第4戦 サンマリノGP 2004
2004年04月25日(日)
高橋敬三DTCに聞く:決勝
予想していたほどペースが上がらず悪循環に
土曜日まで暖かかった天気も、日曜日は肌寒い天気となった。前日の夜、トヨタのモーターホームでは日本人のジャーナリストを呼んでのディナーパーティーが開かれたが、帰る頃には大雨となっていた。
「昨日の雨のため、路面のラバーグリップは落ちてしまったし、気温も低く、うちにとってはあまりいい条件とは言えませんね」と高橋敬三技術コーディネート担当ディレクター(DTC)は語っていた。もともと、ブリヂストンに比べ、暑い方が有利なミシュランタイヤを使うトヨタだが、そのなかでも暑さが得意なトヨタだけにこの寒さはうれしくないコンディションだった。
決勝スタートは午後2時。スタート時の気温は19度、路面温度は27度とかなり低めだった。スタートでは、クリスチアーノ・ダ・マッタはうまくポジションをキープし10番手、パニスは2つポジションを上げて11番手に上がった。抜きづらいイモラ・サーキットだけに、その後、全体的にあまり順位の変動はなかったが、トヨタの2台はペースが上がらず、徐々に前の集団から離れていってしまった。
「金、土のテストの感じではもう少しレース時のラップタイムは上がると予想してました。1分22秒後半から23秒前半のタイムで走れるはずだと思ってましたが、実際は24秒台と思っていたよりも1秒は遅かったですね」と高橋DTC。
最初のピットインはダ・マッタが7周目、オリビエ・パニスが9周目だった。最初のピットストップが全て終わった頃には順位はダ・マッタ13番手、パニス14番手と落ちていた。これは、ほとんどのチームが3回ストップを選んでいたが、ザウバーのジャンカルロ・フィジケラとマクラーレンのキミ・ライコネンが2回ストップを選んだためだった。
「それにしても第1スティントと第2スティントはペースが上がらなかった」と高橋DTCは振り返る。トップのミハエル・シューマッハーは1分21秒台のペースでラップするが、トヨタの2台は1分23秒後半から24秒台のタイムだった。
2回目のピットストップはダ・マッタ24周目、パニス26周目だった。この頃には、2台の後ろにはトップのシューマッハが迫ってきていた。32周目、ダ・マッタにピットスルーのペナルティが課された。ブルーフラッグ無視のペナルティを取られたためだった。これに焦ったのか、ピットスルーでコースに復帰していったダ・マッタはその直後の2コーナーで飛び出してリタイアしてしまった。
「今年からブルーフラッグに対して非常に厳しくなり、3回振って譲らなかった場合はペナルティが課される。今回もダ・マッタは後ろからシューマッハーが来たのは分かっていたのですが、あまりに離れていたので様子を見ていたんです。そうしたら3回振られてしまった。その後、パニスもマクラーレンのデビッド・クルサードと争っている時に後ろから、フェラーリのルーベンス・バリチェロとルノーのヤルノ・トゥルーリが来た。その時は無線で早く譲れと指示しました。後半、ブルーフラッグが振られると、譲るためにラインを外すからタイヤにゴミが付く。それでまた数周タイムが上がらなくなる。まったく悪循環ですね」
不運ともいえるダ・マッタのリタイアの後、孤軍奮闘するパニスだったが、終盤はラップタイムが上がってきていた。1分23秒台半ばでコンスタントに周回を重ねる。ラップ遅れにされたフェラーリのバリチェロにも離されず付いていけるほど。59周目には1分22秒861のベストラップをマークした。
「予選を見ても分かるとおり、一発のタイムは出せるようになりました。でもレース中のタイムが少なくともあと1秒上がらないと。後半、パニスが見せたタイムでコンスタントに走れれば、十分ポイント圏内で走れますから。クルマ自体は進化しているんですが、他も速くなっているからなかなかその差が詰められない」
次回、スペインGPに向けてのテストが、来週イタリアのムジェロ・サーキットで予定されている。バルセロナはトヨタにとっては得意なサーキットと言われている。チームも巻き返しを図ろうと懸命に努力をしているだけに、一刻も早いポイント獲得を期待したい。
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