第13戦 ハンガリーGP 2003
2003年08月24日(日)
高橋敬三GMに聞く:決勝
4戦連続入賞ならず。ギヤボックストラブルでパニスは無念のリタイア
ダ・マッタはピットスタートから追い上げ、11位でフィニッシュ
いっそうの暑さが予想されていた日曜日だが、レース開始時の気温は前日の午後2時より3度低い28度。路面温度は逆に3度高く、46度に達していた。日差しは強いが涼しい風がやや強く吹いていた。予想されたような50度を超える路面温度には達しそうになかった。
20台のF1カーがスターティンググリッドにつき、レッドシグナルの点灯が始まったところで、コースサイドのマーシャルが激しく黄旗を振った。15番手グリッドにつけたクリスチアーノ・ダ・マッタが、異常を訴えたのだ。しかし、スタートは切られ、残りの19台が1コーナーに消えた後も、ダ・マッタはグリッドにとどまり続け、マーシャルに押されてピットレーンに移動した。
「エンジンストールしてしまったんです。ローンチコントロールが変に作動したのが原因なのかどうか分かりませんが、ピットレーンに入れてスターターを使ってエンジンをかけ、スタートしました。そこからは結構速かったんですが、周回遅れになってしまいました。しかし、後半はペースが良く、上位と遜色のなかったのは収穫です」とレース後の高橋敬三ゼネラルマネージャー。
ファステストラップはウイリアムズのモントーヤが記録。2番手R・シューマッハー(ウイリアムズ)、3番手ライコネン(マクラーレン)、4番手アロンソ(ルノー)と続き、5番手にダ・マッタがつけた。ダ・マッタはミナルディの2台を後方へ追いやって順位を上げたほか、順位の変動にはつながらないものの、周回を早く消化しているクルマを追い越すシーンも見せ、最終的に11位でフィニッシュした。
10番手からスタートしたオリビエ・パニスはスタートで5つ順位を落としたが、すぐさま先行するライバルを追い抜きにかかり、6周目には13番手にまでポジションを挽回。スターティングポジションの10番手にまで順位を上げた15周目に1回目のピットストップ。33周目に2回目のピットストップを行なうまで、10番手をキープしたまま走り続けたが、ピットアウト時にトラブルが発生してリタイアを余儀なくされた。
「オリビエはグリッドの位置がダスティサイドだったので、スタートで出遅れてしまいましたね。その後もずっとイン側を走る状況になったので、(路面がきれいでグリップの高い)アウト側から抜かれて順位を落としてしまいました。そのあとはペースが良くて追い上げを見せたんですが、2回目のピットストップでギヤボックスを壊してしまいました。ジャッキを降ろして出ようとしたら、ウーン、ウーン、とうなってボンッ。原因は調べていますが、ピットストップの際に何らかの理由でギヤボックスが壊れたということです」
リタイアを余儀なくされたパニスだったが、その後も上位が安定した走りをしたので、完走しても4戦連続のポイント獲得は難しかったかもしれない。
「やはり、(ウイリアムズ、フェラーリ、マクラーレン、ルノーの)上位8台はしぶといですね。バリチェロがリタイアして抜けましたが、その穴にウエーバー(ジャガー)が入った。コンストラクターズポイントでジャガーに抜かれることになりましたが、まだ1点差です。ですが、クリスチアーノにしてもオリビエにしても、トラブルを出してはいけないなと思います。レースペースは悪くなかったので、しっかりやれていれば結果は違っていたかもしれません。予選順位は別にして、レースペースは劣っていませんでしたから」
残りは3戦。3週間後に控える次のイタリアGPは、パナソニック・トヨタ・レーシングが得意とするコースのひとつである。舞台となるモンツァ・サーキットでは9月2日から3日間のテストが行われる予定だ。
「イタリアGPではやりますよ! 得意なサーキットですから。モンツァに向けた部品は空力から何からいっぱい作ってあります。ハード部分のバージョンアップではありませんが、エンジンもモンツァ用にチューニングしたものを持っていきます。残り3戦ですが、チャンピオンシップはB・A・R、ジャガー、そして我々の争いになっている。最後の3戦をおろそかにできないし、最後までやり遂げることが来年につながる。ですから、モンツァでは3台体制でしっかりテストをして、残り3戦に備えたいですね」
モンツァで行われるテストではイタリアGP向けのプログラムのほか、アメリカGP用の空力、サスペンション、タイヤ、エンジンと豊富なプログラムを用意。最終戦日本GPでは「今シーズンの集大成」を見せる意気込みだと、高橋GMは締めくくった。
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