第5戦 スペインGP 2004

2004年05月03日(月)

クリスチアーノ・ダ・マッタ - スペインGPに向けて

全てのF1チームは、バルセロナで始終テストをしていることもあって、このサーキットのことを熟知している。皆がバルセロナでテストを行う最大の理由は、テストに使うことのできる他のサーキットに比べて、特に冬には天候が良いからだ。また、必要機材を陸送するのにもヘレスやバレンシアほど遠くない。そして、いろいろなタイプのコーナーが組み合わされているコースレイアウトなので、F1のテストコースとして最適だということも明らかだ。サーキットには、大きなコーナーや緩やかで高速のコーナー、そしてハードブレーキングのセクションなどがあり、低速や高速をはじめとして、あらゆる状況に対応できるようなセットアップを同時に行うことが要求されるため、テストにも取り組み甲斐がある。

僕は、このサーキットが好きだよ。とても面白くて、走るのも楽しめるからね。このサーキットは緩やかで、コーナーを抜けるときにも速度を落とさないようにして、流れを保つことが重要になってくるから、それに対応できるようにクルマをセットアップしていくのは楽しい。先週にテストを行ったイタリアのムジェロと同じようにセットアップを行う。シルバーストンにも似ていて、鈴鹿にも似ているといえば似ているかもしれないね。でも、お気に入りのサーキットかと聞かれたら、そうでもないんだ。何度も何度もこのサーキットには来ているから、特別ではなくなってしまっているんだね。いったいバルセロナで何周のラップをこなしたのかはわからないけれど、ここでテストをしたのは20日以上はあるね。ということは、かなり走っているということだ。あまりにもたくさんの周回をこなしているから、実際に合計で何周したのかは想像できないくらいだよ。それも、僕はたった1年しかF1ドライバーをやっていないのにね!

こんな状態だとしても、走るたびに常に新たに学ぶことがあるのは、どのサーキットでも同じことだ。もちろん、バルセロナは、ほとんどのチームが何度も訪れている場所だから、重要なポイントはすでにわかっている。また、皆が多くの周回をこなしているコースだから、トラックを熟知しているということが、特に有利になるわけでもなく、それは皆にとって同じことだ。それでも、常に新たに学ぶべきポイントを発見する。1年中、毎日走っていたとしても、何か新しく学ぶことがあるものなんだ。

よく知っているサーキットと言えども、グランプリに向けての準備は、もちろん、しなくてはならない。レースの週末の走行時間は限られていて、他のチームも同じ時間帯で同時に作業するということから、サーキットはテストのときとは違った状況になっている。もちろん、全く違うというわけではないけれど、テストでいつもやっていることと、同じことをしているということはない。それに、テストはだいたい冬のとても寒い時期に行われているけれど、レースでここを訪れるときには、気温は少なくとも20度くらいで、それ以上になることだってよくある。他のサーキットと同じように風によって影響もあるし、特に、バルセロナは風向きの微妙な変化も影響が出てしまうという敏感さがある。

僕はスペインが大好きで、友達もたくさんいる。テストで訪れたときには、テスト後に友達を訪ねていって、滞在を数日延ばすことだってときどきあるくらいだ。バルセロナの街に行くのも好きなんだ。活気のある街だし、良いレストランがたくさんあるところなんかも好きなところだよ。近くには、マウンテンバイクに最適な場所があって、テストでバルセロナに行っているときなんかは、マウンテンバイクを走らせに行くことだってある。残念ながら、レースで来る時にそんな時間はないけれどね。

去年のスペインといえば、僕がF1で初めてのポイントを獲得したレースだ。あのときは、週末を通して調子がよかったけれど、とりわけ金曜日の予選で4番手につけたのを思い出すよ。最初というのは何でも気持ちよいものだけれど、昨年の初ポイントは本当に良い気分だった。

昨年の成績を考えると、今年にはさらに期待がふくらんでいるだろう。昨年は確かにチャンスを逃してしまったこともあったけれど、昨年はまだまだ初心者の域から脱することができていなかった。チームは、まだ2年目だったし、僕自身にとってはF1参戦元年だったわけだしね。でも、今年になってもまだチャンスを逃しているようなら、昨年のようには許されないだろう。今年は、われわれは自分達に厳しくしなくてはならない。昨年のバルセロナの時期のわれわれは、今シーズンのわれわれの現状よりも良い状態にあったと言わなくてはならない。けれども、冬のテストの結果を考えると、バルセロナのサーキットにわれわれのクルマはよく合っているから、これまでの4レースよりも、ポイント獲得の可能性は高いと考えているよ。昨年のように上位で走行できるようにしたいと思っている。僕のバルセロナの思い出は良いものばかり。是非、それが続くようにしたいものだね。