第15戦 アメリカGP 2003
2003年09月30日(火)
クリスチアーノ・ダ・マッタ - アメリカGPを終えて
インディアナポリスサーキットは、僕達のTF103向きのコースだっただけに、オリビエも僕もアメリカGPで1ポイントも獲得することができなくて本当に残念だった。クルマはサーキットのどのセクションでも速かった。コントロールラインのある長いストレートでは、エンジンの威力を発揮して上位のトップスピードを記録したし、インフィールドの曲がりくねったセクションでは、ハンドリングの良さを発揮した。
しかし、僕達の週末は天候によって大きく左右された。金曜日午前のフリー走行は、ウエットからドライになるというコンディションで、どのチームも状況をうまく読むことができなかった。そして午後のワンラップアタックによる1回目の予選では、僕がアタックにはいるときになって雨が降り始めて、台無しになってしまった。急に変化したコンディションによって、クルマはスピンしそうなぎりぎりの状態だったけれど、できるかぎり頑張って走った結果、完全なドライコンディションでマークされたポールポジションのタイムから、2.3秒しか遅くないタイムを出せたのはうれしかった。
金曜日の夜にものすごい雷雨が降り、そのせいで土曜日最初の45分セッションは金曜日と同じウエット状態だった。そのコンディションは、誰にとっても同じだったけれど、僕達は2回目の予選と決勝に向けた細かなセッティングができるという状況でなく、コースに慣れただけだった。
それでも、僕は2回目の予選に自信を持っていたのに、直前の15分間のウォームアップ時にエンジニアが、エンジンにオーバーヒートの症状が出る可能性があると指摘したので、スペアカーに乗り換えることとなった。予選の途中やレース中にクルマを乗り換えることはできないので、スペアカーにすることでエンジンにトラブルが発生するかもしれないというリスクを排除することにしたんだ。
スペアカーは、僕用にペダル位置やシートをセットアップしてあって、乗り換えによって大事な時間を無駄にすることはなかったけれど、2台のクルマが全く同じなんてことはあり得ないから、予選でコンマ何秒かはロスしている。スペアカーは予選まで一回も走行していなかったんだ。これといって悪いところはなかったけれど、ワンラップのタイムアタックでは、クルマに対する絶対的な確信がなければダメなんだ。たった1周でそれを得られるはずがない。
そういったすべてのことを考えると、9番手のグリッドを得られたというのは本当にうれしかったし、2台がともにトップ10に食い込むことができたことは、チームにとって重要なことだった。オリビエが3番手になって僕達の能力をフルに証明した。アメリカはトヨタにとって大きな市場であるから、そこで今年最高の予選結果を披露できたことは良かったと思う。
決勝は、予選とは全く違う流れとなってしまった。雨が序盤で降り始めた時、その後雨脚が強まると判断してウェット用のタイヤに交換するという判断を下した。不運にも、その判断は間違っていた。雨がすぐ止んでしまい、再びすぐにまたドライ用のスリックタイヤに交換しなくてはならなかった。この時点で僕達は1周遅れになってしまい、ポイント獲得の可能性が薄れてしまった。
追い打ちをかけて、ピットレーンのスピード違反を犯したとして、僕はピットロードのドライブスルーペナルティを受け、2周遅れとなってしまい、完全にポイント獲得は無理となった。これほどのトラブル続きだったにもかかわらず9位でフィニッシュできたということは、もし、普通にレースができていたならどうだっただろうと思う。ポイント獲得圏での走りができたのは確かだ。
2週間後の鈴鹿で今年のF1シーズンもとうとう終わりだ。最終戦では新しいスペックのエンジンが投入される。何と言ってもトヨタのホームグランプリであり、僕達のTF103向きのコースなので、ぜひポイント獲得圏内でフィニッシュしたい。それはきっと、僕の記念すべきF1デビューである今シーズン最高のフィナーレとなるに違いないからね!
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