第10戦 フランスGP 2003
2003年07月06日(日)
高橋敬三GMに聞く:決勝
パニスが母国で初めてとなる、今季2度目の入賞
違った作戦を採ったダ・マッタは我慢のレースで11位完走
日曜日は朝から晴れ渡り、この週末一番の天気となった。気温も上がり始め、レースが始まる頃には気温28度、路面温度31度にまで上がっていた。しかし、「ここは、路面温度が上がるときには50度近くにもなる」と高橋敬三ゼネラルマネージャーは語ったが、それほどの気温の高さではなかった。
スタートは予定どおり、午後2時に切られた。予選10番手のオリビエ・パニスは好スタートで、1コーナーですぐ前にいたフェラーリのルーベンス・バリチェロに並びかける。しかし、前に出ることはできず、逆に混戦のなかでポジションをひとつ落としてしまう。1周目の順位はパニス11番手、ダ・マッタ14番手だったが、2周目のストレートで前を行くバリチェロがスピンして、それぞれポジションをひとつずつ上げた。
パニスの前にはジャガーの2台が、ダ・マッタの前にはBARの2台が行く手を阻んでいた。速いペースで前を追い上げる2台だったが、抜きどころの少ないこのコースでは、なかなかポジションを上げることができないでいた。
「ここは2回でも、3回でもシミュレーションではあまり変わりありません」と高橋GMが言うように、予選までを含めた戦略として考えた場合は3回ストップが主流を占めることが予想された。そのため、最初のピットストップは15周あたりと見られ、11周目にミナルディのクルマがピットに入ったのを皮切りに、各車が続々とピットに入っていった。パナソニック・トヨタ・レーシングは、パニスが3回、ダ・マッタが2回のピット戦略。耐磨耗性に優れ、タイムも安定したプライムタイヤを使うダ・マッタは、2回ピットで我慢の作戦を採っていた。
16周目、パニスは1回目のピットストップに入った。素早いピット作業にも助けられ、ピットアウトした後には、前をいくジャガーとの差が詰まっていた。この頃、ダ・マッタの後ろには、スピンで遅れたバリチェロが追いついてきていた。前のBARを追いかけつつ、バリチェロを抑えるダ・マッタ。この攻防は19周目にダ・マッタがピットインするまで激しく行われ、ダ・マッタは見事にバリチェロを抑えきる。
34周目、パニスが2回目のピットストップに入る。ピットアウト後はパニス10番手、ダ・マッタは11番手にまで上がってきていた。
レース終盤、パニス、ダ・マッタともに1回のピットストップを残しながら、パニスは8番手、ダ・マッタは10番手まで上がっていた。ダ・マッタは45周目に2度目のピットに入る。パニスは52周目に最後のピットストップを6・8秒という素早い作業で終えて、8番手ののポジションを守り、チェッカーを受けた。パニスはカナダGPに続いての貴重なポイントを、地元のフランスで獲得した。一方のダ・マッタも2回ピット作戦で辛抱のレースを11位で完走した。
「昨年は2台揃ってエンジントラブルでのリタイヤという、悪夢のフランスGPでしたが、今年は2台揃って完走。しかもポイントまで取れたことには満足しています。しかし、上位のクルマとの差は、ラップタイムで1秒近くあることを考えると、この結果で浮かれている場合ではありません。次のイギリスGPでは新しい空力パーツを投入します。これは大幅な改良となります。さらにドイツでは新スペックのエンジンを投入するつもりです。ここからのさらなる進化でどこまでトップに追いつけるか、これからが勝負です」と高橋GM。さらに今回のレースを厳しい目で見つめていた冨田務TMG会長も、今回の結果には一応の満足をしながらも、「とにかく一歩一歩進んでいきたい」と今後の着実なポテンシャルアップを課題としたコメントを残した。
- トヨタ自動車 モータースポーツ カーレースカテゴリー