第5戦 スペインGP 2004

2004年05月08日(土)

高橋敬三DTCに聞く:予選

パフォーマンスは確実にアップ。今季初ポイント獲得に自信

5月のスペインとは思えないほどの寒さのなか、スペインGPは開幕した。初日の金曜日は朝から青空に恵まれたが、気温は上がらず日中でも18度。長袖でも多少肌寒いくらいだ。

「このコースはシーズン前のテストでみっちり走り込んでいるサーキットですから、データも豊富にあり、自信もありますね」と、高橋敬三技術コーディネーション担当ディレクター(DTC)。しかし、この寒さは予想外だった。天気予報によると、週末に向け天気は崩れるらしく、日曜日の雨の確率はこの時点では10%。

「多分、日曜日も雨は降らないでしょう」と言いながらも不安げな表情を見せた。「今年はミシュランもレインタイヤの性能は良いですから、それほど雨を気にしているわけではありませんが、やっぱり、レースは晴れてくれた方がいいでしょう。どこのチームも同じだと思いますよ」

金曜日の午前中のセッションはレギュラードライバーの2人はなかなか走り出さず、ゾンタが周回を重ねる。
「ここのコースは、金、土、日と路面が大きく変わるので、路面ができるまでは(リカルド・)ゾンタが基本的なセッティングを試しました。最初は路面が出来ていないこともあり、3人ともオーバーステアでした。午後はそれがアンダーステア傾向になっていきました。ここは路面ができてくると、オーバーステア傾向になるのですが、これは今年のタイヤの傾向かもしれません。ただ、今日の時点でアンダーだ、オーバーだとセットをいじってもしょうがないので、あまり慌てず様子を見ました。金曜日の段階で、クルマはベストのバランスにはなっていませんが、タイヤの評価もできたし、まずは上々の結果だと思います」

そう言いながらも3台目のゾンタはこの日、午前中4番手、午後は3番手と好調だった。クリスチーアノ・ダ・マッタは公式練習1回目15位ながら、24周走り込んだ2回目は10番手。オリビエ・パニスも午後の2回目には11番手とまずまずの滑り出しだった。

「今日の状況でタイムを言ってもしょうがないですね。明日は14秒後半から、15秒台がポールポジションになるんじゃないかと予想してます。うちとしては15秒台には入ると思うのですが。今日の状況は予想の範囲内ですね。タイヤはソフトもハードもロングランでそれほどの差はないようなので、予選タイムを狙っていっても問題ないかと思います」

金曜日の午後、F3000の予選が行なわれている頃に雨が降り始めた。夕方には再び激しい雨が降り始め、路面状況はまた変わってしまった。その雨のせいで、土曜日の午前中に行なわれた3回目の公式練習では最初ダ・マッタもパニスも走らず、状況を伺っていた。最後の5分ほどで2台ともコースイン、数周しかしなかったがパニスは1分16秒721で7番手につける。4回目の公式練習では走り初めにパニスのクルマには電気系のトラブルが出てしまいコース上でストップしてしまう。ダ・マッタは1分15秒895の好タイムをマークして10番手につけた。

「前日の雨で路面のラバーが流れてしまったため、最初は走りませんでした。4回目の公式練習ではパニスのクルマのハーネスがショートしてしまうトラブルが出ましたが、それほど深刻なトラブルではありませんでした。それでも、クルマのバランスは2人ともいいということでした」

午後の予選。1回目の予選でパニスは6番手、ダ・マッタは14番手につける。

「午後の予選になると、路面のグリップが下がったため、ダ・マッタはアンダーステアに、パニスはオーバーステアになってしまい、思ったほどのタイムが出ませんでした。路面温度が下がったせいか、間にポルシェカップが走ったせいかもしれません。それで、2回目の予選に向けて、2台ともセッティングを多少変えました。先に走るダ・マッタはアンダーステアだということだったので、リヤのウイングを下げていったのですが、なぜか余計アンダーステアが酷くなってしまいました。どうも路面がアンダーステア傾向になっているようだったので、パニスの方はそれを見てセッティングを変えていったのがうまく決まりました」

その結果、パニスは7番手のタイムをマークする。アンダーステアに悩まされたダ・マッタも11番手につけた。「路面のせいか、タイムは全体的に思ったよりも伸びませんでしたが、接戦のなかでパニスはミスなく完璧な仕事をしてくれたと思います。本人も気分良く走ってくれたようで、予選終了後にピットガレージまで帰ってくる時に、スキップで帰ってきていましたから。しかし、いつもながら予選は接戦ですね。そんななかでも、うちのクルマのパフォーマンスは確実に上がってきていると思います。パニスもあと0・2秒縮めれば4位ですからね。課題はレースでのパフォーマンスを見せられるかということですね。ここも抜きどころのないコースなので、戦略次第では念願の今季初ポイントも取れる可能性はかなり高いですね」

昨年もここバルセロナはシーズン初ポイントを取った得意なサーキットだけに、2台揃ってのポイント奪取も夢ではないだろう。この日、トヨタのガレージでは遅くまでピット作業の練習が行なわれていた。