第15戦 アメリカGP 2003

2003年09月27日(土)

高橋敬三GMに聞く:予選

これまでで最上位となる予選3番手グリッドを獲得!
2台揃って予選トップ10入り

「なんとしてもポイントを獲りたい」と、高橋敬三ゼネラルマネージャーは第15戦アメリカGPに向けた目標を語ったが、パナソニック・トヨタ・レーシングにとっては厳しい幕開けとなった。昨年までは予選終了後から決勝レースがスタートするまで、車両のセットアップを変更することが可能だったが、今年は予選2回目と同じセットアップで決勝レースに臨まなければならない。

インディアナポリスはオーバルコースの一部を走る超高速セクションと、インフィールドの低速セクションに分かれる。昨年までは、予選でダウンフォースをつけて低速セクションでタイムを稼ぎ、レースでは反対にダウンフォースを削ってストレートスピードを重視するセットアップをしていた。ところがこの作戦が今年はとれない。

「金曜日はタイムを出すセットアップでいきながら、エアロのセットアップを変えていき、ベストのセットアップを探すことになります。まわりがどれくらいを狙うかによって調整することになるので、最終的には他のチームと似通ってくるでしょうね」と高橋GMは言う。「モンツァの後のへレスではインディアナポリスの低速セクションを念頭に置いたテストをしました。同時期に行ったポールリカールのテストでは、高速セクションを想定したテストを行っています」

金曜日午前中のフリープラクティスで、トヨタ勢は順調にセットアップのプログラムを消化していた。パニスが1分11秒388で3番手のタイムを記録を叩き出す。その後、雨が路面を濡らし始め、空力を中心にした調整作業と並行してウエットのセットアップを強いられることになった。

「ドライのセットアップを基本に、ウエットの調整をやりました。というのは、土曜日から日曜日にかけての天候がわからないからです。いまの予報だと、今日の夜に土砂降り。明日はセッション開始が8時からなので、ウエット路面で始まるでしょう。午後も今日と同じような感じ。午後にひと雨くるかどうかが予想できない。日曜日も不安定という予報なので、どちらでも行けるような準備をしておかなければいけない。ですから、ドライのセットアップのまま、ウイングの角度だけ調整して、どれだけバランスが変わるか試しました。その結果、ウエットでもいいバランスを保てることがわかりました」

雲が厚く垂れ込める状況のもと、予選1回目が始まった。なんとか空は持ちこたえていたが、6番目の走者となるアロンソが走り始める頃から雨が落ち始めた。12番目に出走のクリスチアーノ・ダ・マッタが走る頃には雨の降りがやや強くなり、14番目に出走のオリビエ・パニスが走る頃には土砂降りになった。

「天気予報はばっちりでした。クリスチアーノのときは降りが弱かったので『ドライで行け』と指示を出しました。パニスのときは降りが強くなるので、『インターミディエイトで行け』と指示を出しました。その通りになりましたが、天気予報が当たったからといって、どうなるわけでもない。クリスチアーノは完全ドライのセットアップで走りました。オリビエはインターミディエイトを履き、ウイングの調整をして走らせました。もし、ドライで走れていたら1分9秒台に入っていてもおかしくなかったですね。予選の前半はドライでしたが、あとに走った方が条件が良くなりましたからね」

心配された雨は降らず、安定したコンディションで土曜日の予選は行われることになった。トヨタ勢は午前中のフリー走行から順調な仕上がりを見せていたが、セッション終了間際に不安要素が発生する。ダ・マッタ車が軽く煙を上げながらピットロードに滑り込んできた。

「あれは5番コンロッドです。でも、300km以上走ったエンジンですから、そう心配はしていません。もともと、セッション後に載せ換える予定でした。といっても、ちゃんと調べなければいけません。レースカーのエンジンは載せ換えたのですが、ウォームアップ走行の最後でちょっとウォータープレッシャーが上がってきたので、念のためにTカーにスイッチしました」

Tカーに乗り換えたことが遠因となり、ダ・マッタは満足にタイムを上げられず、予選9番手にとどまる。

「コースへの慣れ不足が原因ではありません。Tカーのブレーキが新品で、フィーリングに問題があったんです。アタックラップまでにあたりがつかなかったようで、そのぶんちょっとロスした感じでした。タイム的にはオリビエと同じくらいいけたはずなんですけどね。クリスチアーノにはかわいそうな思いをさせてしまいました」

一方のパニスはトヨタ史上最高位、自身にとっても予選最高位タイとなる3番手を獲得した。

「うれしいですよ。うれしいですけど、やはり大事なのは決勝なので、明日をいかにするか。スタート順位がいいので結果を残さなくては。本当に明日が大事です。他車の燃料の搭載量がわかりませんから、一概に本当の実力を反映しているかどうかわかりません。ですが、インディアナポリスにおける我々のパフォーマンスはかなり良かったと思っています。昨日の午後はアンラッキーでしたが、バランスは最初から良くて、今日もほとんどセットアップを変えていません。一部の(ミシュランタイヤ装着)チームはハードコンパウンドを選ばなければならなかったようですが、ウチはソフトです。グレーニングの問題も一切ありません。明日は気温が下がるようですが、天気は曇りのようです。なんとかもってくれるといいですね」