第16戦 日本GP 2003

2003年10月12日(日)

高橋敬三GMに聞く:決勝

2年目のシーズンを7位入賞で終える

 予選3、4番手と絶好のポジションからのスタートに期待が膨らむパナソニック・トヨタ・レーシング2年目の最終戦。決勝当日には、トヨタ自動車の張富士夫社長も応援に訪れ、チームの面々に激励の言葉を贈った。
「予選順位には正直ちょっとびっくりしました。今年は随分と性能が上がったようです。それと、見ているとチームワークも良いみたいですね」と終始笑顔。冨田務TMG会長も「最高のシャシーと、最高のエンジンを持ってきた」と自信をのぞかせた。

 そうした首脳陣の喜びの表情とは別に現場の実働部隊は、レースに向けて着々と作業を進める。来栖俊郎TMG副社長はレース前にこう語ってくれた。「うちのクルマはどちらかと言うと、暑い方が得意なんです。マシンのセットアップがミシュランタイヤ勢のなかでも違っていて、暑くてもタイヤに負担が掛からないからなのです。今日の気温では低すぎて厳しいかもしれません。戦略的には、たぶんミシュランタイヤを使うチームのうち、大半が3回ストップではないですかね」。

 決勝日の天気は非常に微妙な状態で、スタート前にはポツリポツリと雨が落ちてきて路面は若干濡れていた。しかし、高橋敬三ゼネラルマネージャーは「レース中に雨は降りません」とはっきりと言い切った。

 午後2時30分、レースはスタートする。気温21℃、路面温度23℃と少し肌寒さを感じる天気だった。スタートでパナソニック・トヨタ・レーシングの2台は出遅れる。フェルナンド・アロンソに抜かれ、デイビッド・クルサードにも並びかけられたクリスチアーノ・ダ・マッタだったが、1コーナーでアウトから再度抜き返す。ダ・マッタは4番手に、オリビエ・パニスは7番手まで落ちてしまった。トップ3台を追いかけるダ・マッタ。しかし、その差は徐々に離れていった。9周目にはトップを走るファン-パブロ・モントーヤがスローダウンし、3位に上がったダ・マッタが10周目に最初のピットストップへ。続く11周目にパニスもピットインした。

 ダ・マッタはピットアウト後、ペースの遅いジャンカルロ・フィジケラに引っ掛かってしまう。「これで1周0.5秒くらいペースが落ちた」と高橋GM。その状態が10周ほど続いため、5秒以上のロスとなった。これで完全に戦略が狂ってしまった。
 18周目、2番手を走るアロンソがリタイヤしてダ・マッタ4番手、パニスも6番手に上がった。24周目、ダ・マッタが2回目のピットストップに入る。ここでもニック・ハイドフェルドに引っ掛かってしまい、25周目に入ったパニスもマーク・ウエーバーにと、ともに同じ状態におちいってしまう。
 38周目、ダ・マッタが3度目のピットストップを終えコースに復帰すると、背後にはミハエル・シューマッハーとラルフ・シューマッハー。ダ・マッタはこの2台と激しいバトルを演じる。シケインのブレーキングでM.シューマッハーは何度も仕掛けてくるが、ダ・マッタも並ばせない。その後、M.シューマッハーがブレーキングミスを犯して、そのあおりをくったR.シューマッハーとともにコースをはみ出してしまう一幕も。これで、R.シューマッハーは大きく遅れ、M.シューマッハーも8番手をキープすればチャンピオン決定のため、無理をせずペースを落とした。結局レースは2台完走で、ダ・マッタ7位、パニス10位。予選の速さを決勝レースでも見せることができなかった。

「3回ストップを選択したが、それにしてはペースが遅かった。それからレース前半に遅いクルマに引っかかってしまったのも痛い。それが無ければ少なくとも5、6位での2台完走はできたと思います」と高橋GMは残念そうに語った。「悔しいですが、これでシーズンオフのテストの課題も分かりました。タイヤの使い方、レースで速いマシンのセットアップなど、より実戦向きのマシンを作ります」。

 シーズンオフのテスト解禁は11月24日から。来年に向けての開発はすでにケルンで始まっている。今年は「挑戦の年」、そして来年「勝てる年」となれるかは、これからのテスト内容にかかっている。