第4戦 サンマリノGP 2004

2004年04月20日(火)

リカルド・ゾンタ - コクピットからのレポート

パナソニック・トヨタ・レーシングの第3ドライバー、リカルド・ゾンタが、2004年シーズンから彼の新しい役目として加わったグランプリ週末の金曜日に行われる練習走行への参加について、これまでを振り返って語ってくれた。

僕は、金曜日の第3ドライバーとしての仕事をとても楽しんでやっているよ。僕にとって何が最高かってこの仕事で世界中の様々なサーキットを走れるということだよ。その多くはレーシングカーで走ると最高の場所だからね。僕のやっているこの新しい仕事にはやりがいがあるよ。特にタイヤの選択やクルマのセットアップを決定するという面でチームに貢献できるし、同時に、僕自身の実力を見て貰えるチャンスでもあるわけだからね。

オリビエ、クリスチアーノ、そして僕の3人のドライバーは、いつも同じ基本セットアップで走り始める。けれど、僕は金曜日だけ走行するので2人よりもタイヤのセット数を多くこなすことができる。すなわち、タイヤの比較を行うには彼らより良い立場にあるということだ。また、1人のドライバーに対して1イベントで1基のエンジンしか使えないというルールになったので、僕が多くのラップを消化して信頼性のチェックも行っている。周回を多くこなすということは、クルマの開発やレースドライバーに有利になることを色々と見つけられる可能性も高い。金曜日の終わりに、われわれは全ての結果を分析し、ベストと思われるセットアップを土曜日に採用する。

もちろん通常テストでは多くのことを行う時間が十分にあるけれど、金曜日の走行にはわずか2時間しかない。それでも、この練習走行は通常のテストと同じように重要だ。通常のテストでもタイヤの選択やレース週末に有効になる材料を探すという作業は行っている。だが、金曜日の段階では最高のパーツがすでに揃っている状態から最高のものを選択しなくてはならないんだ。

通常のテストでもミスを犯している暇などないのだけれど、もしミスが出てしまったとしても、少なくともテストを続行することは出来る。しかし、金曜日には僕が出す結果や僕のコメントがチームにとって非常に重要になってくる。もし、どのような状況であったかということを伝えることができなければ、チームは一歩遅れをとってしまうということなんだ。ミスをしないということだけではなく、安定して連続走行をするといったことにもプレッシャーがある。

予選直前までは、レースドライバーのいずれかに万が一でも何かが起こってしまった時に備えて、いつでも交替できるように準備をしている。PR活動などが予定されている場合は別だけれど、通常は予選が終われば僕の役目は終わるので帰路につくことになる。

僕は技術的なミーティングには全て出席しなくてはならない。こういうミーティングは、1日に3回から4回程度行われるけれど、第3ドライバーはその全てに出席することになっている。僕は、昨年にも全てのレースに同行し、全てのミーティングにも出席したけれど、コースに出ることはなかった。

バーレーンでは、テストしたタイヤに大きな違いは感じられなかったけれど、僕の走行結果からどのタイヤが連続走行に適しているのか、延いては、レースでベストなのかを選択することが出来た。これによって2人のレースドライバーが土曜日の予選で好結果を得ることに貢献できて、僕の仕事が有効だとチームが認めていると思っている。

バーレーン・インターナショナル・サーキットは、素晴らしいサーキットだけれど、とても滑りやすく、コース路面はオーストリアに似ていた。バーレーンで最高だったのは、上り、下りそしてコーナーへの方向変化が多彩で、走っていてもすごく楽しめたよ。コースレイアウトは、本当に難しいコーナーがあるわけではないのだけれど、ミスが出やすく、とてもテクニカルでもある。真新しいサーキットを走行するのは誰もが興奮することだけれど、僕としてはマレーシアやバーレーンのようにドライバーの技量を試されるようなサーキットで走行するというのが楽しみだし、走り甲斐もある。

レースとテストの両方をこなしていて本当に大変なのは移動と時差ボケだ。特にシーズンの序盤にある遠征レースは大変だった。先月のオーストラリアGPの時なんて、メルボルンで金曜日に走った後予選までそこに居て、日曜日の朝には出発、火曜日から始まるテストのためにヨーロッパに戻ったんだ。テストは通常毎週4日間と、結構な量になるけれど、これからは時差ボケに悩まされないヨーロッパラウンドが始まるのでずいぶん楽になるだろう。

僕は移動を淡々とこなしてあまり気にしないようにしている。シーズンのはじめなんて僕はモンテカルロのアパートにだいたい週2日間、土曜と日曜日ぐらいしか居られなかったしね。でもテストが休みになる8月と11月には、もっと自由な時間がとれる。そういう時には故郷のブラジルにも帰るんだよ。