセットアップのテストを行うことができるだろう。僕達の本拠地があるケルンからわずか30分のこのホームレースでもっとポイントを獲得できそうだ。
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