第11戦 イギリスGP 2003

2003年07月21日(月)

クリスチアーノ・ダ・マッタ - イギリスGPを終えて

イギリスGPは、パナソニック・トヨタ・レーシングチームにとって素晴らしいレースだった。僕達の TF103は週末を通して好調だった。18周に渡ってトップを走ったときには、あまり興奮し過ぎないようにはしたけれど、それはもう最高の気分だったよ。

6月のはじめにシルバーストーンで行ったテストが良かったので、このグランプリでは、かなりいいところまで行けるだろうということはわかっていたけれど、その期待を上回る結果となった。今回、フロントウイング、エンジンカバー、そしてバージボードを新しくした空力パッケージを導入したところ、クルマのパフォーマンスが格段に良くなったんだ。

先週末の流れは、最初ゆっくりで、だんだんと良くなっていったという感じだった。金曜日の予選ではクルマの性能を充分引き出し切れなかったので、100%満足できなかった。コースコンディションが目まぐるしく変化する中で、ベストなバランスを見つけ出すことができなかった。それでも10番手のタイムを出せたことで、後のセッションに自信を持って挑むことができた。

土曜日にクルマのセットアップを変えてみると、すぐにペースが上がった。不運にも昼のウォームアップでトラブルが発生してしまい、2回目の予選はスペアカーに乗り換えて臨まなくてはならなくなった。スペアカーはすでに僕用にセットアップしてあったけれど、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード以後走行していないので、完全にレース用のセットアップができているわけではなかった。予選前にそんなドラマがあったので、この状況下で6番手ポジションを獲得できたことはうれしかった。カナダでの予選9番手以後、僕にとっての予選ベストポジションを得られたんだ。それもスペアカーで!

決勝のスタートでJPモントーヤとFアロンソがシグナルが消えたと同時に抜いていった。しかし、作戦とセーフティーカーが2回コースインしたおかげで、13周目までにはトップに立っていたんだ。

最初にセーフティーカーがコースインしたチャンスを利用して、予定よりも早く給油のためにピットインしたけれど、12周目に何か書かれたものを持った観客がコースに入ってきたために、再びセーフティーカーが導入されることになった。最初のピットインで順位を下げてしまっていて、Jウィルソンを抜きにかかっていたそのとき、2メートルくらい向こうのコース内に、その人影を見つけたんだ。とても危険な状況だったけれど、誰にもけががなくてよかったよ。この時にほとんどのドライバーがピットインを行ったので、僕がトップに立ち、すぐ後ろにオリビエがいるということになった。そう、トヨタ初の1-2だったんだ。

アメリカのレースでローリングスタートには慣れているから、再スタートの際、コントロールラインを通過するまでにうまくギャップを開けることができた。Kライコネンが2位に上がってきたときには、0.6秒の差をキープするのが楽なことに驚いた。僕のラップタイムは安定していたし、うまくトップを走行できていたと思う。最後までトップを走れるなんて考えていなかったけれど、全周回の約3分の1の18周をトップ走行して、その間にできる限りアドバンテージを築いた。

2回目のピットストップ後も僕は入賞圏内でたくさんのトップドライバー達と闘っていた。DクルサードとJヴィルヌーブとバトルを展開して、Jバトンを抑えて7位でフィニッシュして2ポイントを獲得、これはシリーズのポイント争いにプラスとなった。

それにしても、今回は僕にとって良いレースだった。これまでのF1キャリアで僕にとってのベストレースと言ってもいい。そして、チーム全体にとっても、ますます士気が盛り上がってきた。今回、再びオリビエと僕が優勝車と同ラップでレースをフィニッシュできる実力があることを示すことができた。オリビエが11位でフィニッシュして今シーズン二人が完走した中でも最高の結果だ。これからはもっと上位を狙えるだろう。

それから、優勝したRバリチェロにも称賛の言葉を送りたい。彼とは昔、一緒にイギリスのケンブリッジに住んでいたこともあるし、良い友人だから、彼の優勝も嬉しく思う。

実力でトップを快走するためには、まだたくさんやらなくてはならないことがある。でも、今回は僕達のチームが確実に進歩しているのを見てもらえたと思う。そして今やトップ4チームを追うグループのトップにいると思っている。

これまで忙しかったけれど、今週はテストも休みなのでうれしいよ。次にドライブするのは2週間後のドイツGPだ。もちろん、そこでも、さらにポイントを獲得したいと思っているよ。