第9戦 ヨーロッパGP 2003

2003年06月27日(金)

ヨーロッパGP - 予選1日目レポート

F1世界選手権シリーズ第9戦ニュルブルクリンクで行われるヨーロッパGPの、土曜の最終予選へ向けての予選1日目は、ドイツのエイフェル地方特有の変わりやすい天候がたたり、パナソニック・トヨタ・レーシングにとっては不運な初日となってしまった。タイムアタックの時に運悪く雨足が強まり、オリビエ・パニスが1分57秒327で17番手、そしてクリスチアーノ・ダ・マッタがノータイムで19番手だった。

この日パニスは快調な滑り出しを見せて、朝のフリー走行では予選に向けて1分31秒197のトップタイムをマークしていた。このタイムは、フリー走行前にプライベートテストで2時間走り込んだジャガーチームの2番手Mウェーバーよりも0.02秒速いタイムだった。

予選初日の走行順位は、選手権ポイントの順で行われるため、ダ・マッタとパニスは出走20台中13番目、15番目だった。セッションが開始されてから35分後、ダ・マッタがコースインすると5.14キロのコースを黒雲が覆い、スイミングプールみたいに水浸しにしてしまった。

ダ・マッタは、FIAが完全な雨天用タイヤの使用を認める前にコースインしたために天候に裏切られ、ウエットコンディションをスリックタイヤで走行してスピン、アタックを途中で中止した。

「予選がワンラップのアタックに変更されたとき、変わりやすい天候の時にはどうなるのか心配だった。好運と不運、今日の僕たちは正に後者だった。最初のパートは完全にドライだったのに突然他のパートが完全なウエットだった。ドライブするのが不可能だったので、安全を考えてアタックを止めた。フリー走行ではアンダーステアーを別とすれば、調子は良かった。ニュルブルクリンクサーキットにもすぐに慣れたし、それがフリー走行9番手という結果に出ている」とダ・マッタはコメントしている。

パニスも同じような状況に置かれていた。ビルヌーブがコースオフしてグラベルにストップしたために赤旗が出されて予選が中断。FIAが完全なウエット用タイヤの使用を認めて、パニスにとっては多少ウエットコンディションでグリップを稼げることとなったが、すでに走行を終えている10台以上がドライコンディションで走行していることを考えると、それはあまり上位進出の足しにはならなかった。

「肩をすくめて、この状況を受け入れるしかないってことさ。でも期待は捨てていないよ。僕らはフリー走行ですごく調子よかった。チーム全員の素晴らしい仕事によって最速タイムを出せたんだ。グランドスタンドで応援してくれている従業員達の前で明日も同じように行きたい」とパニスはコメントしている。

完全なドライコンディションでアタックすることができたマクラーレン・メルセデスチームのKライコネンが1分29秒989でフェラーリのチームリーダーMシューマッハーに0.37秒差をつけてトップに立った。BMWウイリアムズのJPモントーヤが1分30秒378、Rシューマッハーが1分30秒533で3番手、4番手。フェラーリのRバリチェロが1分30秒842、マクラーレンのDクルサードが1分30秒903で続いた。

「レースには、こういうことが起こりうる。土曜の最終予選ではわれわれのクルマは早めのアタック順となる。今日のフリー走行の状況を再現できれば嬉しい。そのセッションで2台共にトップ10位入りしていたので、不確かなことは言えないが、期待して良いと思っている」とチーム代表のオベ・アンダーソンはコメントしている。

今日は、トヨタ・モータースポーツの従業員が本拠地のケルンからF1の雰囲気を味わいに駆けつけ、グランドスタンドに陣取り応援してくれた。このパナソニック・トヨタ・レーシングのホームグランプリのフリー走行結果表トップにチームの名が刻まれて従業員達の日頃の努力が報われた。ポジション1というのは今年のブラジルGPの土曜のフリー走行以来のことだ。チームに不運をもたらした雨だったが、スタンドにチームカラーの赤と白の帽子や旗、そして傘の花を咲かせるのには一役かった。