第3戦 バーレーンGP 2004

2004年04月07日(水)

オリビエ・パニス - バーレーンGPを終えて

マレーシアからは、直接ヨーロッパに戻り、僕の住んでいるグルノーブル近くで3、4日家族と共にスキーを楽しんだ。じめじめしたマレーシアの後に新鮮、さわやかで澄んだ空気の場所で過ごせたのは良かった。僕の家はフランスの山岳地方、ガープという街の近くにある。レース結果がよくなかった後のこういう気分転換は、全てが絶好調でなくても決して諦めないという僕の性格にはすごく良かったよ。

マレーシアでは、メルボルンに比べて状況も良く、僕はとてもうれしかった。僕自身も、ポイント獲得のためにものすごく頑張り、チームもレース中に作戦の微妙な軌道修正をおこなって何台ものライバルをパスできたのに、終盤になって通信系の問題が発生したことでチャンスがものにできなかったのは痛かった。それでも、パフォーマンスの点からは、良いレースだった。

バーレーンにはレース前の火曜日に空路入りした。僕にとって初めての中東の地だが、すぐに素晴らしいところだと感じた。サーキットとその施設のすごさには驚いた。

バーレーン・インターナショナル・サーキットは、とてもテクニカルだが、ハードブレーキング、複数のヘアピンコーナー、そして加速が重要視されるという点では、典型的な新時代のF1サーキットだ。そのようなコース設定にすることで、見所が増えて追い越すチャンスも増えるというなら、僕は良いのではないかと思う。シーズン後半に開催される中国もおそらく同じようなタイプのサーキットだろうし、多くの点でマレーシアにも似ている。ブラインドコーナーやどっちに曲がっていくか見えないコーナーがいくつかある。例えば、僕は予選中に第10コーナーでミスを犯して0.3秒のロスをしてしまった。グリッドの順位を落とすほどのロスではなかったけれど、ミスの原因というのはブレーキングポイントの目印にしていたパイロンを誰かが飛ばしてしまって、そのポイントへ行ったらパイロンがないのでブレーキングが遅れてしまったんだ。それから、ラインを外れると路面がすごくスリッピーなので、ラインを外さないように細心の注意を払わなくてはならなかった。

全体的には、オーストラリアやマレーシアと比較して、われわれはバーレーンでパフォーマンスを向上させることができた。クルマがコースに合っていたし、とても競争力のあるミシュランタイヤに加えて、われわれの作戦も積極的だった。イベント期間中、トラブルはなかったしクルマの性能は最大限に引き出せたと思う。レースの現場とケルンの工場との双方でチーム全体が高いレベルで機能していて、それが僕にとっては心強い。

バーレーンでは、再び110%の力を出して頑張ったのにわずか2秒足らずで選手権ポイントを獲得することができなかった。レースでは積極的な作戦で行くことにして、予選で僕が8番手、クリスチアーノが9番手と共にトップ10内のグリッドを獲得。6周してから僕が最初にピットインを行ったがそこで何台かに抜かれてしまい、また予選でのトラブルでグリッドの後方から追い上げてきたFアロンソには為す術がなかった。それにしても、新しいサーキットで20台がスタートして17台が完走するのを見て皆の信頼性には驚かされた。終盤にジャガーのMウェーバーと接戦を演じたけれど、彼を抜くことはできなかった。

シーズンを若干試練含みでスタートしている我々だが、現在までのパナソニック・トヨタ・レーシングの雰囲気は最高だと思う。僕らはクルマのことをよく分かっているし新しいパーツが仕上がってくるのを待ちながらも、今あるクルマの実力は100%発揮させなくてはならない。シャシー部門テクニカル・ディレクターとしてマイク・ガスコインが就任したことは、良いニュースだったし、彼と一緒に僕らは絶対にクルマを良くし続ける。

昨シーズンに比べて、クルマのリヤ周りが劇的に良くなっている。今年のクルマは剛性が高くなってタイヤの摩耗も良い。正直なところ、空力の面で開発の余地がまだある。他のチームはこの点で先行しているがトヨタのスタッフもそれを認めて風洞実験を集中的に行って開発に努力している。多少の時間はかかるが、開発の方向性はとてもハッキリしているし目標達成には何が必要なのかが僕たちにははっきりと分かっている。

もちろん、サンマリノのレースに向けクルマがパフォーマンスアップしていることを期待している。しかし、昨年イモラの縁石には苦しんだので、多くを望んではいけない。われわれは、クルマを見直して軽量化と低重心化を進めている。新しい空力のパーツと共に進歩は確実だ。今週、僕はバルセロナでヨーロッパラウンドへ向けてテストを行っている。良い結果を期待している。