第10戦 フランスGP 2003
2003年07月01日(火)
オリビエ・パニス - フランスGPへ向けて
なんと言ったら良いだろう。ヨーロッパGPでパナソニック・トヨタ・レーシングは週末を通して競争力のあるクルマを得られたのにもかかわらず、選手権ポイントを獲得することはできなかった。それは本当に残念だった。
実は、ニュルブルクリンクでのTF103の速さにはちょっと驚いていたんだ。思っていた以上にハンドリングが良くて、思いっきりハードにプッシュした走りができた。僕は金曜日と土曜日午前中のフリー走行で最速だったし、土曜日午後の予選では7番手というグリッドを獲得できた。クルマには競争力を発揮できる要素が充分あったから、ポイント獲得は確実だと思っていた。
しかし、レースが始まってから、ブレーキが簡単にロックしてしまうことが分かり、結果的に37周目にそれが原因でスピンして、エンジンが止まってしまい、リタイヤとなってしまった。12周目にも同じことが起こったけれど、その時にはアンチスト-ルが機能して、エンジンを止めることなくレースを続行できた。
レース後に僕らはアップライトのひとつに問題を発見して、それが原因だと思われた。次のフランスGPはもう今週末に迫っているから、ヨーロッパGPでの問題対処かけられる時間が限られている。
幸いに、ニュルブルクリンクは、チームの本拠地、ケルンからとても近いので、レース後、日曜日の夜のうちにクルマを工場に戻して、月曜日に組み直してから火曜日にマニクール向けて陸送できる。こんな贅沢なことができるチームは僕達だけだから、週末までには準備も整っているはずだ。
僕はマニクールのコースが好きだ。走っていて楽しいし、僕がリジエとプロストチームに所属していた6年の間では、ほとんどのテストをここでやっていたので、良く知っているコースだ。コースのスタートセクションがすごく楽しめて、メインストレートから続く、ハイスピードの左コーナーが、大きな右第2コーナーの手前にある。この第2コーナーは、ロングストレートが続いているので、アクセルを踏み続けてクリアーしなくてはならない。でも、あまり早くアクセルを開けすぎると、アンダーステアーが出てラインを外してしまうという難しいコーナーだ。
もうひとつ難しいセクションは、エストリルというコースの中央にあるクイックなシケインだ。このシケインには丘を越えて進入するし、本当に高速なので正確なラインをきっちり走行しなくてはいけない。ミスをしたくないポイントだ。
コースの終わりはとても低速なセクションだけれど、オーガナイザーは今年大改修を行って、シケインをなくして、リセ・コーナーを変更した。数ヶ月前に僕は、オーガナイザーの招待で新しいコースをレクサスに乗って実際に走っているので、この改修がされたことによって、とても良いコースになったと言える。
今回は、僕のホームグランプリであり、現在唯一のフランス人現役F1ドライバーなので、ちょっとプレッシャーを感じている。でもファンのみんなとは良い関係を保っているし、いい結果をプレゼントしたいと思っている。これまで、このレースで僕は入賞することができていない。でも今年こそはという決意も固いし、それを叶えてくれる力のあるクルマも仕上がってくるだろう。
TF103は、中速から高速タイプのコースを得意とするクルマだ。それは、バルセロナで僕のチームメイト、クリスチアーノ・ダ・マッタが6位に入賞していることで証明できている。マニクールのレイアウトは、僕達のクルマ向きのため、フランスGPではきっと力が出せるという自信がある。コースの路面はとてもスムースで、この季節、いつも路面温度は高めだ。これが常に僕らに素晴らしいタイヤを供給してくれているミシュランにもぴったりだ。ミシュランにとってもホームレースの今回、よりコンペティティブな状況となるだろう。クルマも速く、信頼性も確保できるだろうから、ポイント獲得以外の結果は考えにくいね。
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