第14戦 イタリアGP 2003
2003年09月13日(土)
高橋敬三GMに聞く:予選
パニス9番手、ダ・マッタ12番手
タイムは不満ながらも、決勝に自信
伝統のイタリアGPは、高速コースとして知られるモンツァサーキットで行なわれる。毎年、熱狂的なフェラーリファン、“ティフォシ”たちが集まり、グランドスタンドは赤一色に染まる。他のグランプリとはちょっと違う独特な雰囲気がある。
舞台となるモンツァサーキットも、いまではGP開催サーキットで唯一の高速コースともいえる特徴的なサーキットだ。長いストレートをシケインと高速コーナーで繋ぐコースは、最高速350km/h以上、1周の平均速度も時速250km/hを超える。それだけにクルマのセッティングも独特だ。
先週行なわれたモンツァでの合同テストは、夏休みのテスト禁止期間から1カ月半ぶりのテストということもあり、トヨタは3台のF1カーと100名近いスタッフがサーキットを訪れる大テストとなった。
ここで、トヨタは大きく2つのテストを行なった。ひとつは、イタリアGP用パーツのテストだ。空力、電子制御、サスペンションなどで、特に高速のモンツァ用の低ドラッグ、低ダウンフォースのフロント・リアウイングはテスト結果も良かったという。もうひとつが、インディアナポリス、鈴鹿に向けての開発だった。どちらもテスト結果は上々で、高橋敬三ゼネラルマネージャーも上機嫌でサーキットに現れた。
「ここでは、最高速をどのくらいに設定するかでセッティングの方向性が決まります。350km/h強というところでしょうか。あまり、最高速ばかりを考えてもブレーキの安定性が悪くなるし、でもタイムを稼ぐなら、最高速を出すのが一番効きます。その辺の良いバランスを見つけることが大切ですね」
テストの結果どおり、トヨタの2台は金曜日のフリー走行から速かった。クリスチアーノ・ダ・マッタが6番手のタイムをマーク。オリビエ・パニスは、最初ダ・マッタと違う固めのセッティングで走り始めたが、縁石で跳ねてしまうためダ・マッタと同じセッティングに変更するが、ブレーキングの安定性に不満を持っていた。そのため、午後の予選に向けてTカーで走ることとなった。
午後の予選で、ダ・マッタは何と4番手のタイムをマークする。しかも、セクター1でベストタイムを記録。ダ・マッタが予選アタックを始め、セクター1のタイムが表示され、トップとのタイム差がマイナス表示されると、パナソニック・トヨタ・レーシングのピットでは歓声が沸き起こった。
「クリスチアーノはノーミスでした。セッティングも良いバランスを見つけられたと思います。先週のテストで走りこんでいるため、コースにも慣れていましたし。オリビエの方は、Tカーでもクルマの挙動は変わらないということでした。電子制御のセッティングを多少変えたせいで、シケインでちょっとロスしてしまいました。それでも10位ですから満足してます。多少、オリビエのほうが、最高速が遅かったことを気にしていましたが」と高橋GM。
予選2日目も午前中のフリー走行からダ・マッタは好調で、セッティングの微調整程度で午後の予選に備えた。対照的だったのはパニスで、朝一番にオルタネータのトラブルですぐにピット入り。その後もECUに問題が出て、45分のセッションを棒に振ってしまった。結局、セッション終了後にプログラムの入力ミスということが分かり、2回目のセッションには間に合ったが、最後のフライングラップで5速からシフトアップせず、エンジンを壊してしまった。
「エンジンのトラブルというよりは、ストレートで5速からシフトアップせず、ハードリミッターが当たりっぱなしになり、結果としてエンジンが壊れてしまいました。それほど、深刻なトラブルではありません」
午後の予選は、トラブル続きだったパニスが素晴らしい走りを見せ9番手。逆に、調子の良かったダ・マッタはアスカリシケインでミスしてしまい、12番手となってしまった。
「クリスチアーノは、シケインでのミスでコンマ4秒はロスしてしまいましたね。それがなければ、悪くてもオリビエと同じくらいのタイムは出していたはずです。それにしても1分22秒フラットくらいは期待していたんですが」と予想外の結果に肩を落とす高橋GM。
「予選は思わぬ結果となりましたが、レースに向けては自信があります。予選でのタイムを見ても、各セクターのタイムと最高速のバランスもいいし、セッティングは良いところでの妥協点を見つけられたと思います。レースの戦略については、今年ピットロードが100m延びたこともあって、ピットインのロスタイムも大きく、多分どのチームも2回ストップじゃないでしょうか」
予選結果には悔しさを見せた高橋GMだったが、決勝に向けては自信を覗かせていた。
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